時代の変わり目に読む、私のとっておきの一冊 奇妙な日々に、一日一日を繋ぎ止めてくれる言葉たち。

Culture 2022.01.10

書物からもらったメッセージで生き方や価値観が変わることもある。クリエイター32人が、いま読み直したい本、薦めたい本とは?


小林エリカ

作家/漫画家

奇妙な日々に、一日一日を繋ぎ止めてくれる言葉たち。

此処

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池田澄子著 朔出版刊 ¥2,860

80代を迎えた池田澄子が直面した、親しい友人や伴侶の死。亡き人たちに語りかけるように紡がれた380句の句集。「『長生きのあるとき蕪の葉が綺麗』『同じ世に生まれ合わせし襖かな』。なかなか外へも旅へも出ることができず、死や病もごく近い場所にありながら、かたやオリンピックの祝祭が続いた奇妙な日々でしたが、この句集の言葉が私の一日一日を繋ぎ止めてくれました。池田澄子さんの句はいつも、台所の隅で繰り広げられるようなごく些細なことさえも、どこまでも遠くの近くの景色を私にはっきりと見せてくれるから。いまここに、生きている、死んでいる人たちのことを、思います」

Erika Kobayashi/執筆業のほか、アートの展覧会も行う。近著に、時空を超えて紡がれる家族の物語『最後の挨拶 His Last Bow』(講談社刊)など。

*「フィガロジャポン」2021年11月号より抜粋

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