クリスマス――それはエリザベス女王が何度もお召し替えする日。

Culture 2019.12.19

エリザベス女王の専属スタイリスト、アンジェラ・ケリーが、女王の謎に満ちたワードローブの秘密を明かした。アンジェラの著書『The Other Side of the Coin : The Queen, the Dresser and the Wardrobe』によると、女王はクリスマスの日に何度も衣装替えをするという。

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ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツでのセレモニーに出席したエリザベス女王。(イギリス・ロンドン、2016年10月11日)photo:Getty Images

数え切れないほどのエキセントリックな帽子とカラフルなスーツで、私たちを魅了してやまないエリザベス女王。彼女にとって12月25日は特別な日だ。招待客を尊重することも巧みにやってのける女王だが、スタイリスト、アンジェラ・ケリーもその道のベテランだ。25年近く女王のスタイリストを務める著者は今年10月末に出版された『The Other Side of the Coin : The Queen, the Dresser and the Wardrobe』で、女王の充実したワードローブについてのエピソードを明かしている。

多い時は、7着の衣装替え。

「クリスマスには1日に何度も衣装替えをなさることも。年によっては5着、今年は特別に多くて7着の予定です」とアンジェラは著書の中で語っている。クリスマスの前にスタイリストは「イブニングドレスのスケッチ」を女王に提示し、晩餐会やカルテルパーティなど、シーンごとにもっともふさわしい衣装を選んでもらうという。

その選択は軽んじられるものではない。選ばれたドレスは他の招待客にとっての基準となるからだ。「陛下が晩餐会用のドレスをお選びになったら、衣装室の通路に手書きのメモが掲示されます。そこには女王がお召しになる衣装の詳細が説明され、衣装スタッフが陛下の衣装に見合った装いを招待客に提案できるようになっています」。今年、女王の厳格なドレスコードから逃れられるのは、クリスマスをバッキンガム宮殿で過ごさないことを発表したサセックス公爵夫妻(ハリー王子とメーガン妃)だけのようだ。

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エリザベス女王の結婚式の衣装をプレイバック。

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おそろいの靴を履いた王女時代のエリザベス(左)とマーガレット(右)。(ダービー伯爵とイザベル・ミルズ=レイドの結婚式、1948年7月22日)photo:Getty Images

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こちらも王位に就く前のエリザベス女王。ハリウッド女優のような雰囲気を漂わせている。(ヘアウッド伯爵とピアニストのマリオン・ソープの結婚式、1949年9月29日)photo:Getty Images

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母親と色違いのお揃いの靴で登場。パールのネックレスとブローチのアクセサリーの組み合わせもお揃い。しかし母親(エリザベス王妃、後のエリザベス王太后)とは対照的に、王女時代のエリザベス女王はコントラストを効かせた着こなしに仕上げている。ロンググローブ、バッグ、靴と、アクセサリーを黒でまとめたのがとてもおしゃれ。(カーローン・モンタギュ=ダグラス=スコットとイアン・ホッドワース・ギルモアの結婚式、ロンドン、1951年7月10日)photo:Getty Images

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妹マーガレット王女の結婚式でドレスアップしたエリザベス女王。花のようなドレスと丈の短いジャケットのアンサンブルに、華やかな場に欠かせないパールのネックレス、ブローチ、花飾りがあしらわれたべール付きの帽子を合わせて。(マーガレット王女とアンソニー・アームストロング・ジョーンズの結婚式、ロンドン、1960年5月6日)photo:Getty Images

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ハンドバッグとロンググローブを合わせるのは、女王のお気に入りのコーディネート。(ケント公爵とキャサリン・ワースリーの結婚式、1961年)photo:Getty Images

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ピンクのコートがよくお似合い。(オランダ王女マルフリートとピーテル・ファン・フォレンホーフェンの結婚式、デン・ハーグ、1967年1月10日)photo:Getty Images

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娘アンの結婚式では、鮮やかなブルーでまとめた。(アン王女とマーク・フィリップスの結婚式、ロンドン、1973年11月14日)photo:Getty Images

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オールドローズのコートはオーソドックスだが、ターバンと合わせると格調の高い装いに。(ノートン・ナッチブルとペネロペ・イーストウッドの結婚式、ロムジー、1979年10月20日)photo:Getty Images

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長男チャールズとダイアナ・スペンサーの結婚式では、プリーツドレスにTストラップパンプスと純白のグローブを合わせた。(ロンドン、1981年7月29日)photo:Getty Images

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花飾りつきの帽子につい目が行くが、女王の肩に輝いているのは、結婚祝いに贈られたウィリアムソン・ダイヤモンドからルイ・カルティエが制作したブローチ。(チャールズ皇太子とダイアナ・スペンサーの結婚式、ロンドン、1981年7月29日)photo:Getty Images

