破天荒なプリンセス、アン王女の71年を振り返る。

Culture 2021.08.16

8月15日、71歳の誕生日を迎えたエリザベス女王の一人娘のアン王女。マスコミを騒がせた恋愛、注目を集めたスポーツのキャリア......彼女はいまでも、英国王室の中で最も人気のあるメンバーの1人だ。

【写真】強烈な個性の持ち主、アン王女ってどんな人?

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英国水路部の式典に出席するアン王女。(トーントン、2019年4月25日) photo : Getty Images

1950年8月15日、イギリス・ロンドンにある9つの王立公園のひとつ、ハイドパークで21発の大砲が鳴り響いた。王女の誕生。アン・エリザベス・アリス・ルイーズ・マウントバッテン・ウィンザーこと、アン王女が生まれたのだ。

4人きょうだいの2番目であり、エリザベス女王フィリップ王配の一人娘であるアン王女は、8月15日に71歳の誕生日を迎えた。兄のチャールズ皇太子はSNSに子ども時代の写真を投稿し、妹に感動的な賛辞を送った。

 

 

父から受け継いだ歯に衣着せぬ発言で知られるアン王女は、1987年、母からプリンセス・ロイヤルの称号を授かった。倹約家としても知られており、その一面が彼女の人気を支えている。たとえば1981年の娘のザラの洗礼式に着たものと同じ黄色のアンサンブルを、32年後、エリザベス女王とウィンダミア湖を訪れた際にも着用。2019年8月にYougovが発表した英国王室で好きなメンバーについての世論調査では、15人中8位にランクインした。

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先鋭的なプリンセス

1973年11月14日、イギリスの王位継承権順位14位のアン王女は陸軍少尉のマーク・フィリップスと結婚。ふたりの結婚式は、ロイヤルファミリーで初めてテレビで放送された。マーク・フィリップスは、結婚を機に女王が提案した爵位の受け取りを辞退したとされている。ふたりの間には、エリザベス女王の“お気に入り”として知られるピーター(1977年生まれ)、ザラ(1988年生まれ)という2人の子どもがいる。子どもたちにも爵位は与えられていないが、王位継承順位のリストには入っている。

数年後、アン王女マーク・フィリップスの結婚生活は終わりを告げる。1989年、「ザ・サン」紙が、アン王女とティモシー・ローレンスという男性との間で交わされたラブレターを掲載。バッキンガム宮殿は離婚の可能性を否定していたが、1992年4月23日に離婚が成立。離婚のきっかけは、マーク・フィリップスが、自身の不倫関係によって1985年に生まれた女児の父親であることがDNA鑑定で確認されたことだと言われている。それから数カ月後の1992年12月12日、アン王女は離婚者の再婚を認めるスコットランド長老派の儀式に則って、ティモシー・ローレンスと再婚した。

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さまざまな逸話

控えめではあるが、アン王女はタブロイド紙の話題にもなってきた。1970年には、彼女と兄のチャールズ皇太子の恋愛事情がともに取り沙汰された。当時のアン王女のボーイフレンドの名前はアンドリュー・パーカー・ボウルズ。アンドリューは、チャールズ皇太子の未来の恋人、そして2番目の妻となったカミラ・シャンド(当時)の最初の夫として知られている。

それから時がたち、2001年にはスピード違反でニュースの話題に。その無謀な運転に400ポンド(約6万円)の罰金を科せられた。さらにその愛犬の攻撃性も有名だ。2003年には、エリザベス女王が飼っているコーギーのうち1匹が、アン王女の愛犬であるブルテリアのフローレンスに噛まれた後、安楽死させられた。

しかし、アン王女に関する最も印象的な出来事は、1974年3月20日の誘拐未遂事件だろう。バッキンガム宮殿から数分の場所で開催されたチャリティーイベントに出席した後、夫のマーク・フィリップス、侍女、警備員のジェームズ・ビートンと一緒に乗っていた王女の車が襲撃を受けた。犯人のイアン・ボールは車内に向けて数発発砲し、そのうちの3発がジェームズ・ビートンに命中。現場にいた運転手、警察官、ジャーナリストも負傷した。

誘拐犯の目的は、アン王女を誘拐して200万ポンド(約3億円)の身代金を得ること。最終的にイアン・ボールは逮捕され無期懲役の判決を受けた。彼は現在に至るまで精神科医療施設に拘留されている。負傷者は全員助かった。

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その情熱と活動

馬術に情熱をささげるアン王女は、馬術競技の英国代表になったこともある。1971年には総合馬術のヨーロッパチャンピオンになり、1976年7月のモントリオールオリンピックにも出場した。また、国際オリンピック委員会のメンバーであり、英国オリンピック委員会の会長も務めている。

公務に忠実なアン王女は、王室メンバーの中でも最も活動的な人物の1人であり続けている。2016年には少なくとも509回以上、公の場に登場。300以上の慈善団体の後援者であり、1970年からは世界の飢餓や病気に苦しむ子どもたちを支援する「セーブ・ザ・チルドレン」の会長を務めている。灯台管理にも熱心で、スコットランドとマン島の沿岸部で海上の航行を支援する組織「ノーザン・ライトハウス・ボード」の後援者でもある。

さらに、サバンナ・フィリップス(2010年12月29日生まれ)、アイラ・フィリップス(2012年3月29日生まれ)、ミア・ティンダル(2014年1月17日生まれ)、レナ・ティンダル(2018年6月18日生まれ)という4人の孫娘の祖母としての役割も果たしている。71歳になっても、アン王女の多忙な日々は続きそうだ。

 

text : Ségolène Forgar, Camille Lamblaut (madame.lefigaro.fr)

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