ハンガリーで、パンダ祖先の化石が発見!!
Culture 2017.11.14
Ⓒclover/a.collection/amanaimages
ハンガリーで1000万年前のパンダの歯が発見されました。
愛くるしいジャイアント・パンダは世界的な人気者ですが、中国にしか生息していない、というのはよく知られた常識。しかしそのパンダ、実は出身地はヨーロッパかもしれない!? という可能性があるといいます。
英科学雑誌「ニュー・サイエンティスト」によると、カナダのトロント大学の古人類学者デイビッド・べガン教授の発掘チームはこのほど、ハンガリー北部のルダバーニャという場所で発掘作業を行なっていたところ、パンダの祖先のものと思われる歯の化石を発見した。化石は1000万年くらい前のものと考えられており、中新世後期となる。
化石の形状からしてパンダの歯かもしれないと考えたべガン教授は、詳しく知るべく、フランスのポワティエ大学のルイ・ド・ボニ博士らに支援を仰ぎました。
現代のパンダのいとこ?
博士らは、歯の形や構造、削れ方などを複数のクマと比較。ちなみに、パンダを漢字で書くと「熊猫」となることや、英語で「Panda Bear」と呼ぶことからも分かるように、クマ科に属します。しかし謎多き動物のパンダ、どう進化してきたのかはまだよく分かっていないそうです。
今回見つかった歯の化石は、これまで知られていなかったパンダの一種に属すると結論が下され、「Miomaci panonnicum」と名付けられました。ド・ボニ博士によると、現代のパンダの直接的な祖先ではなく、中新世中期にパンダと分かれた「いとこ」のような感じだそう。
最古のパンダ化石はスペインで発掘
じつは2012年に、スペインでもパンダの祖先と思われる動物の化石が見つかっています。1160万年前のもので、いまのところパンダ最古の祖先と考えられています。ちなみに中国で見つかった一番古いパンダの化石は、800万年前のものになります。
べガン教授によると、ヨーロッパと中国からそれぞれ見つかった中新世後期の動物の化石には興味深い類似点が複数あり、動物たちがヨーロッパと中国を行き来していた可能性があるという。
米アイオワ大学のラッセル・シオチョン教授は、類人猿がルダバーニャからアジアの大陸部に移動したように、パンダもこのルートで移動した可能性があると指摘。ただしパンダの祖先が、アジアで進化してヨーロッパに渡ったのか、それともヨーロッパで進化してアジアに移動したのかは、いまの時点では分からないということ、とても興味深いです。
texte : SATOMI MATSUMARU