栗山愛以の勝手にファッション談義。

なぜ! ボッテガ・ヴェネタとダニエル・リーがコラボ解消。

11月10日、モード界に激震が走った。
「ボッテガ・ヴェネタとダニエル・リーは共同決定としてコラボレーションの終了を発表します」というのだ。

ライター栗山のパリコレ観察日記」用に2022年春夏パリコレを熱心に見ていたりするとあれよあれよいう間に10月が終わり、ブログにまったく手が回っていなかった。ようやく少し落ち着いてさー何を書きましょうかね、と考えあぐねていた時にこのニュースが飛び込んできた次第。いますぐに思いを述べねばならない!といろいろほっぽり出してブログに取り組んでいる。

ダニエル・リーがボッテガ・ヴェネタを手がけるようになったのは18年7月1日から。クリエイティブディレクター就任時はフィービー・ファイロが率いていたセリーヌに在籍していたことから「フィービーチルドレン」としての注目度が高かったが、19-20年秋冬の初ランウェイを見て、これは「ただのチルドレン」ではない! と思ったのを覚えている。当時書いた記事を振り返ると「エレガンス、モード、エッジーが融合した独自の方向性をパワフルに提示」と書いている。ボッテガ・ヴェネタというブランドが持つエレガンスは保ちながら、がつんと私好みのパンチがあったのだ。「コラボレーションの終了」に際して、ボッテガ・ヴェネタの最高経営責任者(CEO)レオ・ロンゴネさんから「彼はボッテガ・ヴェネタの50年の伝統を尊重しながらも、新鮮な視点と新しいモダニティをもたらしました」、ケリング会長兼CEOフランソワ=アンリ・ピノーさんから「彼の比類なきビジョンは、ボッテガ・ヴェネタの伝統を現代にふさわしいものにし、ファッションシーンの中心へと再び導いてくれました」というコメントがあったが、まさにそれであった。
バイカー風味を融合させた、このルックとか好きだったなあ。

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その後も快進撃は続き、21年プレフォールにあたる「WARDROBE 02」の、すっかりシグニチャー となっているフェザーのパンツも良かった。

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そして、「グリーン=ボッテガ・ヴェネタ」と紐付けさせたのもダニエルさんの功績だった。ブランドのキーカラーを3年足らずで不動のものにし、そしてその色を魅力的に思わせた、というのは驚くべきことである。

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ベルリンの有名クラブ、ベルクハインを会場にした「SALON 02」(21-22年秋冬)のふてぶてしいくらいのファーのルックもたまらなかった。

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先月デトロイトで行われた「SALON 03」(22年春夏)のショーもパワフルだったし、ヒップホップカルチャーを取り込んだり、SNSを離れてデジタルジャーナルの発行に切り替える独自の姿勢も気になっていたところだった。いろんな改革をすでに成し遂げてはいるが、予定調和に落ち着くことはなく、次は何をするのかわくわくする「コラボレーション」であったのに、終了とは、本当にモード関係者が口々に言っている、「なぜ!」である。

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このブログでもたびたびダニエルさん手がけるボッテガ・ヴェネタは取り上げているのだが、出合ったら買うつもりだったバッグを逃したりして、気付けば何とまだひとつも手に入れていなかった。これはもう、迷っていた「パドル」ブーツとか、今のうちに買っておかねばならない。いっそのこと、ど真ん中の「ボッテガグリーン」にしてもいいのかも、と思っている。

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いやー、ほんとに、ボッテガ・ヴェネタとダニエルさんの今後が気になりすぎます……

 

栗山愛以

ファッションをこよなく愛するモードなライター/エディター。辛口の愛あるコメントとイラストにファンが多数。多くの雑誌やWEBで活躍中。

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