おしゃべりなうつわ

公園で摘んだ一輪がきまる花器。

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これはアダム・シルヴァーマンの花器。アメリカの陶芸家でLA発のファッション・ブランド「X-LARGE」の創設メンバーでもあるアダム・シルヴァーマンは、2002年より陶芸活動を開始したそうだが、LAの陶器メーカー「HEATH CERAMICS」のディレクターをしている頃に、日本では、プレイマウンテンやスターネット(益子)などで作家としての仕事を発表していた。すごく素敵な人だ。この壺は、その頃もとめたもの。作品展ではなく、ふらり立ち寄ったプレイマウンテンの店頭だったと思う。アダムといえば、溶岩釉のゴツゴツしたテクスチャーのブルーやピンクの焼物が目を引き人気だったのだけれど、一緒に行った夫が「これ、綺麗、欲しい」といったのは、白い釉薬のカサカサとした手触りの壺だった。「アダムなのになんでそれ?」って思ったけれど、20年近くこの花器と生活を共にしていて思うのは、ともするとカジュアルすぎるこの質感が、うちの壁や家具によく合っていたのだなということ。壺なんだからもっと厳かな雰囲気を出してもいいのに、公園で摘んだようななんでもない一輪を部屋に迎え入れる時になんともちょうどいいのだ。これほど気に入る壺形の花器にはその後出会っていない。夫よ、グッジョブ。

[ある日のうつわ]

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ある秋晴れの日、仕事帰りに一輪だけ買って帰った秋明菊の枝ぶりが小さな口径にちょうど合って嬉しい。

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花はなくともいつも窓辺に。飾るでもなく置いているのは、静かな白に癒されて心地いいから。

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作り手:アダム・シルヴァーマン
購入した年:2007年頃
購入場所:プレイマウンテン

衣奈彩子

ライター/ 編集者

子育てをきっかけにふつうのごはんを美味しく見せてくれる手仕事のうつわにのめり込んだら、テーブルの上でうつわ作家たちがおしゃべりしているようで賑やかで。献立の悩みもワンオペ家事の苦労もどこへやら、毎日が明るくなった。「おしゃべりなうつわ」は、私を支えるうちのうつわの記録です。著書『うつわディクショナリー』(CCCメディアハウス)
Instagram:@enasaiko 衣奈彩子のウェブマガジン https://contain.jp/

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