ボローニャ「森の家」暮らし

友と食と旅と。さまざまなストーリーが交差する8月。

暑い暑い8月。

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近所のヒヨコ豆畑は収穫間際。

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ひとつのヒヨコ豆には豆はひとつ、多くてもふたつ。うちの食卓に欠かせないヒヨコ豆はこの畑から来る。

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普段はボローニャに住み、夏の間はご近所さんの子どもたち。スカウトやキャンプに行っていない時はほとんどいつも一緒に遊んでいた。

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毎週いろんなイベントがあちこちであり、普段なかなか会えない友だちとも会えるチャンス。夏の夜長を共に過ごした。

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立派な栗林の中にあるフランコとダニエラの夏の家。毎年8月にフランコとローカルの仲良し男性陣が主催するアペリティーボには、町中の人がいるのではないかというくらいの人が集まる。

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みんなお酒や料理を持って来て賑やかなテーブルに。

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こんなイベントでいつも活躍している警察のフィリッポはポルケッタをサーブ。

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ロベルト、パオリーノ、マウリッツィオもこんなイベントに欠かせないメンズ。準備から片付けまで手際よくやってくれて頼もしい。

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夏の間ほぼ毎週月曜日にある広場での星空デグスタシオンディナー。8月15日のフェラゴスト(聖母マリアの被昇天)の祝日に行われたディナーでは、スタッフはみんな「エレガントーネ」(洗練されていないエレガント)の装いでテーブルをサーブ。

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顔なじみがたくさんいて、名前を知らなくても笑みで杯を交わすのもいい。

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ホスピタリティの学校に通うボランティアの高校生たち。

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テキパキ配膳する姿に、いいぞ若者!といつもニコニコしてしまう。

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こんなイベントも月末まで。すでに少しノスタルジック。

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翌日の夕方には、広場から坂を登ったところの松林の広場でお祭り。

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かれこれ50年以上前からあるお祭りで、揚げパン、ビールなど食べ物は募金制。子どもと大人の運動会に伝統的なダンスなど、みんな楽しみにしているとってもローカルなイベント。

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揚げパン、クレシェンテは伝統の通りラードで揚げられる。

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トラットリアでは、これにサラミ類やフレッシュチーズ、ピクルスなどを挟んだり乗せて食べる。

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同じ生地をねじって揚げて砂糖をまぶした庶民的なお菓子。クレシェンテもこのお菓子も残りは翌朝カフェラッテに浸して食べる。

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ラウラは子どもたちの点呼を取り、運動会の参加者をチームに分けた。

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次女のみうは袋に入ってジャンプするレースと綱引きに参加。私も(ビルケンのサンダルで)綱引きに参加。勝ってチームとハイファイブするのはやっぱり気持ちがいいものだ。

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アコーディオンの音楽に乗せて踊る最年長は、ジュゼッペ83才。いつもこんなイベントの時、妻のジリオーラと踊って盛り上げてくれる。踊りを覚えたのは遅かったと言うけれど、軽快に踊る姿は80才を超えているとは思えない。秋にはダンスコースを企画するかもとイベント運営者のサンドロが言っていた。開催したら練習してジュゼッペと踊りたい!

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徒歩15分のところにあるこの家は、パリに住むボローニャ出身の友だち、ルカとサラの家。昨年購入して、夫のパオロのチームがリフォームを担当した。

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さすが建築家夫婦、ディテールにこだわったリフォームしてとっても素敵に生まれ変わった。

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いくつか窓が変わったけれど、外観は昔のまま。

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夕焼けの後、オレンジから青のグラデーションが美しい空に、青いデザインのプレートと、つや消しのゴールドのカトラリーとテーブルライトがとても良い雰囲気。

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周りは麦やヒヨコ豆畑で遮るものは何もなく、景色もご馳走。

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ルカとサラと同じ大学で建築を学んだ友だちのほか、インテリアの仕事をする友だちが集まり、リフォーム談義、養蜂、マウンテンバイクなど、いろんな話に花が咲く。

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さまざまなディップにチーズセレクション、イワシのカルパッチョ、スモークサーモン、カラスミのパスタ、トマトのサラダにジャガイモのサラダ。それにみんなが持ち寄ったドルチェ。シーフードメインのおもてなしのテーブルには真似してみたい演出がいろいろ。

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みんなの旅行の話に刺激され、旅したい熱が高まった。

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翌日、ルカたちとディナーをともにしたフェデリコとジョヴァンナの家に。うちから30分登ったここは、標高がうちから400メートル近く高く、空気はより清らか。家のすぐ脇には小川が流れ、モンギドーロのアルプスに登るトレッキングコースが敷地内を通っていて、まるで避暑地。

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ふたりは6月にジョヴァンナの出身地、シチリアのラグーサでそれはそれは素敵なウエディングを挙げたばかり。(その様子は6月のブログで!)

