新しいアートの聖地、青森を巡る 青森市 アート県青森を牽引する文化発信地。

Culture 2022.09.17

県庁所在地の青森市は文化の発信地。2000年代の施設誕生を皮切りに、「アート県青森」を牽引している。

青森県立美術館

縄文文化とリンクする、地下に広がる空間。

20220822-AOMORI-MUSEUM-OF-ART-01.jpgレンガに白い塗装を施した外観。経年変化でうっすらレンガ本来の色が見える。

20220822-AOMORI-MUSEUM-OF-ART-02.jpg奈良美智の『あおもり犬』(2005年)はアイコン的存在。冬には頭の上に雪でできた帽子がのることも。

一見シンプルに見える直方体の美術館。見どころは地下にある。建築家・青木淳がインスパイアされたのは、美術館のすぐそばにある日本最大級の縄文集落跡、三内丸山遺跡。トレンチと呼ばれる壕を意識し、地下に展示室を造り、土壁をあしらった。その地下に佇むのが奈良美智の『あおもり犬』。発掘されたかのように、よく見ると足元が埋まっている。館内には縦・横21×高さ19mにもなる大空間が広がり、マルク・シャガールのバレエ『アレコ』の背景画を展示。見上げた時、その壮大さに息をのんでしまう。

20220822-AOMORI-MUSEUM-OF-ART-03.jpg取材時は、奈良から寄託された作品を展示した『コレクション展2022-1奈良美智:北のまほろばを行く』を開催していた。

青森県立美術館
青森県青森市安田字近野185
tel:017-783-3000
営)9:30~17:00
休)第2・第4月 ※祝日の場合は開館、翌日休館
料)一般¥510
※企画展は展覧会ごとに観覧料が異なる
www.aomori-museum.jp

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青森公立大学 国際芸術センター青森

森で見つけた青森随一のアート発信地。

20220822-AOMORI-CONTEMPORARY-ART-CENTRE-01.jpg300名収容できる野外ステージと、水のテラス。インスタレーションの展示にも使われる。森を生かしたいと、建設時に伐採した木はわずか22本。

東京ドーム約7個分の広大な森林に点在する、22の作品。340本の枕木を使ったものや、石を積み上げた古い塚のようなアート。森を探索すると、自然と融合したユニークな作品に出合える。ここ国際芸術センター青森(ACAC)は、2001年に開館した芸術文化振興拠点。散策路の起点となるのは安藤忠雄が設計した野外ホールのような展示棟と、アトリエを併設した創作棟、アートレジデンスとして活用する宿泊棟。国内外のアーティストがここで創作や発表をし、市民とともに活動することで、アートを身近な存在にという思いが込められている。

20220822-AOMORI-CONTEMPORARY-ART-CENTRE-02.jpg土屋公雄作『記憶の風景』。古い枕木が並ぶ様子は、青森の鉄道の歴史を彷彿とさせる。自然の中の作品は、危険等がない限り、古くなっても手を加えない。経年変化も楽しみのひとつ。

20220822-AOMORI-CONTEMPORARY-ART-CENTRE-03.jpg川沿いに立つ小さな家は、ドイツ人アーティスト、コーネリア・コンラッズによる『隣人たち』

20220822-AOMORI-CONTEMPORARY-ART-CENTRE-04.jpg青木野枝のコールテン鋼を使った作品『雲谷―Ⅰ』。金属でありながら、空気感、軽やかさがある。青木が青森で感じた光や影、空気の揺らぎが作品にも表れている。

20220822-AOMORI-CONTEMPORARY-ART-CENTRE-05.jpg辻けいの『青森- 円2005・2017』は、2005年に制作し、17年に再制作。円の内側には、縄文時代以前から使われていたというベンガラを塗った。

20220822-AOMORI-CONTEMPORARY-ART-CENTRE-06.jpg施設の入口から展示棟に続く道には、「四季のアーケード」と呼ばれる木のトンネルが続いている。

青森公立大学 国際芸術センター青森
青森県青森市大字合子沢字山崎152-6
tel:017-764-5200
営)9:00~19:00 ※展覧会は10:00〜18:00
休)不定休
料)無料
https://acac-aomori.jp

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アート散歩の寄り道@青森市

カシュウ

トップシェフが紡ぐ、県産食材づくしのコース。

2ッ星エスキスをはじめ、国内外で活躍したシェフが独立。地元、青森県金木町の馬肉や田子のニンニクを使ったタルタルなど、県産食材をふんだんに使ったコースを展開する。ベースはフレンチだが、津軽鴨を炭火で焼き上げたりアレンジが楽しい。知らなかった青森食材に出合える、新たなデスティネーションレストランになりそう。

20220822-Kashu-02.jpg

20220822-Kashu-03.jpg料理はいずれも¥13,200のコースから。上:「馬肉 タルタル」。甘味があって濃厚な金木町の馬肉には、田子のニンニクで香りづけしたパン粉が入り、食感も楽しい逸品に。下:水と塩で仕上げた「トウモロコシの冷製スープ」。透明感のある味わいで、青森産ハーブのオイルがアクセント。

20220822-Kashu-01.jpg青森市の中心地に位置。かまくらのような店内は、カウンター席のみ。基本は1日1組限定。

Kashu
青森県青森市新町1-10-4
tel:017-718-7399
営)18:00~21:00最終入店
休)不定休
要予約
@kashu_aomori

新しいアートの聖地、
青森を巡る。

*「フィガロジャポン」2022年9月号より抜粋

photography: Kentauros Yasunaga

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