30周年のフェスティバル・ミューズは石田ゆり子! 今年も『フランス映画祭2022 横浜』の開催が決定。

Culture 2022.11.15

横浜・みなとみらい21地区で毎年開催されているフランス映画祭が、今年で初開催から30周年を迎える。節目となる今年のイベントのフェスティバル・ミューズに選ばれたのは、俳優の石田ゆり子だ。フランスにもゆかりの深い彼女が語る、30周年を迎えた映画祭とフランス映画の魅力とは?

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『フランス映画祭2022 横浜』の上映作品の発表記者会見に登壇した石田ゆり子。

フランス映画祭の日本初開催から30年。コロナ禍でもドライブインシアターやオンラインでの監督、俳優たちのトークショーなど、さまざまな方法を駆使してフランス映画の魅力を伝えてきた。今年は3年ぶりにフランスから監督や俳優が来日し、会期中にさまざまなイベントで映画ファンとの交流の機会が復活する。

「フランスの映画人の間では、日本と言ったら横浜が思い浮かぶほど、意義のあるイベントへと成長してきました」と語るのは、映画祭を主宰するユニフランスの代表、ダニエラ・エルストナー。「日本の映画ファンはフランス映画への思い入れや造詣が深く、とても大切な存在です」とイベントへの思いを語った。

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30周年の節目を迎えるフェスティバルミューズに選ばれたのは石田ゆり子。「ここにいられて幸せです」とフランス語で挨拶を告げる石田は、物心ついたころからフランスの文化にあこがれを持っていたという。

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石田は、父が海運業に携わっていたことで、幼いころから横浜にも足繁く通っていたのだという。

「2018年に映画『マチネの終わりに』の撮影で、フランス在住のジャーナリストの役を演じたのですが、モンマルトルに3週間“暮らすように”滞在することが出来て。マルシェを見て回ったり、近所の美味しいパン屋さんを訪れたり、お散歩をする時間がたくさんあって……本当に幸せな体験でした」

フェスティバルミューズに選ばれた際は「『わぁ』っていう喜びと同時に、『フランス映画の知識はそんなにないけど大丈夫かな』っていう不安がありました」という石田。「でも、なかなかこんな機会はないし、フランスの文化は本当に大好きなので、ここから勉強しようと思ってお受けしました。(……)映画は人と人との心を繋ぐ、世界共通の総合芸術です。今年はフランスからもたくさんのゲストがいらっしゃるということで、私もたくさんフランスの映画を観ながら、日本のすばらしさもみなさんにお伝えできるよう頑張りたいと思います」

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彼女が考える、フランス映画の魅力とは何なのだろうか?

「自分が女性だからなのか、特に実在する女性が描かれた作品が好きです。『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』(2007年)だったり、『ココ・アヴァン・シャネル』(09年)だったり……。“年を重ねる”という、人間が抗えないモノにぶつかった時に、それをすごく自然に受け入れるというか……。正直な感じがします。フランスの魅力は“マダム”という言葉に尽きると思っていて。人生の先輩たちが本当に美しい、そこがフランス映画の魅力ではないかと思っています」

今年の映画祭は、横浜市が芸術、料理、文化の面からフランスを紹介する「フランス月間」にも重なっているのだという。横浜でフランスの世界に浸れる、心地よい時間を堪能しよう。

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フランス映画祭2022 横浜
Festival du film français au Japon 2022
会期:12月1日(木)〜4日(日)
場所:横浜・みなとみらい21地区を中心に開催
https://unifrance.jp/festival/2022
©︎unifrance

 

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今年も各国の映画祭で話題となった作品が勢ぞろい! 上映作品の一部を紹介。

『EIFFEL(原題)』

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© 2021 VVZ Production – Pathé Films – Constantin Film Produktion – M6 Films

アメリカ〈自由の女神像〉の制作に協力したことで大いなる名声を獲得した、ギュスターヴ・エッフェル(ロマン・デュリス)。世間では 3 年後の 1889 年に開催される「パリ万国博覧会」の話題でもちきりだった。そのシンボルモニュメント制作のコンクールには全く興味のなかったエッフェルだが、パーティーの席で大臣から強く参加を要請される。さらに、久しぶりに再会した友人で記者のアントワーヌ・ド・レスタック(ピエール・ドゥラドンシャン)の妻・アドリエンヌ(エマ・マッキー)から「大臣と同感です。ぜひ見てみたい。野心作を」と言われたエッフェルは突然、「ブルジョワも労働者も皆が楽しめるように、パリの真ん中に 300m の塔をすべて金属で造る」と宣言する。実は初対面のふりをしたレスタックの妻は、エッフェルにとって忘れられない女性だった――。

●監督/マルタン・ブルブロン
●出演/ロマン・デュリス、エマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン、アルマンド・ブーランジェ、ブルーノ・ラファエリ
●2021年、フランス・ドイツ・ベルギー映画●108分/R-15●配給/キノフィルムズ
3月3日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開

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フルタイム 

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©DR

夫と離婚したジュリーは田舎町でのふたりの子どもの育児と、パリの高級ホテルでのハウスキーパーの仕事に奔走している。かねてから希望していた職種の面接にようやくたどり着いたその時、ゼネストの影響で公共交通機関が麻痺してしまい、ギリギリのバランスで成り立っていたジュリーの生活がぐらつき始める。ジュリーは状況を打開するために、すべてを失うリスクを冒して全速力で走り回る。第78回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門、監督賞および女優賞受賞作。

