Editor's Blog

素敵なうつわと空間に出合う、蔵前散策その2。

こんにちは、編集YUKIです。前回に続いて蔵前散策で出合ったものや景色をお届けします。

おいしいプラムタルトをいただいた「SHUNNO KITCHEN」主宰、二部桜子さんが蔵前のご近所のお店をいくつか教えてくださり、まず向かったのは道を挟んですぐのうつわのお店「proto」

180917_kuramae_28.jpg

ちょうど、大分県竹田市で活動する運天達也さんの個展が開催中でした。「打ち捨てられた山の樹々を活かしたい」、そんな思いで作られたといううつわたちは、それぞれ木目や節が、個性として大切に生かされていました。黒いものは墨、柿渋、鉄媒染を使って仕上げているそう。

180917_kuramae_26.jpg180917_kuramae_27.jpg

うつわは一期一会、と編集MIも書いていましたが、うつわとの出合いはまさにそんな感覚になることがあります。運天達也さんの作品によってまるで森の息吹まで感じられるかのようだったこの空間で、センダン(栴檀)の黒いボードに惹かれて購入。運天さんの個展は9月30日(日)まで開催中なので、気になる方はぜひ足を運んでみてください!

180917_kuramae_25.jpg180917_kuramae_29.jpg

「proto」に常設の作家さんたちの作品も。「SHUNNO KITCHEN」イベントでお茶を淹れていただいた、鈴木環さんの粉引のうつわ「ピジョンカップ」にも再会。両手で持つと鳩を包んだように見えることから名付けられたそう。本当に手にしっくりなじむ、愛らしいフォルムです。高台の部分は黒い素地がうっすらと透けて見えるのも素敵です。

180917_kuramae_07.jpg

次に向かったのは静岡で無農薬栽培で作られるお茶の専門店、「TEA NAKAMURA」。もうすぐ創業100年を迎えるという中村家の直営店で、試飲に出していただいた水出しのお茶がとてもまろやかでおいしい。パッケージも素敵で、海外へのお土産にも喜ばれそう。いま家にあるお茶がなくなったらここに買いにこようと決めました。

180917_kuramae_32.jpg

その後に訪れたのは、草木染め専門店「MAITO / 真糸」。蔵前と福岡の工房で、天然染料100%で草木染めを行なっているそうです。染料のディスプレイに興味津々。いちばん右は、桜。樹皮からあの淡い桜色の染料ができるというのが不思議。さまざまな色の草木染めの靴下もあり、とても履き心地がよさそうでした。

180917_kuramae_33.jpg

お店の前には、何と藍の木が栽培されていました。この時期だけ採れるというこの若い葉を使った商品は、通常の藍染めよりも淡い、美しいスカイブルーでした。

180917_kuramae_31new.jpg

さらに散策を続けながら街の雰囲気も味わいました。ビルのずっと奥のほうに静かに店を構える喫茶店や、あまり店に見えない建物で存在感を放つメニューに目が釘付けになったり、赤信号に変わりそうな横断歩道を友人と急いで渡ろうとしたら、「赤信号、ひとりで渡ると怖いよ」とおじさんが歌いながら颯爽とわたしたちを追い越していったり。転勤で住んでいた大阪が無性に懐かしく思い出されつつ、この街にはどこか緊張の糸を解かれてふっと笑顔になれる空気が流れているのを感じました。
※後日、友人が確認してくれたところ、ビルの奥の喫茶店は反対側にも入口がありました。

そして訪れたのが、「SyuRo」

180917_kuramae_35.jpg

そのお店の空間も品揃えもあまりに素敵で、“ここに住みたい”という感覚になることがあります。もうこんなにいい場所があるのだから、自分がここから何か買って帰る必要はないんじゃないかという境地にさえ達するのですが、かといって実際に住むわけにはいかず、毎日のように訪れることもできない。それで、この空間を構成している要素を、訪れるたびに少しだけ持ち帰り、自分の家に迎え入れる、という楽しみが生まれるのです。

180917_kuramae_39.jpg

訪れた日には、富山県で吹きガラスの製作を行う「WASHIZUKA GLASS STUDIO」の展覧会が行われていました。透明なうつわの中央に溶け込むように広がるゴールドの色は、着色ではなく、底面を炎で焼くことによって付けているそうです。

180917_kuramae_37.jpg

真鍮や銅、ブリキの缶は「SyuRo」のオリジナル商品。このシンプルさゆえに何に使おうか想像が広がります。

180917_kuramae_38.jpg

こちらもオリジナル商品で、電球を制作していた墨田区の工場で、「型吹き」という製法で作られているというグラス。透明なガラスとフィラメントでできたあの美しい電球をこの頃見かけなくなりましたが、その技術が生活の中で使う別のものにも生かされるのは素敵なことだなとしみじみ感じました。

「WASHIZUKA GLASS STUDIO」さんの脚付きグラスを前に友人と本気で悩みまくり、ずいぶん長い時間を過ごしましたが、結局その日はそのままお店を後にしました。展覧会は終了してしまいましたが、後日注文して、完成まで数カ月待つ、というのも豊かな時間だろうなあと考えながら、いまだにあのグラスを忘れられずにいます。

180917_kuramae_40.jpg

そして「SyuRo」からすぐの喫茶店「蕪木」へ。この美しくもめちゃくちゃ敷居の高そうな扉の足元には、現時点での店内の混雑状況が書かれています。しかも手書きで。そのホスピタリティに感激して中に入り、とってもおいしいコーヒーをいただきました。

夜も蔵前を満喫しようかとも考えましたが、その日はちょっとだけ足を延ばして浅草の「ペタンク」へ。ワインとお料理を味わいながら、蔵前散策の余韻に浸りました。

180917_kuramae_41.jpg

この日連れ帰ったものたちは、「proto」から運天達也さんのセンダンの板、「SyuRo」から銅の丸缶。我が家でジッパー付きビニール袋に入れて雑に置かれていた烏龍茶に居場所ができました。これだけでお茶を淹れる時間が何倍も楽しくなるから、うつわは偉大です。

「菓子屋 シノノメ」からスコーン、レモンとミントのクッキー、メープルクッキー。お店をご紹介できませんでしたが、ここも本当に素敵な空間で、甘く幸せな香りが立ち込めていました。近々蔵前の別の場所へお引越しをするそうなのでぜひインスタグラムなどをチェックしてみてください。あの空間にもう行けないのは残念ですが、新しいお店はどんな場所になるのか、いまからとても楽しみです。

サンフランシスコ発の人気店「ダンデライオン・チョコレート」は大盛況。ドミニカ共和国のカカオ70%のチョコレートを入手。インドで作られる、リサイクル衣料の繊維入りコットンペーパーの包装も綺麗。カカオの産地ごとにデザインが違い、日本のオリジナルグッズとしてこの紙を使ったノートも販売されています。

madameFIGARO.jpでは最近、編集者が地元のアドレスを紹介する「近所のいい店、教えます。」もスタート。蔵前は自分の地元ではありませんでしたが、地元在住の友人が同行してくれたおかげでとても充実した散策になり、ここで暮らしてみたい、と思わせるほどの魅力を感じられました。また行きたいところがたくさんあるし、「ペリカン」のパンも買い忘れたし、近々蔵前散策その3を決行しそうな予感です。

ARCHIVE

MONTHLY

夏の暑さへの準備はOK? 涼しいメイク、ひんやりボディケア。
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
Business with Attitude
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.