ボローニャ「森の家」暮らし

夏祭りいろいろ。絶賛ヴァカンス満喫中の7月。

夏休み2カ月目。

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6年目の簡易プールは、色褪せて消耗してきた。デッキも傷んできたので、板を何枚か張り替え、手すりも手直し。家も庭も、なんでもメインテナンスは必要不可欠だ。

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プールはまだ本物を作ってもらうことは難しそうなので、来年はまた新しく簡易プールを入れ直すことになるかも。こんなプールでも、子どもたちは存分楽しんでくれている。

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プールとニワトリは、夏休みのいい暇つぶし。ニワトリは子どもたちに抱かれるとすぐ催眠術にかかったかのように寝てしまう。

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6羽いるニワトリのうち、おかげさまで毎日4羽が卵を産むようになった。とれたて新鮮なたまごがいただけるのは、ちょっとした贅沢。

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三女のたえが目玉焼きを作ってくれた。顔みたい、と口まで作ってくれて微笑ましい。

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キッチンカウンターで立ったままボナペティート。

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私はいつもはたえが起きてくるずっと前に、畑で朝食。

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心地よい日差しの中で、朝だけ咲くチコリの青紫の花やズッキーニ、エキナセア、ヒマワリなど、花々に集まるチョウやハチたちを眺めるのが大好き。

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犬たちを散歩に連れて行った後、畑仕事は陽が高くなる前に。

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4株植えたキュウリは、例年にないほど順調に育っている。

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ズッキーニも毎日収穫できるように。

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毎年いろんな種類を種から植えている。

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色とりどりなズッキーニは、美味しいだけでなく見た目でも料理を楽しくしてくれる。

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トマトも順調に育っている。

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ご近所さんの畑でも同じような夏野菜がとれるので、おすそ分けが届くことも多い。そんな時は、物々交換したり、後日料理した野菜を届けたりする。

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夏野菜をたっぷり使ったある日のランチ。いろんな色のズッキーニのほか、パプリカ、ナスなどを炒めてショートパスタと合わせて、オリーブ、塩気がきいたフェタチーズとバジルを散らせたサラダパスタ。この日はレモン、ハーブ、ニュートリショナルイーストとオリーブオイルで2日間マリネしてフライパンで焼いた豆腐も乗せて、プロテイン補給。白い宇宙船のようなズッキーニ(ホワイトブッシュスカロップスクワッシュ)は、直径10センチほどで収穫して、スライサーで薄切りに。同じく薄切りにしたパルミジャーノをかけ、オリーブオイル、レモン汁、塩、コショウ、ハチミツをドレッシングに。いくらでも食べられるくらい好き。

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ハチミツは、うちに養蜂箱を毎春置きにくるルカが届けてくれるもの。今年の収穫はどうだったか聞きに、うちから車で1時間弱のルカの工房を尋ねた。

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工房に入ると蜜と蜜蝋の甘い香りに包まれる。くっついた巣板を機械にかけて一枚ずつ分ける時に、こそげた蜜蝋から蜜を絞り出す。

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それから遠心機にかけて、

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集まった蜜をポンプでタンクに入れて、しばらく熟成させる。

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すると不純物が上にたまり、層になる(写真左)。

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それをすくったらビン詰め。通常ひとつの蜂箱から30キロ前後の蜜が採れるそう。

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上がアカシアの蜜、下がミッレフィオーレ(いろいろな花から採れたハチミツ)。ミッレフィオーレは養蜂箱を設置した場所で色も味もまったく異なり、おもしろい。

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ふと見ると、工房の壁には昔作ったルカの蜂蜜瓶の作品が。毎年秋には1ダースはハチミツの瓶を届けてくれるので、そのお礼に作ったものだった。制作の日付は2017年9月、三女のたえが生まれる一カ月前。たえはルカのハチミツを毎朝なめてきたおかげで、健康優良児、なのかもしれない。

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7月はいろいろなイベントが目白押し。マンジロ(マンジャーレ=食べる+ジラーレ=回る、巡回する、を合わせた造語)は、近所のベーカリー、カルツォラーリが毎年7月の第一日曜日に開催する、トレッキングしながらフード&ドリンクを楽しむイベント。今年は記念すべき20周年。

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集合地点は、カルツォラーリ本店がある隣町、モンギドーロ。パティスリーのコンテストでもたくさん受賞しているジーノ・ファッブリのカスタードクリーム入りのふわふわのパン、ボンボローネを受け取って、にこにこスタート。

