スマートフォン中毒のあなたへ、5つのアドバイス。
Culture 2018.08.31
スマートフォンがまるで自分の腕の一部のように感じ、ついつい意味もなく手にとってしまう。そんなあなたはすでにスマートフォン依存症かもしれない。今回は、依存症カウンセラーが中毒から立ち直るための具体的なアドバイスをする。
いくつかのアドバイスを実行するだけでスマートフォン中毒を軽減できる。 photo : iStock
私たちはスマートフォンに依存しやすい。セックスよりもスマートフォンを好む人も少なくない。その証拠として、フランス人の41%が誰かにぎゅっと抱きしめられることよりも、スマートフォンのほうが大切だと回答している(*1)が、心理学者、神経学者、社会学者などの専門家たちはこの社会現象を危惧している。
スマートフォンに依存しすぎると、注意力や集中力の欠如、うつ病、ノモフォビア(スマートフォンなどの携帯電話端末がないと不安になったり、恐怖を感じたりする依存症)などの症状が引き起こされる可能性がある。アップル社は先ごろ、スマートフォン中毒対策として新たな機能を発表した。それら新機能のソフトウェアを更新することでiPhoneの使用時間も減ることが期待される。しかしながら、どうやってスマートフォンから離れることができるだろうか。精神科医で依存症患者のための支援団体「SOS Addictions」のスポークスパーソンであるローレン・カリラ博士が回答する。
*1:ブイグテレコム社による調査(2017年7月実施、対象人数:2,206名)
1. スマートフォンなしで休憩する
「スマートフォンを持たない時間を作る最終目的は、スマートフォンを使用しないということではなく、使用時間をうまく自分で管理制限することです」とカリラ博士は発言する。まずは1日数回スマートフォンから離れる時間を決めることから始めようたとえば、朝起きた直後、学校や仕事から自宅に戻った時、ランチタイムなど。スマートフォンから離れることで、家族や友人と過ごす時間が増えるだろう。もしスマートフォンを触りたい衝動に駆られる不安があるのなら、あらかじめ引き出しにしまうか見えない場所に置くなどして、仕事中無意識的にインスタグラムをチェックすることなどを避けよう。「幼稚園児が大切なぬいぐるみを自分のおもちゃ箱に片付けるように、家に着いたらノートパソコンをしまってみましょう」とカリラ博士は提言する。世界的に話題となっているヒュッゲ(デンマーク語で「居心地がいい時間や空間」)に関する本の著者マイク・ヴァイキング氏も1月に行われたインタビューで同様のことを語っていた。
2. 通知の設定をオフにする
「音が鳴ったり、視覚的な通知が点灯したりすると条件反射が起こります」とカリラ博士は述べる。ロシアの生理学者イワン・パブロフの実験によれば、報酬を与える前に一定の条件を繰り返し続けると、条件反射が起こるようになるという。パブロフ博士は飼い犬たちに餌を与える前に毎回ベルの音を鳴らした。次第に犬たちはベルの音が聞こえるだけで唾液を分泌するようになった。この条件反射同様、我々もスマートフォンが鳴ると、脳の報酬系(快感を感じさせる脳内の回路)が活発に動き、否応なしに手を伸ばしてしまうのだ。この条件反射に打ち勝つため、通知設定をオフにして置くのがよい。6月6日、アップル社はプレス発表会で、通知設定に関する新たな機能を加えることを発表した。
3. 画面を白黒で表示する
スマートフォンについつい目がいってしまう理由のひとつは魅力的なことにある。そこで 画面を白黒にしてみよう。 他人の休日の写真を白黒画面で見ても、あまりおもしろくない。記者もこの実験を試してみたが、実際使用時間が半減した。どのスマートフォンでも簡単に設定を切り替えることが可能だ。カリラ博士は次のように述べている。「スマートフォンに向かう際、それが無駄な時間なのか大切な時間なのか自分自身でよく理解できるようにしておくべきです」。白黒画面にしてみると、強迫観念にとらわれたり、過剰に時間を費やしたりすることが減るだろう。
4. スマートフォンと一緒に眠らない
「スマートフォンを眠る時も一緒の毛布のような存在にしてはいけません」と依存症カウンセラーは警告する。デロイト社が行った調査によると、フランス人の41%が時間を確認するため以外の目的で真夜中にスマートフォンをチェックしてしまうという(*2)。就寝前にスマートフォンを寝室から移動させよう。スマートフォンが目覚まし時計である場合は、ベッドから離れたところに置いておくか、目覚まし時計に切り替えよう。
*2:デロイト社による調査(2016年5月〜7月実施、対象人数:2,003名)
5. 必要なときにのみスマートフォンを取り出そう
レストランに入って着席したら、あなたはスマートフォンをテーブルの上に置く派? それともポケットやバッグの中に入れておく派? たとえ画面を白黒にし、音声もオフに設定したとしても、視界に入るだけで気になるものだ。外出した際には、道がわからないときや電話が鳴ったとき以外はしまっておこう。
重要なことは、スマートフォンを手にするとき、自分自身にそれが本当に必要なのかどうか問いかけることだ。
texte : Sevin Rey (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi