カール・フィリップ王子、スウェーデン陸軍に入隊へ。
Culture 2020.05.28
スウェーデンのロイヤルファミリーで知名度を誇るカール・フィリップ王子が、新型コロナウィルスが大流行する最中、スウェーデン陸軍に入隊することを決意したという。
現在41歳のカール・フィリップ王子は、現スウェーデン国王のカール16世グスタフの第2子であり、長男。出生当時は王太子だったが、性別に関わらず出生順に継承権を認める王位継承法改正により、姉のヴィクトリア王女(王太子)の王位継承順位が第1位になった。
さらにスウェーデン王室は昨年10月、王家の"正式な”メンバーを削減すると発表。カール・フィリップとその妻、男児ふたりは、王子の称号や爵位は保持しながらも、「殿下」の称号を失い、国費を受け取る王族の身分からは外れている。
この国王の決定は、王位継承順位の低い孫たちのプライバシーを守るためであると同時に、王室に割り当てられる国家予算を抑えるためでもあったという。
カール・フィリップ王子は当時、「より自由な生活を得るための前向きな変更である」と声明を出している。その後は王室の一員として、慈善活動に意欲的に取り組んでいた。
しかしここにきてスウェーデン王室は、王子の陸軍入隊を発表。Instagramに軍服姿の王子の画像を投稿し、王子の新しい階級と役割を明らかにした。
「5月中旬以降、カール・フィリップ王子は国防本部で少佐の予備役を務めました」
「王子は現在、作戦司令センターに配属されており、あらゆる戦闘部隊の作戦を指揮したり、調整する任務にあたっています。司令部からの指示により、軍がCOVID-19パンデミックのコミュニティをサポートし、調整することもあります。この任務は王子自身の主導のもと実行されます」
ちなみに王子が軍に入るのはこれが初めてではない。2002年にスウェーデン海軍へ入隊しており、王子は海軍少佐の階級を保持している。今回は、コロナウィルスに苦しむ人の為、国の為に身を捧げることを決意した上での入隊ととらえることができるだろう。
また、王子の妻であるソフィア妃も、新型コロナウィルスと最前線で戦う医療従事者をサポートするべく、地元ストックホルムの病院でヘルスケアアシスタントとして勤務しており、こちらも世界的なニュースになっている。
ロイヤルファミリーでありながら、夫妻そろって、コロナウィルスに真っ向から対峙し、自らの進むべき道を着実に歩んでいる。開かれた王室という意味では、スウェーデンは数歩先にいっているといえそうだ。
photo: TT News Agency/AFLO, texte: ERI ARIMOTO