●監督/エリック・グラヴェル
●出演/ロール・カラミー、アンヌ・スアレス、ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ
●2021年、フランス映画●87分

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『幻滅』

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© 2021 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 3 CINÉMA - GABRIEL INC. – UMEDIA

舞台は19世紀前半。恐怖政治の時代が終わり、フランスは宮廷貴族が復活し、自由と享楽的な生活を謳歌していた。文学を愛し、詩人として成功を夢見る田舎の純朴な青年リュシアンは、憧れのパリに、彼を熱烈に愛する貴族の人妻、ルイーズと駆け落ち同然に上京する。だが、世間知らずで無作法な彼は、社交界で笑い者にされる。生活のためになんとか手にした新聞記者の仕事において、恥も外聞もなく金のために魂を売る同僚たちに感化され、当初の目的を忘れ欲と虚飾と快楽にまみれた世界に身を投じていく。挙句の果ては、当時二分されていた王制派と自由派の対立に巻き込まれていくが……。バルザックの小説を映画化、第78回ベネチア国際映画祭  コンペティション部門出展作品。

●監督/グザヴィエ・ジャノリ
●出演/バンジャマン・ヴォワザン、セシル・ド・フランスヴァンサン・ラコスト、グザヴィエ・ドラン
●2022年、フランス映画
●149分
●配給/ハーク

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『イヌとイタリア人、お断り!』

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©Les Films du Tambour de Soie

今年はフランスが誇るアニメーションやストップモーションアニメも豊富に上映。

20世紀初頭、ウゲット一族の発祥の地、イタリア北部のウゲッテーラ。この地域で生活できなくなったウゲット一家は、外国で生活を立て直すことを夢みる。言い伝えによれば、ルイジ・ウゲットはアルプスの山々を超えてフランスで新しい生活を始め、彼が愛した家族の運命を変えたのだ。そんなルイジの人生を孫が振り返る。

●監督/アラン・ウゲット
●2022年、フランス、イタリア、ベルギー、スイス、ポルトガル映画
●70分

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『The Passengers of the Night (英題)』

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© 2021 NORD-OUEST FILMS – ARTE FRANCE CINÉMA

1981年、パリ。街は選挙の祝賀ムードに包まれ、希望と変革の雰囲気で溢れていた。そんな中、エリザベートの結婚生活は終わりを迎える。ひとりで子どもたちを養うことになったエリザベートは、深夜放送のラジオ番組の仕事に就くことに。そこで出会った家出少女のタルラを自宅へ招き入れ、交流を重ねるなかでエリザベートやその子供たちの心に変化が訪れる――。第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品。

●監督/ミカエル・アース
●出演/シャルロット・ゲンズブール、キト・レイヨン=リシュテル、ノエ・アビタ、エマニュエル・ベアール
●2022年、フランス映画
●111分/R-15
●配給/ビターズ・エンド
2023年4月 新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国ロードショー

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『あのこと』

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© 2021 RECTANGLE PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINÉMA - WILD BUNCH - SRAB FILM

2022年度ノーベル文学賞受賞アニー・エルノー原作作品。1960年代、フランス。大学生のアンヌは予期せぬ妊娠をし、狼狽する。学位と未来のためにいまは産めないが、中絶は違法。アンヌはあらゆる解決策に挑むのだが──。2021年ヴェネチア国際映画祭 金獅子賞受賞。

●監督/オードレイ・ディヴァン
●出演/アナマリア・ヴァルトロメイ、ケイシー・モッテ・クライン、ルアナ・バイラミ、ルイーズ・オリー=ディケロ
●2021年、フランス映画
●100分/R-15
●配給/ギャガ
12月2日(金)Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー

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『ロデオ』

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©CG CINÉMA

社会の片隅で卑屈な策略を巡らして生きている若い女性ジュリアは、動物的とも言えるほどの貪欲さでバイクに情熱を傾けている。ある夏の日、彼女はクロスビトゥームという、ヘルメットを装着せず全速力で走り、アクロバティックな技を繰り出すバイカーたちに出会う。しかし彼女はある事故をきっかけにグループ内での立場が弱くなることを察知し、主に若い男性で構成されるこの秘密結社に潜入することになるのだが……。2022年カンヌ国際映画祭 ある視点部門審査員特別賞受賞。

●監督・脚本/ローラ・キヴォロン
●出演/ジュリー・ルドルー、ヤニス・ラフキ、アントニア・ブレシ、コディ・シュローダー
●2022年、フランス映画
●104分
●配給/リアリーライクフィルムズ
2023年6月公開予定

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ワン・ファイン・モーニング(仮)

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©DR

サンドラは夫を亡くした後、翻訳の仕事につきながらひとりで8歳の娘リンを育てている。また、忙しい仕事の合間を縫って、神経変則疾患の病気を持つ年老いた父親ゲオルクを見舞っている。彼女と家族は、彼が老人ホームに入れるように奮闘しているが、思うように進まない。サンドラは不安と孤独を抱える中で、かつて友人だった既婚の男性クレマンと再会する。彼女は自分を理解してくれるクレマンと過ごしているうちに、次第に恋に落ちていく……。第75回カンヌ映画祭監督週間 ヨーロッパ・シネマ・レーベル賞受賞。

●監督/ミア・ハンセン=ラブ
●出演/レア・セドゥ、パスカル・グレゴリー、メルヴィル・プポー
●2022年、フランス、イギリス、ドイツ映画
●112分
●配給/アンプラグド

【合わせて読みたい】
▶︎▶︎現代フランス映画の流れがみえてくる横浜フランス映画祭。

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