年に1度のお楽しみ。深夜の美術館でアートに浸る。
今年で15回目を迎えた、ヨーロッパ 美術館の夜(La Nuit Européenne des Musées)。市民たちにもっと美術館に親しんでもらおうと、ヨーロッパ各地で国立美術館・博物館が無料解放され、日没から深夜にかけて、様々なイベントが催されます。毎年5月にあるこのスペシャルアートナイト、今年は18日(土)に開催されました。
この時期のプロヴァンスには珍しく、あいにくの曇り空だったこの日。雨が降ったり止んだりのなか、私たちも夜の美術館巡りへ。
まず向かったのは、ジャズライブやプロジェクションマッピングが予定されていた、パヴィヨン・ドゥ・ヴァンドーム(Pavillon de Vendôme)。
ようよう暗くなりゆく庭で、ビッグバンドの音楽に乗ってふんふんと気分よくスイングしていたところに、雨が、ザーーーー。ライブは中止に。がーん。
館内では、Marie Ducatéの展覧会が開催中。ちょっと不思議でかわいい作品が並びます。
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気を取り直して次はグラネ美術館(Musée Granet)へ。
ここでは、セザンヌを始め多くの芸術家のインスピレーション源になった、エクス・アン・プロヴァンス近郊の山、サント・ヴィクトワールにまつわる特別展「SAINTE(S)-VICTOIRE(S)」が開催中。
山自体は街からすぐ近くにあって、いつでも見れるし登れるのに、セザンヌがこの山を描いた絵はあちこちに散り散りに。今回の展覧会では、普段エクスで見ることが出来ない、セザンヌのサント・ヴィクトワール山をいくつも見られます。そして、こうやって並んでいただくと、同じ山を、同じ人が描いているのに、ずいぶんと雰囲気が違うことに気づきます。なだらかに見えたり、険しく見えたり、不思議です。これがこの山の魅力ってやつなんでしょう。
この夜、グラネ美術館で特におもしろかったのが、近くの高校に通う生徒たちが、歌や寸劇で絵の説明を披露してくれたこと。絵のこと、画家のことをよく勉強して、準備してきたのがわかります。
観客たちは、展示室の床にぎゅうぎゅうに座ってその説明を聞くのですが、地べた座りが大好きな私でも、美術館の床に座るのは初めて。子どもに戻ったような気持ちで、うきうきしながら説明を聞きました。
メイクアップ学校の生徒たちによる実演もあり、そのメイク技術で生み出されたのは、画家レンブラント。インスタ映えは微妙だと思うのですが、美術館のなかで一番写真撮られてたのは、間違いなくこのレンブラントさん。
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昼間に比べて、気分が高まる夜。それってつまり、感受性も高くなってるってことですよね。そんな時にアートを見るって、普段感じないことを感じられたり、新たな発見をできたり、いいかもな、と思いました。ただ、この小さな田舎街でさえ行く場所に迷うのに、パリなんて見るべきところがありすぎて大変なんじゃなかろうか。
忘れかけてましたが、美術館で私が出合った猫を一匹ご紹介。ピカソに描かれた、こちらの子。
Pablo Picasso, Femme au chat assise dans un fauteuil.
ヨークシャテリアにも、見えなくないですね。
「ぴかそ?よくわかりませんがこの猫より、あたしの方が100倍かわいいですよね。だれかあたしの絵、描いてくれませんかね。」と、ミャウが申しております。親ばか(?)飼い主も、それに同意です。
13 Rue de la Molle, 13100 Aix-en-Provence
www.aixenprovence.fr/Musee-du-Pavillon-de-Vendome
Musée Granet/グラネ美術館
Place Saint Jean de Malte, 13100 Aix-en-Provence
www.museegranet-aixenprovence.fr/en/nc/home.html
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