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ロンドンで建築スタジオを持つフェデリコは、ロックダウンを期に両親の夏の家だったここに移住。月に数回ロンドンと山の家を行き来している。ここに住んでからはじめた畑は本格的。

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ヘーゼルナッツなどの庭の枝を使ったカボチャの柵は、シンプルながらさすが建築家のデザイン。

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手作りの鶏小屋は、三女のたえが住めそうなくらいに立派。

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4羽の雌鶏は2階にあたるここで卵を産む。屋根が開いて卵を取り出すのも掃除も簡単。うちの鶏たちは最近ロバの藁ロールがある洞窟で卵を産むようになった。石とレンガで作られた立派な家があるけれど、ベッドをより快適にしてあげたらちゃんとまた鶏小屋で産んでくれるようになるだろうか。

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畑の野菜でランチを作る。

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シチリアから訪れていたジョヴァンナのマンマ、カルメーラは料理上手。野菜を切りながら、本場のアランチーニ(シチリアの揚げライスボール)の作り方を教えてもらった。

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パスタ・アッラ・ノルマはシチリアの人気伝統料理の一つ。通常は素揚げしたナスのスライスが上の乗せられるけれど、今回はアレンジ版でパスタソースの中に。美味しかった!

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食事の後、子どもたちはフェデリコ作の野外風呂釡に。ワイン樽をリメイクして作った風呂釡。雪の中このお風呂に入ったら気持ち良さそう。

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数日後、私はひとり、ロンドンに発った。20年くらいぶりのロンドン、空港から直接向かったのはテイトモダン。

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サウスバンクにあるここからの景色は、20年前とは大きく変わっていた。新旧が交差する街を
象徴するような眺めだ。

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草間彌生のインフィニティミラールームズを見てみたかったけれど、残念ながらチケットは9月上旬まで売り切れ。

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もうひとつ、是非見てみたかった企画展、ヒルマ・アフ・クリントとピエト・モンドリアン。クリントはスウェーデン、モンドリアンはオランダ出身の画家。同じ時代を生きたふたりは会ったことさえなかったものの、自然界との深いつながりと、地球上の生命の背後にある神秘的な力を理解したいという同じ願望を共有していた。画家としてのふたりの発展の仕方はとても興味深く、ふたりの手帳やリサーチ資料の展示にも釘ずけになった。

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閉館の18時まで、4時間以上いたけれど、まったく時間が足りなかった。こういうところにはひとりで来て自分のペースで思う存分楽しむのがいちばんだ。

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夕暮れのサウスバンクをトローリーを引いて歩く。宿泊先のベーカーストリートエリアまで6キロほど。地図もあまり見ず感覚を頼りに歩く楽しさを思い出した。

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特に書店や本のマーケットがあると、足を止めずにはいられない。本でも雑誌でも、どんなにペーパーレスが進んでも、私は手にとってめくりたいタイプ。

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アパートの近所の書店、ドーントブックス。オーク素材のインテリアに大きなガラスの採光が印象的なこの書店は、「世界で最も美しい書店」という本にも掲載された。

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もともと旅行本に特化していて、さまざまなジャンルの書籍が国ごとにコーナー分けされている。私は長女ゆまに頼まれたJ.K.ローリングの小説「幻の動物とその生息地」をここで購入。

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書店で過ごす時間は至福の時間だ。何時間でもいたい。特にアート、ガーデニング、フード関係の本は、時も忘れて浸りたい。この旅でも何時間も書店で過ごした。どこの国に行っても書店とさまざまなタイプの(スーパー)マーケットはいくつでも見て回りたい。

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ロンドンで楽しいマーケットのトップとも言える、ボロウマーケット。ロンドンブリッジからほど近くにあるこのマーケット、その歴史は1000年前にも遡る。

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イギリス国内外の食材のスタンドが並び、あれもこれも欲しくなる。

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塩とスパイスはとても魅力的。さまざまな産地とフレーバーを加えた塩やビネガーを扱うこのお店はツボだった。

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美味しそう!

