英国文学を映画化、少年と怪物のダークファンタジー。

Culture 2017.07.01

怪異なファンタジーをくぐり、少年の逡巡が自立への覚悟に。
『怪物はささやく』

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『永遠のこどもたち』のスペインの鬼才が英国のファンタジー文学を映画化。古屋敷の孤独な少年コナーの母恋いと自立の物語が、老樹の化身たる怪物の夢語りを触媒にして紡がれる。リーアム・ニーソンの目と声を得て、しわしわの大樹の風格に凄みと優しさを湛えた怪物は、妖しく破壊的な悪夢の力のショック療法で母の胸元のまどろみから少年を覚醒させ、眼前の現実や自分の弱さと向き合わせる。病に伏せていた母親の少年への贈り物が、怪物と相通じる絵本的なエピローグが、映画に清冽な余韻をもたらす。

『怪物はささやく』
監督/フアン・アントニオ・バヨナ
2016年、アメリカ・スペイン映画 109分
配給/ギャガ
TOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開中
http://gaga.ne.jp/kaibutsu

*「フィガロジャポン」2017年7月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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