フィガロが選ぶ、今月の5冊 間取りに引き出される、妄想を描いた13の物語。

Culture 2017.10.21

『間取りと妄想』

1709xx-livre-04.jpg

大竹昭子著 亜紀書房刊 ¥1,512

回廊のような細い廊下をくぐり、川に面して建つ三角形の部屋が、いつしか別の何かとなり、窓ガラスという薄い皮膜がなければ自分自身も溶けてなくなるような狂おしい肉体的な解放へと導かれる。「間取り」が、結界をひもとき「妄想」を引き寄せる装置になったのだろうか。想像力をかきたてられる。都市伝説とはこのようにつくられるのかもしれない。13の物語は、日常生活の場であるはずの部屋が異界への扉を開く瞬間を、ある時は官能的であり、またある時は、ふとした風の音にも虫の知らせを読み取ってしまう日本人のナイーブな感覚を、一片の静止画のごとく切り取っている。

*「フィガロジャポン」2017年10月号より抜粋

【関連記事】
漫画家・萩尾望都が、発表していた幻のSF小説。
喪失の痛みを生きている、すべての人のための小説。『茄子の輝き』

réalisation : HARUMI TAKI

Share:
  • Twitter
  • Facebook
  • Pinterest
Business with Attitude
コスチュームジュエリー
35th特設サイト
パリシティガイド
フィガロワインクラブ
BRAND SPECIAL
Ranking
Find More Stories

Magazine

FIGARO Japon

About Us

  • Twitter
  • instagram
  • facebook
  • LINE
  • Youtube
  • Pinterest
  • madameFIGARO
  • Newsweek
  • Pen
  • CONTENT STUDIO
  • 書籍
  • 大人の名古屋
  • CE MEDIA HOUSE

掲載商品の価格は、標準税率10%もしくは軽減税率8%の消費税を含んだ総額です。

COPYRIGHT SOCIETE DU FIGARO COPYRIGHT CE Media House Inc., Ltd. NO REPRODUCTION OR REPUBLICATION WITHOUT WRITTEN PERMISSION.