プレスリーを演じたイケメン俳優、オースティン・バトラーとは?

Culture 2022.05.27

バズ・ラーマン監督の伝記映画でエルヴィスを演じたオースティン・バトラーは、今週5月25日(水)、2022年のカンヌ映画祭の階段を上ろうとしている。ディズニーチャンネル出身の存在感のある子役だった彼が、様々な表情を持つ“キング(=エルヴィス・プレスリー)”を演じた。

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メットガラに出席したオースティン・バトラー。(ニューヨーク、2022年5月2日)photography: Getty Images

彼は、今週5月25日(水)に、初めてカンヌ国際映画祭の階段を上がった。ディズニーのゴールデンボーイ、オースティン・バトラー。彼がバズ・ラーマン監督による待望の伝記映画でエルヴィスを演じる日が来るとは、誰も予想しなかっただろう。同映画は、カンヌのクロワゼット通りでプレミア上映された。この30歳の俳優は、ハリー・スタイルズ、マイルズ・テラー、アンセル・エルゴートの3人を抑えて、この役を射止めたのだ。オースティン・バトラーの "空前絶後"の演技に魅了され、「キング」の娘リサ・マリー・プレスリーは、すでに彼のオスカー受賞を予言していると言う。オースティン・バトラーの成功には、元恋人のヴァネッサ・ハジェンズやデンゼル・ワシントンの影響があるようだ。

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「エルヴィスに成り切って」

すべては2018年のクリスマス休暇から始まった。ロサンゼルスのグリフィス・パークを車で走るオースティン・バトラー。助手席には、2011年にロマンスをスタートさせた当時の恋人、ヴァネッサ・ハジェンズが乗っていた。すると、ラジオからエルヴィスがノリ良く歌う『ブルー・クリスマス』が流れてきた。「エルヴィスに成り切って」と恋人に頼まれ、それに応えた。

 

 

オースティン・バトラーは、このアイデアが嫌ではなかった。エルヴィスの物語を映画化する権利を得ようと考えたこともあったそうだ。そして、バズ・ラーマン監督が、このアーティストを題材にした長編映画を準備していることを知ったのである。4月下旬、アメリカ版ヴォーグに「惑星が一直線に並んだ気がしました。この役を得るために全力を尽くすと自分に言い聞かせました」と語っている。そして、歌手のレパートリーを一通り聴いた後、オーディションのためにビデオを録画した。しかし、彼はこのビデオを青ざめた「模造品」と見ている。

「僕はバスローブ姿でピアノの前に座り、弾き始めました」と、子供のころに独学で楽器を楽しんでいた彼は言う。「"アンチェインド・メロディ"は以前から練習していたのですが、ずっと恋人に語りかけるように歌っていたのです。その夜、母に歌いました」。その時、オースティン・バトラーは「エルヴィスの声を真似ようとはせず」、ただ「その感情を歌に注ぎ込もうとした」だけだ。そしてそれは成功した。

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デンゼルの魅力

バズ・ラーマン監督は、「私が聴いた声と、もっと重要なのは、私が心で感じたこと。それを無視することはできなかった」と振り返る。

その映像を見た監督のもとに、デンゼル・ワシントンから電話がかかってきた。デンゼル・ワシントンは、ブロードウェイミュージカル『The Iceman Cometh(氷人来たる)』でオースティン・バトラーと共演している。「デンゼル・ワシントンは私に『舞台でこの若者と一緒に演じているが、あんなに仕事熱心な人は見たことがない』と語った」とバズ・ラーマンが続ける。「そして、よし、会わなきゃと思ったのです」。

