【フィガロジャポン35周年企画】 アールデコとファッションの世界へ没入する、特別鑑賞イベントをレポート。

Culture 2026.01.13

2025年3月、創刊35周年を迎えたフィガロジャポンでは、「アールドゥヴィーヴルへの招待」をテーマに読者の皆様にさまざまな体験の場を提供しています。

12月18日(木)には、三菱一号館美術館で現在開催中の『アール・デコとモード』展を貸し切り、35名の読者をご招待。その特別な夜の様子をお届けします。

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三菱一号美術館のメイン展示室で、イベントの目玉企画であるトークセッションを開催。

世界を圧巻した装飾様式のアールデコが生まれてから、2025年はちょうど100年。第一次大戦後、ライフスタイルは様変わりし、女性のファッションも大きな変貌を遂げたが、本展はそうしたアールデコ期を軸としたモードの一世紀の変遷をたどるもの。京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する服飾コレクションを中心に、当時の服飾の流行を絵画、版画、宝飾、工芸品などとともに包括的に見ることができるとあって、連日盛況を博している。

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集まった読者を前に、主任学芸員の阿佐美淑子さん(右)とフィガロジャポン デジタル編集長の五十嵐あきがご挨拶。本展を企画した阿佐美さんが、装飾美術のスペシャリストならではの視点でモードの変遷を分かりやすく紐解く。

この日のイベントは、丸の内のイルミネーションが輝く夜にスタート。招待されたゲストたちは、前時代のコルセットでウエストマークした古典的なスタイルと比較しながら、古い慣習から解き放たれた多様なアールデコ期のドレスをじっくり鑑賞。貸し切りイベントだけに混雑することなく、思い思いのペースで歩を進める中、メインの展示室にたどり着いたところで主任学芸員の阿佐美淑子さんとフィガロジャポン デジタル編集長の五十嵐あきが登場。ゲストに向けて、創刊35年を迎えたフィガロが大切にしているアールドゥヴィーヴルのあり方について触れつつ、変革期に花開いたアールデコ期のモードを振り返ることはこれから先、自分たちがどう生きていくかのヒントを見つけることになるとメッセージを投げかけた。

その後は、ふたりのトークセッションに移行。展示の見どころやアールデコが生まれた時代背景など、展覧会をより深く味わうための解説を交えたやりとりが繰り広げられた。

阿佐美さんいわく、第一次世界大戦後の1920年代のパリにおいて、女性の社会進出とともに動きやすい服装が求められるようになった時。女性たちはこぞってスカート丈を短くして足を露出したり、コルセットを排除したドレスを身に着けたり、これが決定的な転機となり、現在に続くファッションの流れの原点になっていると説明。

さらに、装いの変革に乗じて、髪型もフィンガーウェーブに見られるようなショートヘアが流行したことや、シャネルなど当時のクチュリエによる画期的なクリエイションの誕生秘話など、新しい時代を象徴する興味深いエピソードが次々と盛り込まれ、ゲストもすっかり引き込まれた様子だった。

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1920年代前半の貴重なランバンのイブニングドレスは、本展を代表する展示のひとつ。

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足元が見えるドレスの普及で、靴の装飾が重視されるように。1925年頃のヒール見本が並ぶ展示棚には常に人だかりが。

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トークセッション終了後は、20時の閉館までゆっくり館内を見て回る観覧タイムに。アールデコ期のモードを7つの章に区切った展示では、オートクチュール全盛期のシャネル、ランバン、ポワレ、パトゥなど、貴重な作品が待ち構える。軽やかな一体型ランジェリーのテディから、簡潔なシルエットのデイスーツ、煌びやかなイブニングドレスを間近に見ることができるのが本展の特徴だが、直線的でミニマルなシルエットや幾何学的な意匠といった、アールデコ特有の様式を熱心に観察する人が後を絶たない。

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現代のクリエイションに色濃く影響を与えていることが伺える、シャネルのデイドレス(1927年頃)とノラの帽子(1926年)。

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序章の展示室では、パトゥやシャネルのイブニングドレス、カルティエやラリックの宝飾品など、新しい装い方とそのスタイルを象徴するものが陳列。

ドレスだけでなく、帽子やバッグなどの服飾小物も当時のライフスタイルを証言する貴重な資料だ。それ以前と比べて軽量・小型化が進み、女性がよりアクティブに活動するようになったことを示唆している。外出先での化粧直しが市民権を得たことで、パウダー入りのコンパクトやリップスティック口紅が開発され、本展ではコンパクトのコレクションが見られるのだが、それらの展示を感慨深げに見つめるゲストの眼差しも印象的だった。

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第6章の展示室は、女性もスポーツに親しむ時代になったことを示すディスプレイが続く。左からビーチウエア(1929年頃)、テニスウエア(1920年代)、スキーウエア(1930年頃)。

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頭を包み込むようなつばの短い帽子もアールデコ期を代表するスタイル。

また、モードは繰り返すことも本展は指摘している。アールデコは1930年代に廃れたものの、60年代に再評価の時代を迎える。その背景に、第二次世界大戦後の経済成長や女性の社会参画といった類似性が指摘されているが、モードにおいてもバレンシアガやピエール・カルダン、イヴ・サンローランのミニドレスに、20年代のスタイルに通じる簡潔性や装飾性が見て取れる。その流れは現代にも受け継がれており、近年のファッション界でも当時にインスパイアされたクリエイションを度々目にすることがある。そのように誕生から100年を経てなお、アールデコのモードは我々とともにあり、人々を魅了し続けているのだ。60年代や2000年代のドレスが並ぶ終章の間では、時間を取ってじっくり鑑賞するゲストが多かったが、それだけ多くの学びを得られる展示室になっていた。

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構築的な美が光るバレンシアガのイブニングドレス(1966年)。

こうして本展を一巡することで、モードの100年を深く学ぶことができる構成になっているが、当時の女性たちの社会進出から生まれたアールデコのモードが、現代のファッションに受け継がれているように、我々の生き方もまた100年後の未来に影響を与える可能性を秘めていることにふと気付かされた。五十嵐デジタル編集長の「ファッションには未来を作る力がある」という言葉を体現するなら、当時のように新しい発想でファッションを一新することは、より良い明日をつくることに繋がるのかもしれない。

女性が豊かに生きるためのヒントがたくさん詰まった『アール・デコとモード』展は、訪れる度に発見がありそうだ(会期:1月25日まで)。

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本展のために制作された表示案内。展示中のドレスに見られる意匠を取り入れた矢印のデザインや1920年代当時のライカを模したカメラのイラストで撮影禁止エリアを示すなど、細かい部分まで工夫が凝らされているので要チェック。

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イベント当日は、フィガロジャポン本誌の特大カバーが読者をお出迎え。

『アール・デコとモード  京都服飾文化研究財団(KCI)コレクションを中心に』
会期:開催中~1月25日
三菱一号美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
営)10:00~17:30最終入場 ※金曜、会期最終週の平日、第2水曜は19:30最終入場
休)月
料)一般¥2,300
https://mimt.jp/

photography: Mari Hamada text: Eri Arimoto

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