おしゃべりなうつわ

いつもの白いお皿が、お正月にちょうどいいわけ。

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これは喜多村光史さんの粉引のプレート。使い始めて何年になるだろう。初めて6枚揃えたうつわで思い入れがある。喜多村さんの白は料理の油もタレもソースもしみしみ、ぐんぐん吸い込む「ザ・粉引」。しみない加工を施したうつわも少なくない昨今にあって、本来の粉引としてあるがままの姿がものすごく好きである。これが我が家に来た頃、子供が幼くて外食が難しく、昼はママ友、夜は仕事仲間を頻繁に招き入れ料理をしては取り分けて、夜な夜な使い込んだ。子育てのハプニングに笑ったり、不甲斐なさに涙したり、心ないうわさ話に憤慨したり、話が尽きない間に、お皿にはぐんぐんしみが広がっていった。もう戻らないあの時間がここに記録されているようで愛おしい。これからも使うたび、骨董のように育ってゆけよ。ところでふちまで平らなプレートは、パレットに色を載せるように余白をとって盛り付ければ、味が混ざらず、チビチビ飲み食べするのに一番いいうつわだ。気持ちのいい白なので、お正月にも重宝している。普段使いですっかり育ったうつわとはいえ、赤や黒のうつわをプラスすればハレの顔になるのは、このうつわがもともと持っている懐の深さゆえだと思っている。最強!

[ある日のうつわ]

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純白に近い白はハレの日にも相応しいから、お気に入りに出会って枚数を揃える決断をした。

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白いお皿をメインに家にある赤と黒をかき集めてコーディネート。

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あとはチビチビと食べ進めただけ。いつかの元旦の朝。

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作り手:喜多村光史
購入した年:2009年頃
購入場所:銀座 日々

衣奈彩子

ライター/ 編集者

子育てをきっかけにふつうのごはんを美味しく見せてくれる手仕事のうつわにのめり込んだら、テーブルの上でうつわ作家たちがおしゃべりしているようで賑やかで。献立の悩みもワンオペ家事の苦労もどこへやら、毎日が明るくなった。「おしゃべりなうつわ」は、私を支えるうちのうつわの記録です。著書『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)
Instagram:@enasaiko 衣奈彩子のウェブマガジン https://contain.jp/

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