いま読みたい、女性作家による小説、エッセイ、絵本。
Culture 2024.04.13
あまりにも刺さりすぎる、アラサー必読の問題作。
『私は元気がありません』
イラストレーターの雪は同い年で会社員の吾郎と同棲中。高校の友だちりっちゃんと飲むといつもあの頃の話になる。ずっと変わらないでいることなんて無理だってわかっているけど、年相応になんかなれない。そんなどっちつかずのジレンマが刺さりすぎる表題作ほか全3編は、モデルで俳優の長井短による初の小説集。なかったことにして諦めきれない気持ちが大人になりきれない現実をぶっ飛ばして輝いてしまう、この切なさは唯一無二。
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この日記エッセイはクセになる、ハマる人続出の著者の最新刊。
『おくれ毛で風を切れ』
日記エッセイの達人として刊行が相次いでいる著者の最新刊。中学生の息子と小学生の娘と3人暮らし。綴られているのは日々のことだ。出がけに娘の後ろ姿を見ると、束ねきれていない髪の毛が肩に落ちていた。「おくれ毛があるよ。結びなおそうか」と声をかけると「大丈夫。おくれ毛すらも力に変えるから」と。そんな何気ないエピソードの連なりなのに、読むほどに日常の解像度が上がる気がしてくる。この心地よさはクセになる。
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ファッションの極意を知る、パリジェンヌによる指南書。
『ジェントルウーマン しなやかな強さをつくるAtoZ』
「わたしはずっと自分は変わり者で、かっこ悪くて、周囲から浮いていると思っていた」とパリのデザイナー、ヴァネッサ・スワードは語る。しかし、だからこそ「見た目を意識することで、内気な自分を奮い立たせてきたのだ」と。外見に縛られず「ウェルビーイング(幸福)」と「コンフォート(快適)」を追求するにはどうすべきか。ファッションの経験と極意を魅力的なエピソードとともに語り尽くした、これからの女性のための指南書。
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自分の色で生きていく、ピンクのカラスの物語。
『ピンクのカラス』
ある日、カラスは言われました。「もしキミの羽がピンクだったら、きっと愛されるよ」。黒だから、いやがられる? こわがられる? 自分の羽の色について考え始めたカラスが、さまざまな色に染まるうち、大切なことに気付き、ほかの誰でもない自分自身として逞しく一歩を踏み出すまでの物語。力強いタッチの画は牧かほり。長年ビューティエディターとして活躍してきた著者が自ら出版社を立ち上げ、送り出した「大人のための絵本」。
【合わせて読みたい】
夢を形に。大人の心にもささる絵本『ピンクのカラス』を松本千登世がつくった理由。
*「フィガロジャポン」2024年5月号より抜粋
text: Harumi Taki