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約13キロのトレッキング。小さな集落をいくつか通る。

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ヤギの行列と遭遇。

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各所ではパンの歴史のパフォーマンスも。

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トレッキングのガイドたちも陽気で楽しい。

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イベント主催者でベーカリーのオーナー、マッテオ・カルツォラーリは、農家と古代種の麦を何種も育てたり、地元のさまざまな食材の生産者と消費者を繋げるイベントなども幅広く行なっている。前回のマンジロではフードを提供していたアンジェラは、台湾出身のミュージシャン。ボローニャのオーケストラでコントラバスを演奏する傍ら、台湾のカルチャーを食やアートを通して広める活動をしている。今回のトレッキングで意気投合して、昔から知っている友だちのような気さえする。一緒に最後まで歩いた。

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ボローニャに住んでいた時は近所だったレストラン、クワント・バスタは、ローストポークとグリル野菜のパニーニをせっせと焼いていた。

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ちなみにマンジロでは、普通のメニューのほか、ベジタリアン、ヴィーガンのメニューもあったものの、チケットはとっくにすべて売り切れで、私はご縁があって前日に参加が決まったので、普通メニューで参加。

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発酵ドリンクを提供するファンキー・フェルメンテリオは、キックオフしたばかりの若いブランド。今のところイベントとオンライン販売のみ。いただいたのは、カルダモンとジンジャー風味のコンブチャ(紅茶キノコ)。うちで作っていた時と同じような味で、また作りたくなった。

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天気が怪しくなってきたけれど、前進あるのみ。今回小さい子たちもたくさん見かけた。私はたえが2歳弱の時に初参加して、ほぼおんぶか肩車でこの道のりを歩いたのを、こんなお母さんをみて思い出した。

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次のストップでは、カルツォラーリの大人気のクラッカーなどをセルフサービスで袋詰めに。

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ボローニャの養蜂家、BeeBoのハチミツをたっぷり使ったレモネード。いつもここに来る時は晴天で汗だくだったのに、今回は肌寒いくらい。

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雨は降ったり止んだり。でもアンジェラと友だちのリーチェンと熱心に会話しながら歩いたので、まったく気にならず。

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お次は森の中で、マンジロ常連の2軒のレストラン共作のバジルのパスタをいただいた。ポデーレ・サン・ジョルジョのフェデリカと、スカッコ・マットのマリオ。小雨が降るなかフェデリカの旦那さん、アンドレアが鍋をあおる脇で、あいあい傘の笑顔のふたりがかわいい。

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森を抜けると太陽が顔を出した。フンゴ・エクレッティコが、オイスターマッシュルームの唐揚げの串刺し、ミントとアプリコットの辛いソースかけを提供。これが今回いちばん美味しかった。

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まだまだ森を登り、森が開けたところで揚げピッツァをいただき、下山してドルチェ。

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今回の参加者は、なんと500人。2019年から参加して雨に見舞われたのは初めてだったけれど、みんないい顔していてよかった。

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うちの町の一年でいちばん大きなイベントといえば、麦の収穫祭。毎年7月中旬に4日間行われる。

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週末には目ぬき通りに出店が並び、パレードもある。

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メインの主催者は、元市長のパオロ。今年も大活躍。

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司祭の祝福を受けて、

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祝福を受けた麦の穂を、みんな少しずつ持ち帰った。

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広場ではこの辺りで伝統の踊りを踊ったり、

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昔からの手仕事の実演があったり。

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どの仕事も気が遠くなるほど時間がかかるものばかり。植物を繊維にして糸に紡いで織物にするプロセスなど、とてつもなく長い。右のおばあちゃんは麻の繊維を紡いでいたけれど、あぁまた切れちゃったわ、と肩を落としていて、なんだか励ましてあげたくなった。

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柳の枝をカゴにするのはなんとかできそう。一度ちゃんと習ってみたい手仕事だ。

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このおじいちゃんは、毎年お手製のミニチュアの模型で昔の仕事を機械式に再現していて、いつも見入ってしまう。

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麦の収穫祭の前後には、春に続いて日本から撮影隊がやってきて、夏休みの様子をたっぷりドキュメント。

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子どもたちの友だちが集まると、プール遊びに飽きたら料理対決が始まることが多い。

