台湾美茶巡り 台南の茶商「振發茶行」へ
先日、台中の茶芸館についてお書きしました。
せっかくなので、今回も台湾のお茶について。
今年のお正月休みも台湾で過ごし、コロナ渦でずっと行けなかった反動もあり、台南でお茶関連のものをプティ爆買いしてきました。
台南の宿泊は「シルクプレイス」でしたが、チェックインし真っ先に向かった先は、台南の老舗茶商「振發茶行」
以前、ブログでもご紹介していますが、台湾を代表する茶葉を扱うお店です。
コロナ渦と全く変わらぬ落ち着いた佇まいにしばし感動。
老舗を感じさせる使い込まれた道具類、相変わらず、台湾のお茶の歴史を垣間見るような雰囲気を醸し出しています。
こちらのお店はそう広くないため、購入はパーソン トゥ パーソンの対応が基本。
そのため、タイミングが悪いと、前の方の接客を待たなくてはなりません。
私のような観光客だと買い物が多く、後の方を若干お待たせしてしまうことになるので、ちょっと気がかり。
しかし、ここは台南。台北と異なり、ゆったりと時間が流れています。
店内で待つことさえも醍醐味のように、どなたもにこやかに待っていて、この街で過ごすと、お互いに誰もが寛容になれるような気がします。
さて、この時はどなたも前後にいらっしゃらないため、吟味しながら買い物することができました。
「何をお探しですか」
お店の方からの問いかけに、欲しいものが多すぎて言葉に詰まる私。
日常のもの、レッスンでお出しする目新しいもの、そして食通の方へのお土産用等々。
パッケージに記載されたネーミングに心そそられるものが多く、矢継ぎ早に質問をします。
香りのテイスティングをしつつ、近年のトレンドや、茶畑事情などコアな話で盛り上がります。
温暖化のせいか、適した栽培高度はどんどん高くなってきていることや、それに比例した味わいの変化など、私がコロナで遠ざかっいた数年の間にも、台湾茶を取り巻く環境は随分と変わってきたようです。
興味深い話は尽きず、講座でも開いていただきたいほど!
お茶はデリケートな飲み物。
栽培環境が変わってきているということは、同じ茶葉であっても以前とは異なる扱い方、淹れ方が必要なのでは?
またもや質問攻めにする私に、いやな顔をするどころか、購入品ひとつひとつにポイントや留意点を書いてくださるではありませんか!
今の時代に、使えるのはキャッシュのみ。パッケージもひとつづつ手作業で判を押し、茶葉を手詰めしているアナログさ。
しかも、上質なのにとてもリーズナブル。
何年かに一度のツーリストにさえ、こんなにも時間をかけて丁寧に接客する非効率さ。
営利とは無縁で、時代に逆行するようなことばかりですが、この無駄ともいえるような丁寧な対応ひとつひとつが、国を代表する名店に仕立てあげたのでしょうね。
帰り際、タクシーに乗り込む時でさえ、わざわざ外に出てきて、
「あ、ちょっと待って。これも飲んでみて!」バックいっぱいの試飲パッケージを持たせてくださるほど。
「茶は人を結ぶ。縁を結ぶ。」先日の言葉が改めて心を過ります。
台南のジェム、オアシス、
ありきたりの言葉しか浮かんできませんが、このお店は、いつまでもこのままであり続けて頂きたいと強く思いました。
今冬の訪問が待ちきれません。
そうそう、シルクプレイスのクラブラウンジ等も、改めてお書きしたいと思います!
ARCHIVE
MONTHLY