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うちの畑で夏中大量に採れた黄色いズッキーニも、こんなマーケットにあると特別に見える。

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今回の旅は、友だちのヴェロニカに「半月ロンドンにいるから遊びにおいで」と誘われて、急遽決めたもの。4日の滞在中、チューブは使わず移動は徒歩と自転車で。レンタサイクルはとても便利で、地上を走れるので景色も楽しめてとても良かった。

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フード関係のマーケティング&ストラテジーの仕事をしているヴェロニカは、多忙の中しょっちゅう旅に出てリフレッシュしている。ロンドンに住んでいたこともあり、穴場も熟知。ベジタリアン&ヴィーガンのレストラン、ブバラでは、カウンターでオススメのコースを楽しんだ。

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ミドルイーストのフレイバーたっぷりの洗練された料理11品が次々運ばれて来て、メニューを読みながら知らなかった食材や味のコンビネーションを楽しんだ。

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夕方、アラブ人街エッジウエアロードでヴェロニカがロンドンに来るたびに訪れるというモロッコスパで、垢すりとマッサージでスベッスべになった後、行きも帰りも通るたびに人があふれていたレストランに並んでみることに。

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待っている間に運ばれて来る料理を観察していると、メニューでは見当たらなかったオクラや豆やナス料理が次々運ばれて来るテーブルがあり、聞いてみると、特別なラム料理についてくるソースだという。それが食べたくて「イラク料理」と名前がついた料理を頼んでみたら、お通しを合わせてこんなに賑やかなテーブルに。ランチで食べた料理とルーツが同じものもいろいろあって、とても楽しい経験だった。

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ヴェロニカが連れて行ってくれたイーストサイドにある隠れ家、ストーリーデリ。

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コットンやリネンのナプキンやエプロンなどとともにドライフラワーやオブジェがセンス良く飾られている。聞くと、どれもホテルやレストランで使われて捨てられる運命だったもの。でもこれらを売ろうという気はあまりなさそう。平日の物販は予約制。

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それにしても只者ではないセンス。そして営業の仕方がとてもユニーク。午後からピッツァを焼いている。そっちがメインのビジネスのよう。毎日世界中の「クールな人たち」が訪れるそうで、「イギリス人は5%くらいだよ」と、マッドハッター風のオーナー、リーは言う。

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店頭の奥の通路には左側に流しが、右側には作業場とガスオーブンがあって、ここでピッツァが焼かれる。その奥には小さな中庭が。

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このレンガの壁の上には定期的に電車がガタンゴトン走って行く。中庭にある椅子や机はほとんどゴミ置場から拾ってきたもので、「ガタガタするから気をつけて」とオーナーのリーは笑う。

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お待たせ、と持ってきたピッツァは、いちばん人気の“マッシュルーム”。「ピッツァって呼んでいるけど実際はフラットブレッドなんだ、でもピッツァっていう方がイメージ湧きやすいからそういう名前にしたんだ」。ソテーしたマッシュルームに野菜がたっぷり。生地はパリパリで、美味しいオリーブオイルと完璧な塩加減でとても美味しかった。

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午前中は商品が並ぶテーブルは、ピザの時間になるとダイニングテーブルになる。ビジネスカードは切れているけれど、と活字印刷した名刺の残りをくれた。紐はエプロンの縁などに使うもののアップサイクル。ストーリーという名前で何年もライフスタイルのショップをし、その後ピッツァも一緒に提案するようになった。ただ、コロナ騒ぎで営業ができなくなり、すべてを失ったという。でも「今まで自分のせいでビジネスをいろいろ失敗してきたけれど、今回は自分のせいじゃないから気楽。新しいスタートを切ってこれから楽しみたい」という。この場所は期間限定で、いい物件が見つかったら移動するそう。ロンドンに来たらまた是非リーの冒険を覗きにきたい。

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久々すぎるロンドン、田舎の暮らしに慣れた私はどう感じるかなと思っていたけれど、思う以上に馴染めた。それも、街角のいたるところに緑のオアシスがあるからだろう。

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バッキンガム宮殿のすぐ近く、セントジェームズパークはロンドン中心部にある8つのロイヤルパークのうちのひとつ。大きな湖に美しい庭園、多くの野鳥が住んでいる。手入れが行き届いた庭園に、こんなシンプルな枝のトレイルがとても印象的。この下にリスたちが何か隠していたのも可愛かった。