撮影は2020年3月、オーストラリアのゴールドコーストで開始された。新型コロナウィルスの発生にもかかわらず、オースティン・バトラーはアメリカに戻ることを拒み、ロッカーの役割に没頭することを選んだ。刑事ドラマシリーズのように、30歳のオースティン・バトラーは“キング”の生涯の要素を刻み込んでいった。撮影現場では、当初、彼は緊張していたものの、すぐに現場は幸福感に包まれた。「そのエネルギーを捨てて、客席の女の子を笑わせたり、赤面させたりしてみたら、すぐに恐怖心が消えたのです」と当時を振り返る。

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ディズニーの影で

カリフォルニア州アナハイム出身のオースティン・バトラーが、夢にも思わないような体験だ。1991年8月17日生まれのオースティン・バトラーは、経済的に余裕はなかったものの、両親(わずか7歳で離婚する前)と妹と時々ディズニーのテーマパークを訪れていた。この少年は、ウォルト・ディズニーの帝国が自分の経歴に忘れがたい足跡を残すことになるとは当時想像もしていなかった。

 

 

12歳のとき、ミッキーマウスが生まれたスタジオが主催するオーディションに友人と足を運んだ。そして、すべてが始まった。その後10年間、オースティン・バトラーは『ハンナ・モンタナ』や『ハイスクール・ミュージカル』のスピンオフなどのディズニー作品で、恋多きブロンドヘアの少年役を次々に演じた。2013年には『セックス・アンド・ザ・シティ』のスピンオフシリーズ『マンハッタンに恋をして 〜キャリーの日記〜』にも出演している。

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ハロー、ニューヨーク!

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「シャーペイのファビュラスアドベンチャー」のアシュレイ・ティスデイルとオースティン・バトラー。(2010)photography: Getty Images

子役出身の俳優が苦労するのは、若い俳優のイメージだ。アメリカ版ヴォーグのコラムで、「少し恥ずかしかったけれど、どこかで爪痕を残さなければならなかったのです。だから、一つひとつの仕事を成長の糧にしようと思いました」と語っている。しかし、彼は間も無く疲れから俳優業を去ろうとしていた。彼は、レンズの向こう側に行きたいと思い、カメラに投資する。しかし、それに費やす時間がなかった。2018年、エージェントから『The Iceman Cometh』のブロードウェイ主演のオファーがあった。

ニューヨーカーたちに批判にされることを心配した彼だったが、実際は全く逆だった。「劇作家ユージン・オニールの作品には多くの出演者がいるが(…)俳優はただひとり、その名はオースティン・バトラー」と、The New Yorker誌はこのショーの批評を書いた。このときから、ジェームズ・ディーンのファンである彼は、クエンティン・タランティーノやジム・ジャームッシュの映画に脇役として出演し、経歴を充実させることにしたのである。ブロンドヘアで粗さのないオースティン・バトラーはいなくなり、漆黒色の髪のハリウッドの「キング」となった。

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カイア・ガーバーの仮装

オースティン・バトラーは間もなく、2023年に最も期待される映画のひとつである『DUNE/デューン 砂の惑星2』に出演し、現在200万人のInstagramフォロワーを抱えている。恋愛に関しては、2020年にヴァネッサ・ハジェンズと別れて以来、オリビア・デジョン(エルヴィス)、リリー=ローズ・デップ(キング)、そして現在はシンディ・クロフォードの娘、カイア・ガーバー(アメリカン・ホラー・ストーリー)と交際し、5月2日に行われたMETガラに一緒に出席している。

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カイア・ガーバーとジェイコブ・エロルディがプリシラとエルビス・プレスリーの仮装で2020年のハロウィーンに登場。Capture d'écran Instagram/@kaiagerberのスクリーンショット

2020年のハロウィンでカイア・ガーバーが選んだ衣装は、不思議な偶然の産物だ。ふたりのロマンスが始まる一ヶ月前、彼女はジェイコブ・エロルディと交際していた。その夜、彼女は王の唯一の妻であるプリシラ・プレスリーのように、超ボリュームのある髪をしていた。

text: Chloé Friedmann (madame.lefigaro.fr), translation: Hanae Yamaguchi

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