いま明かされる、ゲンズブール一家の複雑な関係性。

Culture 2023.05.10

フランスで上映中のコメディ映画『La vie pour de vrai』で、ダニー・ブーンと共演したシャルロット・ゲンズブール。現在51歳の彼女の子どもたちは、生まれた時にすでに亡くなっていた祖父セルジュ・ゲンズブールの存在をどのように受けとめたのだろう?

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『La Vie pour de vrai(英タイトルLife for Real)』のプレミア上映会でのシャルロット・ゲンズブール。(パリ、2023年4月18日) photography: Abaca

セルジュ・ゲンズブールは1991年3月2日に亡くなった後もフランス人にとって特別な存在だ。しかしこの国民的人物の家族、とりわけ孫はどのように感じているのだろうか。娘のシャルロット・ゲンズブールは、4月16日の仏「Version Femina」誌のインタビュー記事で、子どものベン、アリス、ジョーとセルジュ・ゲンズブールの関係について語っている。「ゲンズブール家では......おじいちゃんがいなかった!」と。

「(セルジュ・ゲンズブールの死から約6年後の1997年に)ベンを産んだ時、私はまだ深い悲しみから癒えておらず、イヴァン(アタル)は子どもに良くない影響があることを心配しました。だから父の話題は避けていたのです」とシャルロットは言う。「いずれにせよ、私には父のことを口にすることも、父の歌を聴くことも不可能でした」と当時の心境を語った。

しかし、子どもたちは祖父との繋がりを築くことができた。それは(ある意味当然ながら)音楽を通じてだった。「ベンもアリスも、それぞれ祖父の音楽を聴くようになりました。ベンは『幸せな子供たちへ』がきっかけとなりました。アリスの場合は、『ボニーとクライド』などバルドーがらみの歌でした。末娘のジョーは『デカダンス』を4歳の時、訳もわからず歌っていて、愉快でした。3人とも違った影響を受けているのが興味深いです」

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息子のベンとの複雑な関係

ゲンズブール家の家族関係はなにかとややこしい。シャルロット・ゲンズブールとイヴァン・アタルの長男ベン・アタルは今月、ポッドキャスト「Tant Qu'il Aura des Hommes!」にゲスト出演し、過去には母との関係が悪かったことを率直に語った。母のことは「なににも増して」愛しているものの、昔は「とてもとげとげしい関係になり、いまでもそのことを話そうとすると声が震えます」と動揺しながら語った。ベン・アタルがいまも癒えない心の傷を子ども時代に負ったのはある出来事が影響している。シャルロットの異父姉ケイト・バリーが亡くなったことで両親がニューヨークへ引っ越してしまったのだ。

【関連記事】ベン・アタル、母シャルロットとの複雑な関係明かす。

2013年、ケイト・バリーが自宅アパートからの転落事故で命を落とし、シャルロットは慌ただしくパリを去った。だがベン・アタルはこれに反発し、単身でイギリスのバースへ向かった。そしてたった15歳で料理人として働き始めた。「ちょっと乱暴な別れ方でした」とベンも言う。これで母親との仲はさらに悪くなった。「なんでそうなったのかいまでもわかりませんが、何年も母が不在で、捨てられたというコンプレックスがあったのかもしれません」と当時を振り返った。学業も不振だった。当時「落ちこぼれ」と言われたベンは今日、「落ちこぼれになる生徒は家庭に問題を抱えているんです」と言う。月日は流れ、ゲンズブール・アタル家はいまや結束力の強い家族のように見える。

ポッドキャストの出演時にベン・アタルは祖母ジェーン・バーキンとの関係についても語っている。俳優となった25歳のベンは子どもの頃、“ジェーンおばあちゃん”と会う機会があまりなかったと言う。「最近会うようになったけれど、長いことずっと会話していませんでした。今日、おばあちゃんは弱って、なんと言うか助けが必要なのです。(中略)おばあちゃんのそばにいなくてはなりません」とコラムニストのジュリア・モルクーに語った。

ベンは父方の祖父母の方が身近な存在に感じてきたと言う。それは彼が生まれる前に母方の祖父セルジュ・ゲンズブールが亡くなったことにも原因がある。「母は、彼の死をとてもつらく感じていました。腫れ物に触るような感じで、家ではラジオから歌が流れるとすぐにチャンネルを切り替えていました」

text: Ségolène Forgar (madame.lefigaro.fr)

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