【京都】町屋の2階に広がる、新刊と古書、そして音楽の空間。
Culture 2025.10.10
店主の"本愛"が詰まった個性派書店は全国に点在。北の大地で名作にどっぷり浸かったり、レトロな建物でアート本に刺激を受けたり。厳選された本とこだわりのインテリアを目的に、旅する気分で書店巡りを。
余波舎/ナゴロブックス
[京都府京都市]
西陣の穏やかな空気の中で、生活本に耽る。
店名の余波(なごろ)とは風が止んだ後も残っている波のこと。
名物喫茶の西陣ほんやら洞と雑貨店アルファベットの跡を引き継ぎ、町家の2階に書店を構えたのは、数軒の新刊書店でキャリアを積んだ涌上昌輝店主。吹き抜けの階段を上がると、平置きの棚と壁面本棚に新本と古書が半々の割合で並ぶ。「生活の延長線上にあって、緩やかに関心が流れ、横に広がっていくような本を揃えています」と話すとおり、本棚を行き来するうち好奇心を刺激され、あれこれと本に手が伸びる。古いスピーカーから流れる心地いい音楽も、店内に置かれた椅子も「ゆっくり本を楽しんでほしい」という思いの表れで、長居必至。ギャラリーコーナーで開催されるイベントや展示も楽しみに訪れたい。
1階にイタリアンレストランがあることから、入口すぐには料理関係の本が並ぶ。
"認知"に関心がある店主推しの、外から内へと向かう3冊。
上から、岡山での野外スケッチのワークショップを収録した『風景を綴る』(乗代雄介著 おかやま旅筆会刊¥1,100)、『公園のまんなかにはおおきな木があって』(たかすかまさゆき著 七月堂刊¥2,200)、写真家・林佑紀による『O』(アスタリスクブックス刊¥5,280)。
香港コーナーも要チェック。店主の義母が香港出身という縁で一角には香港コーナーが。香港のモチーフを刺繍で表現する作家マカロニのキーホルダー各¥900
町家の2階が書店。
*「フィガロジャポン」2025年9月号より抜粋
●掲載している価格や営業時間、定休日、料理は変更される場合があります。特に輸入本は取材時から価格が変わる可能性があります。
●レストラン利用時や宿泊時に、別途サービス料や入湯税がかかる場合があります。
photography: Yoshiki Okamoto text: Natsuko Konagaya