「王室の称号を剥奪しろ」英国議会でも波紋を呼んだハリー王子とメーガン夫人のドキュメンタリー番組。

Culture 2022.12.12

12月8日にNetflixで公開された番組「ハリー&メーガン」は、英国で話題を呼んでいる。保守党議員は、2020年からカリフォルニアに亡命したハリー王子夫妻を退陣させるよう英国政府に迫ったほどである。

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公開された「ハリー&メーガン」を観る英国民。photography: aflo

告発ドキュメンタリー番組として公開が始まった『メーガンとハリー』は、すでに大きな波紋を呼んでいる。12月8日からNetflixで配信されている最初の3つのエピソードでは、メーガン夫人とハリー王子がイギリスと決別し、カリフォルニアへと亡命したことが正当化されている。原因は何かと言えば? イギリスのタブロイド紙によるメディアリンチ、そして混血で離婚歴のあるアメリカ人女優メーガン夫人に対する英国王室のよそよそしい振る舞いがあったという。

一部の保守系メディアは、このドキュメンタリー番組には王室を擁護する内容が含まれておらず、一方的な内容となっていることを非難しており、英週刊誌「スペクテイター」は「退屈でナルシスティック」とまで批評している。また、ある国会議員はさらに踏み込んで、12月9日(金)の『デイリー・メール』に次のように語っている。

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コモンウェルス(イギリス連邦)の遺産

昨年9月に亡くなったエリザベス女王の孫であるハリー王子が、母国に対して思いやりがなく、2年前から家族に対して深刻な非難を訴えているのは事実である。ハリー王子夫妻は、イギリスという国は「人種問題を抱えた国」であり、妻や子供たちが王政に溶け込むことを決して許さないという人種差別が内在していると訴えている。そして、祖母エリザベス女王、父チャールズ3世、兄ウィリアム皇太子は、無意識だったとしても「非常に高いレベルの偏見」を今も抱いていると考えている。ハリー王子は妻メーガン夫人に支えられながら、植民地時代から「何も変わっていない」と悔やんでいる。

しかし、ハリー王子夫妻の言動が王室の評判を汚すような厳しいものであっても、王室称号の剥奪には、政府内での大きな駆け引きが必要となる。それには、1917年に制定された「称号剥奪法」と呼ばれる法律を改正する必要があるのだ。これは、第一次世界大戦でドイツ軍を支援した人たちの名誉を奪うために作られた法律である。「ハリー王子夫妻は家族を破壊し、その不幸を大衆にさらしてお金に換えるだけでなく、英国にとって重要な英連邦諸国をも攻撃しているのです」と同国会議員は述べた。

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法律改正

保守党のボブ・シーリー議員の要望は、現在審議中の法案に支えられ、実を結ぶ可能性がある。労働党のレイチェル・マスケル議員も、今度はアンドルー王子をターゲットに、英国政府に法律を改正することを望んでいる。エリザベス女王の息子アンドルー王子は、アメリカの大富豪ジェフリー・エプスタインの被害者であるバージニア・ジュフリーによる性的虐待の告発を受け、2022年1月に軍の肩書と慈善団体のスポンサーシップを剥奪された。しかし、ヨーク公の称号と「ロイヤル・ハイネス」の呼称はそのままであった。

ハリー王子とメーガン・マークルには脅威がつきまとうことになりそうだ。彼らの反論者がAP通信にも別のメッセージを送っており、ハリー王子夫妻を批判した。「彼らがそこまで王室を嫌っているのなら、何故王室の肩書きを使ってパレードをするのだろうか?」と行動一貫性がないと訴えた。メーガン夫人とハリー王子のドキュメンタリー番組は、夫妻と王室のメロドラマに終止符を打つだろうか。確実なものもないが、不可能なものもない。

text: Léa Mabilon (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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