インド占星術師ARAKIに聞いた、これからの日本の動きと環境。

Culture 2023.07.23

AIなどのテクノロジーが進化し、利便性が増す一方で、世界各地で天災や紛争などの暗いニュースが影を落とすなか、私たちが暮らす日本や社会のあり方はどう変化していくのか、またその変化にどう対応していくべきなのか。古代インドで誕生し、光の知識と言われるジョーティッシュを専門とするジョーティルマヤ ARAKIに、向き合い方と心得を聞いた。


パンデミック禍の緊張や警戒感が少しずつ解け、元の日常が戻ってきたとはいえ、先行き不透明な時代に日本と私たちを取り巻く社会の未来が気になるところ。そこで、誕生(設立)時の正確な日付・時刻・場所をもとに出生図を割り出し、その時の太陽・月・惑星・星座の位置や角度から、人や国、企業の特性や運勢を読み解くことが可能なインド占星術(以下、ジョーティッシュ)のジョーティルマヤ(インド占星術師)ARAKIに、これからの日本(*1)や社会の動きについて話を聞いた。

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“風”の性質が強まり、“個”の時代が到来。

「2023年1月17日から25年3月29日まで、土星は水瓶座の位置に留まります。これは “風”の性質が強まることを意味します。人と人との関係においてはソロ活(ひとりで活動すること)が近年増えていますが、ますますこの傾向が強まりそうです。同じ考えを持つ人が集まる小さなコミュニティといったもの、国家においても、会社組織においても、中央集権より非中央集権(主体を持たない分散型の組織)が支持されるでしょう。国同士の繋がりも分散化し、アメリカ一強の状態から変化していくと思われます。この約2年間は、すべてにおいて『分散化』します。それは人や国の関係だけでなく、マスメディア、エネルギー、お金、ライフスタイルといったあらゆるものを含みます。また、水瓶座の位置にいる土星の特性には『より個性を発揮していく』というものも。そこで大切になってくるのが、いままで以上に個性や『らしさ』を尊重し合うこと。家族においても、ひとつにまとまるというよりは、それぞれのライフスタイルを尊重し合いながら暮らしていく、というイメージです。家族の形態も血の繋がりや婚姻状態に縛られない関係(事実婚)がもっと一般化するかもしれません。コミュニティについては、似たような価値観を持った人だけの小さな集まりや、リーダー不在で上下関係がなく個々を尊重するという、ある種、本当の意味での民主主義的な組織のあり方に居心地のよさを感じる人が多くなると思います」

各自が個性を発揮していく、そして他者の個性を尊重していくことが、変化の時代を乗り切っていくひとつの鍵。25年3月30日に、土星は「柔軟性」「清らかさ」といった“水”の性質を持つ魚座に移動するので、“風”の持つ「移動」「変化」といった特性の影響は徐々に弱まっていくが、それまではいまの勢いが続くことを心に留めておいて。

国内外から注目を集める、美しき日本の地方。

日本という国にとっては、具体的にどんな時代になっていくのか?「日本は、23年5月2日から24年7月2日までの約1年間、ポジティブな金星の影響を受けています。出生図で金星が『土地・乗り物』を表す4室にあるので、土地・国土・乗り物関連からの喜び、恩恵が受けられます。たとえば、美しい自然を擁する国土が観光地として注目されるとか、日本各地の魅力が世界各国から注目されるといったことです。ただし、国が主導するというよりは、先ほどの『分散化』『地方分権』の流れを受け、地方へ投資したその先は、地方主導で行うといった方法が功を奏すると思われます。そして各地方・地域の特徴そのものが大切にされてくるのではないでしょうか。外交に関しては、現在の金星の時期は百点満点とは言えないですが大変良い時期です。G7広島サミット2023が滞りなく終了、韓国とのシャトル外交の再開(23年3月16日に再開合意、5月7~8日に合意に基づき岸田総理が韓国を訪問)などが象徴しています。そして国内の動きでは、テクノロジーの進歩。これからの2年で日本でも勢いよくデジタル化が進むと思います」

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約2年間のコロナ禍での努力が、いま花開く。

もちろんこうした変化は土星が水瓶座に移動したからといって瞬時にやってくるものではない。20年1月24日から土星は山羊座に移動し、約2年もの間留まっていた(*2)。この時期が日本にとって「試練を感じる時期」だったのは、コロナ禍によって経済活動が制限されたり、オリンピックの延期だったりが例として挙げられる。国レベルではもちろん、多くの人にとって個人レベルでも辛いことが多かった時期ではあったものの、振り返ってみると在宅ワークという新しい働き方や、オンラインで何かを発信したり学んだりというスタイルが広まり、あらためて人生を見つめ直した人も多かったのでは? こうした一連の流れが「自分の才能・アイデンティティを見つけ、これから発揮していく」未来への星の動きに結びついているのだ。

他者に配慮しながら、個性を発揮することが鍵。

では、個性を発揮していくうえで、古代インドからの思想哲学・宗教とも深い関わりのあるジョーティッシュの視点で気をつけたいことは? 「内面をしっかり見つめ、自身の個性を磨き発揮することに勇気を持って取り組み、他者と比較しないこと。個性を生かすことがエゴ(自分さえよければいい)の助長にならないように注意すること。そして変化が激しい時代には、変化についていけずにメンタルに不調をきたす人も出るでしょう。だからこそ思考を休めたり、瞑想やヨガなどを含むセルフケアといったものも必要になってきます」

また、デジタル化・AI化が進むからこそ、逆に人の温もりや愛がより強く求められるようになるとも。「自分自身が問われる」というこれからの2年、互いに尊重し合いながら自分が輝ける場所を探していきたい。

ジョーティルマヤ アラキ/Jyotirmaya Araki
会社員時代に、この先の進む道に迷い、ジョーティッシュに出合う。ヴェーダ(聖典)を譲り受け継ぐパンディット家系・ヒンドゥー神官でもある師よりジョーティッシュを学んだ後、インド占星術師に。的確なリーディングで鑑定後の評価が高い。オンラインにて個人鑑定や講座も行う。
https://jyotirmaya.jp

*1: 現代日本の誕生は、サンフランシスコで調印された対日平和条約発効の日である1952年4月28日とし、それをもとに出生図を割り出している。

*2:2022年4月29日~7月12日までは一時的に水瓶座に在住していた。

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*「フィガロジャポン」2023年8月号より抜粋

text: Natsuko Kadokura illustration: Yuka Okazaki

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