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パディントンストリートガーデンは、アパートのすぐ近く。滞在中はずっと青空が広がり最高の天気だった。どの公園にも日差しを楽しむ人たちが寛いでいた。

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私もそのひとり。歩いて歩いて歩き疲れたら、公園の芝生に座って一休み。

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森の家にいる時と同じように、大地に寝転び空を仰いだ。大地もこの空もすべて繋がっている。

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4日間、ロンドンを満喫してまた早く来たいな、と夕方シャトルバスに飛び乗って空港に向かったものの、どうやら車の炎上事故があったようで道路は封鎖され、空港に着いたのはフライト時刻を大幅に過ぎた21時。どうにか翌朝6時にヴェネツィアに着く飛行機のチケットを買い、夜を空港で過ごした。空港には夜中耐えることなく飛行機の発着があり、人が耐えずに行ったり来たり。国籍も身なりもさまざま。みんなどこかに向かっている。ひとりひとりユニークなストーリーがあって、それぞれの旅路を歩んでいるんだなと思うと、みんなが愛おしくなった。

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数時間後、無事にゲートをくぐって朝日とともにテイクオフ。2時間でヴェネツィアに到着。バスと電車を乗り継ぎ、13時すぎには無事に森の家へ。

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私の帰りを待ちわびていた末っ子のたえは、畑にたわわになっているラズベリーをご馳走してくれた。

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翌日にはアドリア海のリミニの近くにあるワイナリー、オッタヴィアーニへ。それはそれは素敵なワイナリーで、ここのマーケティングをヴェロニカが担当している。ちょうど一年前、このガラス張りの建物の中でアクアリウムのような展示をさせてもらった。それ以来オーナーたちと仲良しに。

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展示させてもらったお礼に作ったシーフードのプレートとワイングラス、それにヴェロニカがワイナリーに贈った友だちのドリンクのボトルは、ワイナリーのレストランに飾られている。

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この日は私と同じ日にロンドンから帰ったヴェロニカ、誕生日は8月14日でロンドンにいる時だった。物心着いてから誕生日会は嫌いで、まったくお祝いの会は行っていなかったヴェロニカ。去年は海を臨むとても素敵なロケーションでサプライズパーティー、それも誕生日会とは言わず「再会」の宴として、親友のカルロッタとワイナリーのマッシモが企画して大成功(その様子は一年前のブログに)。サプライズが嫌いなヴェロニカは、今年は私が主催するからみんな来てね、と、ここオッタヴィアーニの葡萄畑の真ん中で「再会」の宴が開催された。

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インテリアとフローラルデザインを得意とするカルロッタのテーブルの演出はいつもながらとても素敵。

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ヴェロニカのクライアントの提供で、贅沢に並んだシーフードでアペリティーボ。

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隣のテーブルではチェゼナティコにある砂浜のレストラン、マレのシェフ、オーマーがトマトの前菜を仕上げていた。

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長い長いテーブルについたヴェロニカの友だちはみんなユニーク。みんな懐が深海のように深く、情に厚いヴェロニカを愛してやまない人たちだ。

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黄味がとろける玉子の一品に、味噌とパルミジャーノがアクセントのリゾットを味わった後、ドルチェはみんなの持ち寄りで楽しいビュッフェのテーブルが出来上がり。

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みんなが幸せな宴には笑いが絶えなかった。ヴェロニカ、おめでとう!

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音楽と笑い声が絶えない月夜、このブドウたちは翌朝早朝に収穫され、この夜テーブルで振る舞われたシャルドネのMadaになる。この楽しい宴の記憶もボトリングされるのだろう。

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毎日世界中で星の数ほどのストーリーが紡ぎ出されている。さまざまな出会いが交わり交差し影響しあい、新たな章が始まったり終わったり。そうしてみんなのストーリーが重なり合い、複雑で奥行きがありフレーバーに富んだ終わりなきひとつの映画を作っている。ひとりひとりがユニークな楽器で、それぞれが独特の音を奏でていて、時にアダージョ(緩やかに)、時にヴィヴァーチェ(活発に)、カンタービレ(歌うように)、フェローチェ(荒々しく)などさまざまな表現をつけ、みんなでドラマチックなひとつの宇宙のシンフォニーを奏でている。そう考えたら、さまざまな出会いや経験、気付きや学びは、シンフォニーを傑作にするための大切な要素なのだと思う。

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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