坂本美雨が選ぶ、「やっぱり猫が好き」になる6冊。【いま知りたいことを、本の中に見つける vol.20】
Culture 2025.09.13
知りたい、深めたい、共感したい──私たちのそんな欲求にこたえる本を26テーマ別に紹介。各テーマの選者を手がけた賢者の言葉から、世界が変わって見えてくる贅沢な読書体験へ!
vol.20は「やっぱり猫が好き」をテーマに、ミュージシャン・坂本美雨が選んだ6冊を紹介。犬に比べると表情が読み取りにくい猫。本当はどう思ってるの? 本とともに猫沼へ――。
選者:坂本美雨(ミュージシャン)
やっぱり猫が好き。
14年連れ添った愛猫サバ美を亡くしてこの8月で1年になる。サバ美は人生の大変動の時期を共にし、支え合ったパートナーだった。最後の半年はしっかり介護をさせてもらい、徐々に身体の機能が落ちていくなかでも生命力の輝きを毎日放っていた。私の腕の中で息を引き取った最期は、本当に命を生き切った、美しい姿だった。介護の時間は、サバ美を自分の中に染み込ませていく時間で、この期間に愛おしい存在の身体がなくなることを覚悟し、魂のつながりのようなものを得たのだと思う。だから喪失感を超えていまもサバ美と一緒に生きることができている。そんな、猫と共に生きることの喜びを感じる6冊です。
白猫トップ¥15,400、デニムパンツ¥39,600/ともにディーゼル(ディーゼル ジャパン)
1. 『また猫と
猫の挽歌集』
仁尾智著 雷鳥社刊 ¥1,980
介護の最中も見送ってからも、何度涙したかわからない。長年保護猫をお世話し続けている歌人の仁尾智さんによる、猫の死と向き合うなかで湧き立つ、悲しみだけではない様々なグラデーションの感情がぎゅっと濃縮された短歌集。「猫であく穴は猫でも埋まらないけど猫だけが入れるかたち」。もうこんな別れは二度といやだという気持ちが大きく包み込まれ、また猫と暮らしたい、という心の隅っこにある気持ちが膨らんでくる。
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2. 『コムタンっていうネコの本』
太田メグ著 ステレオサウンド刊 ¥1,650
親友の太田メグちゃんによる、パートナーだった"コムタン"そして途中で増えた人間の家族との暮らしの記録。コムタンとうちのサバ美は推定同じ時期に生まれ、打ち合わせたかのように同じ月に旅立った不思議なご縁だった。作者による膨大な日々の写真のなかから、 SNSでもたくさんの人に愛されたコムタンの魅力と、コムタンが人間の弟と築いた幸せな日々が伝わってくる。
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3. 『退屈をあげる』
坂本千明著 青土社刊 ¥1,430
信頼する猫仲間で版画作家の坂本千明さんによる、外猫から飼い猫になった猫の視点から語られる物語。家の中で暮らすことは猫にとって幸せ? 本当はどう思ってるの? というのは保護猫の飼い主の心の片隅にある問いだと思う。精一杯、退屈な幸せをあげるからね、と心に誓い、度々読み返す一冊。版画の味わいも素晴らしく、思わず触れたくなる猫の質感。
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4. 『イオビエ
イオがくれた幸せへの切符』
猫沢エミ著 TAC 出版刊 ¥1,980
動物も人間の場合も、介護に直面するにあたって様々なケースを知っておくことがとても助けになる。友人の猫沢エミさんが保護猫のイオを看取った経験を細かに綴ってくれていたのは、たくさんの人を救ったことと思う。私もその一人。エミさんの芯の強さと自分を信じる姿に励まされ、自分にもその時が来たらきっと乗り越えられると勇気をもらってきた。イオとエミさんに永遠の愛を見せてもらえる。
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5. 『猫の困った行動 予防&解決ブック』
藤井仁美著 水越美奈監修 緑書房刊 ¥1,980
動物行動学専門の水越美奈先生が監修されており、初めて猫を飼う人には必ずお薦めする一冊。猫とひと言にいっても人間と同じ、それぞれの個性があり感情があり行動には理由がある。どう猫と上手に同居し、お互いストレスなく一緒に暮らせるのか、教えてくれる本は意外と少ない。注意点がわかりやすく、初心者も猫マスターも学べることがあるはず。
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6. 『ねこはるすばん』
町田尚子著 ほるぷ出版刊 ¥1,650
絵本作家の町田尚子さんの猫絵本はどれも味わい深い猫が登場して大好きなのだが、これはお留守番中の猫が、あらゆる場所に出かけていって楽しむ様子がイキイキと描かれる。人が出先でお留守番カメラにアクセスしてニヤニヤと家の猫を見ているのはとても羨ましいのだが、覗いてはいけない猫の世界もあるような気がする。猫は楽しいことを見つける天才だから、お留守番中もポツンと寂しく待ってなんかいないで、のびのびやっているに違いない。あなたの猫もきっと......。
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1980年生まれ。東京&ニューヨーク育ち。97年に歌手デビュー後、ナレーター、ラジオDJなど幅広く活躍。著書に『ネコの吸い方』(幻冬舎刊)などがある。
https://www.instagram.com/miu_sakamoto/
https://www.youtube.com/user/MiuSakamotoOfficial
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*「フィガロジャポン」2025年9月号より抜粋
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