ウィリアム皇太子がウィンザーに移住後、バッキンガム宮殿は今後どうなる?

Celebrity 2025.08.22

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ウィリアム皇太子一家は年内にウィンザーの敷地内にある邸宅"フォレスト・ロッジ"へ引っ越すことが決まっている。結果としてバッキンガム宮殿の存在意義がいま、問われている。

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ウィンザー城でのキャサリン皇太子妃とウィリアム皇太子。(英国、2025年7月8日)photography: News Licensing/ABACA

バッキンガム宮殿がイギリス王室を象徴する存在でなくなったらどうなるのだろうか。王位継承権第一位のウィリアム皇太子一家がロンドン西方にある王立公園、ウィンザー・グレート・パーク内の邸宅"フォレスト・ロッジ"に移り住むことになったため、現在大規模改修工事中のバッキンガム宮殿の今後に関心が集まっている。英「サン」紙によれば、皇太子夫妻と3人の子どもにとり、8つの寝室を持つフォレストロッジはまさに「終の住処」となりえる場所だそうだ。ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の広報を担当するケンジントン宮殿はAFP通信に対し、一家が遅くとも年内に引っ越すことを認めた。一家はこれまでも同公園内のもっと小さな家で暮らしてきた。

仮に未来の国王一家がウィンザーにずっと住むことになれば、ロンドン中心部に位置し、1837年来英国君主の公式住居として使われてきたバッキンガム宮殿はその機能を失うことになる。王室評論家リチャード・フィッツウィリアムズは「バッキンガム宮殿が使われなくなったら大問題だ」と気を揉む。「ここはホワイトハウス同様、世界中に知られた象徴的な建物だからだ」と同氏はその理由をAFP通信に語った。755室の宮殿はロンドンの中心部にあって人気の観光スポットでもあり、夏の間だけで毎年約50万人が訪れている。

総工費3億6900万ポンド

行事という観点からもイギリス王室はバッキンガム宮殿中心に回っている。数々の公式行事や夏のガーデン・パーティー、そして国王の公式誕生日式典である「トゥルーピング・ザ・カラー」をはじめとした各種行事の際に国王一家が宮殿のバルコニーから国民に手を振る光景もおなじみだ。もっとも現在、76歳の国王チャールズ3世はバッキンガム宮殿に住んでいない。大規模な改修工事が進行中だからだ。工費3億6900万ポンドの工事は2027年まで続く予定だ。

2024年初め、詳細は明らかにしないままがんを患っていることを公表した国王は改修工事完了後のバッキンガム宮殿をロンドンでの拠点にする意向を示していた。しかしフィッツウィリアムズは「がんの進行状況によってはそれが実現しない可能性もある」ことを懸念する。しかも国王は2003年以来住み続けているロンドンのクラレンス・ハウスが気に入っており、そのことを隠してもいない。

多くの邸宅を所有する英国王室

そもそも英国王室には国王に帰属する不動産から私有地までたくさんの邸宅を所有しており、バッキンガム宮殿はそのひとつにすぎない。故エリザベス女王はウィンザー城やスコットランドのバルモラル城がお気に入りで、夏はバルモラル城で過ごすのが常だった。クリスマスはイングランド東部のサンドリンガム・ハウスへ。チャールズ国王はイギリス西部ハイグローブ・ハウスに投資し、庭園や完全に有機栽培の農場を設けた。ウィリアム皇太子夫妻もロンドンやイングランドの田園地帯に複数の住居を所有している。ウィリアム皇太子はこれまで、バッキンガム宮殿の将来について明言したことはない。英「デイリー・メール」紙によれば、国王になった暁には父と同じ方針に沿って宮殿をより広く一般公開する道を選ぶ可能性があるという。

フィッツウィリアムズは「ウィリアムとキャサリンが住むかどうかにかかわらず、バッキンガム宮殿はイギリス王室の中心であり続けるべきだ」と主張する。「デイリー・メール」のコラムニスト、アマンダ・プラテルも「フォレスト・ロッジに隠れて暮らし、"時々国王をやる"ような状態では国民の支持率が下がりかねない」と憂える。2024年に行われたYouGovの調査では、君主制を存続させることについて国民全体では「かなり幅広い」支持があったものの、18〜24歳の若者層ではわずか3分の1(35%)にとどまった。王室が今後も英国民の支持を得るためには、ウィンザーにいようとどこにいようと、伝統と革新の間でうまくバランスをとっていく必要があるだろう。

From madameFIGARO.fr

text: Maelys Decourt with AFP (madame.lefigaro.fr)

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