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この日は2チームに分かれて対決。次女のみうとレアンドロのチームは、お得意の生春巻きのフライパン焼きからはじまり、

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蛇腹に切ったズッキーニをスパイシーに焼いたもの、フライドポテト、たまご焼き、冷凍にしたスイカを削ったかき氷(のはずが、すぐ溶けてしまってスイカ水に)。

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審査員はレアンドロのお姉ちゃんたちと、たえ。なかなか辛口のコメントとふたりのプレゼンテーションがおかしくて、笑いをこらえるのに苦労。

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次は長女のゆまとカロリーナたちの番。ニンニクがきいたガスパチョ、蛇腹に切ったキュウリはゴチュジャン風味、味付け卵のライスヌードルに、カロリーナが自宅から持ってきた手作りアカシアのドリンク。

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これも審査員とのやり取りがおかしくておかしくて。すごく笑った。キッチンはすっかり荒れて、約束通りに元のように綺麗には片付かなかったけれど、たまにはいいか、夏休みだし、と片目をつぶってあげることに。

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審査結果。みうとレアンドロのチームの勝ち。

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みうはレモネード作りにはまり、この窓がお店に。

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お客さんは窓の外に並んで、葉っぱのお金で買う。たえはマッサージ屋、部屋貸し、ヘーゼルナッツ屋をはじめ、ゆまとアンジェリカはフライドポテト屋を開いた。レアンドロはビジネスインベスターで、みんなにいろいろアドバイス。いろいろよく思いつくものだ。

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みんなで賑やかに食事をしたら、キャンプファイヤーを囲んで星空の下で踊ったり。うちにいながら夏休みらしい体験がいろいろできていい。

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庭でキャンプも試みたけれど、テントが狭すぎてふたりでは寝ずらくて、そのうち喧嘩して帰ってきた。夜中強風が吹き、朝にはテントはひっくり返っていた。今度はちゃんとしたテントを買って、私も外で寝てみよう。

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初めて夜市でお店を出す経験もした。

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ドリームキャッチャーを作ろうというみうのアイディアから、森で拾った栗の枝にマクラメをして、シャンデリアのクリスタルを飾ったサンキャッチャーが出来た。

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毎週水曜日に地元で行われる夜市は、誰でも出店ができて、子どもたちもおもちゃや本などを売っている。みうのひとつ年上のカロリーナは、7歳の時から出店してきて経験豊富。昨年から私も売ってみたい!と言っていたみうとたえは、カロリーナの隣にお店を構えた。

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みうは友だちを見つけて遊びに行ってしまい、店を空けてしまった。一方たえはお客さんを連れて帰ってきて、みうより売り上げをとってうれしそう。それにお客さんにはラベンダーの花束を作ってプレゼントしてあげたり、サービス精神も旺盛。

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そんな様子を見て、みうはいろいろ思うことがあるらしく、来週もまたチャレンジしたいそう。こんな春と夏の撮影の様子は、9月に日本の某番組で放映されるそうなので、乞うご期待!

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私が試しに作った初めてのサンキャッチャーは、ジャーダとエンリコが買ってくれた。ヒーラーでもあるふたりのところに迎えてもらえてうれしい。

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撮影の間はずっと晴天だったのが、その後天気は急に崩れて雨がたくさん降った。

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恵の雨に、大地は潤い緑はより鮮やかに。

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二重にかかった虹はご褒美のよう。

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雨に誘われてか、家の前にヒキガエルがくるようになった。ニワトリに食べられないように、畑に連れていったら、夜にはキッチンのドアのところで見つけてびっくり。

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カエルの王子さま、だったらいいのに! 今度帰ってきたら家の中で寝させてあげたい、と言ったら、子どもたちに反対された。

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まだまだ続く夏休み。子どもたちと一緒に私もたくさんワクワク体験しようと思う。

小林千鶴

イタリア・ボローニャ在住の造形アーティスト。武蔵野美術大学で金属工芸を学び、2008年にイタリアへ渡る。イタリア各地のレストランやホテル、ブティック、個人宅にオーダーメイドで制作。舞台装飾やミラノサローネなどでアーティストとのコラボも行う。ボローニャ旧市街に住み、14年からボローニャ郊外にある「森の家」での暮らしもスタート。イタリア人の夫と結婚し、3人の姉妹の母。
Instagram : @chizu_kobayashi

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