栗山愛以の勝手にファッション談義。

フィービー・ファイロ、カムバッグに期待を寄せて。

「フィービー・ファイロがカムバックする!」というニュースが駆け巡ったのは7月12日のこと。
これは即ブログで取り上げねばならないビッグニュース! と意気込んでいたのに、忙しさにかまけていつの間にか8月になってしまった。いやでも、詳細が発表されるのは来年1月だというから、焦ることはないのかも。
そこで今回は、第一報から時間が経ってしまったが、フィービーさんへの思いの丈を語りたいと思う。210806_kuriyama-il-01.jpg

このブログは2016年12月にスタートしていて、おかげさまで5年目に突入している。読んでくださっているみなさま本当にありがとうございます。
フィービーさんのセリーヌクリエイティブディレクター退任は17年に報じられているので、そんな大事件、絶対に何か書いたはず、と探したらやっぱりあった。

「フィービー・ファイロが最後に手がけたセリーヌ2018年プレフォールのパンツは(中略)ロゴものでも決してがちゃがちゃ、うるさい感じでなく、品格がある。こういうフィービーさんのバランス感覚に老若男女、多様な人々が吸い寄せられていったのだろうなあ。(中略)近頃フィービー風味のブランドをよく見かけるようになったが、フィービーが手がけていたセリーヌは彼らとは違ってただエレガントでシックなだけではない。私みたいなタイプもいいなあ、と思ってしまうようなパンチ力やエッジーさも持ち合わせていたからこそ唯一無二だったのでは。“フィービーロス”がモード界の流行語となっているが、またどこかでデザインしてくれるといいですねえ」(18年12月28日)

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と、自分で自分の文章を引用してしまってなんだが、この思いは3年近く経ったいまもまったく変わらない。フィービーさんを意識したのはやっぱり2010年春夏〜18年プレフォールのセリーヌ時代で、アイテムもいくつか購入した。それらを眺めていると、13年ごろの「エフォートレス」ブームを牽引したスリッポンブームなんかすごかったが、たとえば靴なんかでも「シック+エッジー」がわかるような気がしてきた。

2012年春夏のこの靴がマイ・ファースト「フィービーセリーヌ」だった気がする。

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太すぎるアンクルストラップ、板状になっていてひらべったすぎるヒールが尋常ではない。膝丈やミディ丈のスカートのシンプルシックなスタイルにずしんとこの靴が来るバランス感覚に心奪われた。実際歩くにはグラグラするのでかなりの緊張感を要するが……

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続く12-13年秋冬のゴールドのパンプスも買った。

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これは、パンツに合わせているのが印象深かった。ポインテッドトウにどかんと太いヒール。よくある「マニッシュな服+華奢なヒール」とかではない、フェミニンともマスキュリンともカテゴライズしにくいムードが生まれていて、どこにも見かけない感じで魅了されたのだった。ちなみにこの靴も決して歩きやすくはない。「エフォートレス」と評されていたわりには着心地度外視で攻めている部分もあって、ファッションの楽しさ優先主義の私はその姿勢にも共感していたから気合いで苦難を乗り越えていたのだが。

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ランジェリーモチーフ好きなので、2016年春夏も心に残った。
この時は赤いショートブーツを購入。

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ランジェリーのドレスの足元がこれだったのだが、「はずし」を狙ってあからさまにごついわけではない。ちょうどいい塩梅なのだ。これはもちろん歩きやすいのでいまも気軽にちょくちょく履いている。

フィービーさんがモード界から姿を消していろんな新作を見ているが、「なんだかフィービーセリーヌっぽいな」といまだに思うことがある。特に専売特許的なテクニックやトレードマークなんかがあったりするわけではないのに、そう人に思わせ、そしてこんなにモノがあふれている世の中で影響力を持ち続けているのはすごいことだ。「チルドレン」やフォロワーはいても、その存在に取って代わるような人は結局出てこなかった。

コロナ禍で全デザイナーが何かしらの影響を受け、徐々に希望が見えつつある今年の秋〜来年春にかけていままで以上に気合いが入ったコレクションが見られそうな予感。そんな激動の時代にフィービーさんがどんな復活を遂げるのか。今年いっぱいかけてじっくり予想を立てようかと思います。

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栗山愛以

ファッションをこよなく愛するモードなライター/エディター。辛口の愛あるコメントとイラストにファンが多数。多くの雑誌やWEBで活躍中。

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