年末年始は海外ドラマ三昧。#09 【海外ドラマ】茶目っ気たっぷりの天使と悪魔が、人間界を救う。

Culture 2019.12.09

神の計画のとおり、人類が最後の審判（ハルマゲドン）を目前に控えた2018年。すでに人間界には反キリストの子どもが送り込まれており、天使と悪魔たちは着々と終末に向けて準備を進めていた。そんななか、人類の危機を救うべく立ち上がったのは、人間の生活に愛着を抱いている天使アジラフェルと悪魔クロウリーだった！　ニール・ゲイマンとテリー・プラチェットの同名小説に基づく「グッド・オーメンズ」は、奇想天外な物語をコミカルに描いたファンタジー大作だ。

“人間味”あふれる天使アジラフェル（左）と悪魔クロウリー（右）。演じるマイケル・シーンとデヴィッド・テナントの絶妙なコンビネーションが最高に魅力的！

「グッド・オーメンズ」（2019年）

『クィーン』（2006年）や『フロスト×ニクソン』（08年）のマイケル・シーンと、「ドクター・フー」の10代目ドクターや「ブロードチャーチ〜殺意の町〜」（13〜17年）のデヴィッド・テナント。舞台俳優としても確固たるキャリアを持つ英国俳優の実力者が、天使と悪魔を演じる。もうこのふたりのキャスティングが成立した時点で、本作の成功は約束されたようなもの！

古今東西の美食三昧（天使だから食べる必要性はない）に、おしゃれにも余念がないアジラフェル。いっぽうのクロウリーは愛車ベントレーに乗ってクイーンのベスト盤テープを流しながら、必要もないのにサングラスをかけている。茶目っ気があって、超個性的なふたりのでこぼこコンビが、わちゃわちゃ言いながらハルマゲドン阻止を目論む姿は、とびっきりチャーミングで思わず顔がほころんでしまう。

傲岸不遜な大天使ガブリエルを嬉々として演じる「マッドメン」のジョン・ハム（左）。

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そんな彼らを取り巻くキャストが、これまた豪華。アジラフェルの上司にあたる大天使ガブリエルを演じるのは、「マッドメン」（2007〜15年）のジョン・ハム。神の声はフランシス・マクドーマンド、サタンの声はベネディクト・カンバーバッチ。ハルマゲドンには欠かせない、“ヨハネの黙示録の四騎士”のうち「戦争」はミレイユ・イーノス、「死」はブライアン・コックス、さらにユダヤ教の天使メタトロン役はデレク・ジャコビと、細かいところまで通好みでしゃれの利いた配役が実に楽しい。

宗教をテーマにしているのでなんだか難しそうと思うかもしれないが、アップテンポな会話とスケール感のある映像世界は楽しみやすい。しかも全6話とビンジウォッチング（一気見）向き。日常の憂さを晴らすにはもってこいの痛快作だ。

原作の共著者で2015年に他界したテリー・プラチェットの遺志を継いで、自ら脚本を手がけてドラマ化したニール・ゲイマン。天使と悪魔という究極の相反する立場にあるアジラフェルとクロウリーの絆からは、そんなゲイマンの強い思いが伝わってくるよう。