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息子アンドリューの結婚式には、ラベンダーブルーのドレス。母親のエリザベス王太后の装いと完璧なコンビネーション。(アンドリュー王子とサラ・ファーガソンの結婚式、ロンドン、1986年7月23日)photo:Getty Images

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女王はプリント物はあまり好まないが、ときにはいつもと気分を変えて柄物に挑戦することも。ただしいつも成功というわけではない。この「マルスピラミ」柄も、いかにも80年代らしいモチーフだが、あまりお似合いとはいえない。1986年のオーストラリア公式訪問の際にも着用している。(ジェイムズ・オグルヴィとジュリア・ローリンソンの結婚式、サフロン・ワルデン、1988年7月30日)photo:Getty Images

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雨の結婚式もエリザベス女王にとっては幸せな結婚式だ。赤いコートと花柄のリボンがアクセントになった帽子が、灰色の空に映える。ダイアナ妃はブルーと黒のアンサンブルに大振りの帽子をコーディネート。(チカ・ベヴァンとハリー・ハーバートの結婚式、ハンプシャー、1992年12月19日)photo : Abaca

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3世代3様に。エリザベス王太后はマスタードイエローのコートにべール付きの帽子。エリザベス女王は母親とそっくりな装いを選んでいるが、大胆なデザインの帽子で個性を出している。ダイアナ妃はいかにも90年代らしいスーツ。(リンレー卿とレディ・リンレーの結婚式、ウェストミンスター、1993年10月8日)photo:Getty Images

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世界で最も有名なイギリスのバラことエリザベス女王には、フラワープリントのドレスがよくお似合い。(サラ・アームストロング=ジョーンズとダニエル・ダニエル・チャットの結婚式、ロンドン、1994年7月14日)

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エリザベス女王はラベンダー色の名誉大使だ。(ギリシャのパウロス王子とマリー=シャンタル・ミラーの結婚式、1995年7月1日)photo:Getty Images

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とはいえ、デンマークのイングリッド王妃にお気に入りの色を取られて、女王が心穏やかでいられたかどうかは不明。サンシャインイエローのアンサンブルでイングリッド王女より目立ったのでめでたしめでたし。(ギリシャ王女アレクシアとカルロス・モラーレス・クインタナの結婚式、ロンドン、1999年7月9日)photo:Getty Images

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末息子の結婚式では、ロングプリーツドレスに刺繍の施されたチュニックを合わせて。しかも色はラベンダーで統一。(エドワード王子とソフィ・リース=ジョーンズの結婚式、ロンドン、1999年6月19日)

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パントーン社が選ぶ2018年の色を先取り。ウルトラバイオレットも着こなすエリザベス女王。(タマラ・キャサリン・グローヴナーとエドワード・ヴァン・カットセムの結婚式)photo:Getty Images

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女王なら結婚式に白を着てもいいようだ。女王が長らく反対していた、息子とカミラ・パーカー=ボウルズとの結婚式ならなおさら。(チャールズ皇太子とカミラ・パーカー=ボウルズの結婚式。ウィンザー、2005年4月9日)photo:Getty Images

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パステルブルーのロングドレスに赤銅色の刺繍はありだが、アクセサリーに黒を持ってくるのはどうだろうか。(ピーター・フィリップスとオータム・ケリーの結婚式、ウィンザー、2008年5月17日)photo:Getty Images

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ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式前夜に開かれた晩餐会には、金の唐草模様が描かれたイブニングドレスで登場。(ロンドン、2011年4月28日)photo:Getty Images

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ウェストミンスター寺院の主任司祭と同じ黄色を選んでしまったら普通は慌てるところだが、英国国教会の最高権威者たる女王は笑顔で挨拶。アンジェラ・ケリーのデザインによるドレスとコートに身を包んだ女王は、国教会と王室との繋がりを体現した。(ウィリアム王子とケイト・ミドルトンの結婚式、ロンドン、2011年4月29日)photo : Abaca

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パステルピンクも、パステルカラーの中では陛下にお似合いの色合いだ。(ザラ・フィリップスとマイク・ティンダルの結婚式、ロンドン、2011年7月30日)photo:Getty Images

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待望の孫のハリー王子の結婚式には、ビビッドなシトロングリーンの装いを選んだ女王。(ハリー王子とメーガン・マークルの結婚式、ウィンザー、2018年5月19日)photo : Getty Images

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数カ月後の孫のユージェニー王女の結婚式には、淡いブルーの装いで登場した。(ウィンザー、2018年10月12日)photo : Getty Images

texte: Tiana Soares (madame.lefigaro.fr)

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