「くびれは強調するけど、露出はなし」トランプ陣営の女性に愛される「シースドレス」とは?
Celebrity 2025.11.28

フェミニンでありつつ上品なこのスタイルは、ドナルド・トランプ当選後、MAGA支持の女性たちの定番ファッションに。メディア社会学者ジャミル・ダクリアがその意味を読み解く。
2025年、「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」と書かれた赤いキャップ(通称MAGAキャップ)だけが、アメリカ人女性の政治的スタンスを物語る時代ではなくなった。ドナルド・トランプがホワイトハウスに返り咲いて以来、タイトなシルエットのドレスが保守派女性、特に「MAGA女性」たちの象徴的なファッションとして定着しているのだ。ララ・トランプが鮮やかなブルーや深紅のカラーを着こなす一方、ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、ウエストを強調した1950〜60年代風のクラシックなデザインを選んでいる。
「体に沿ったシルエットで仕立てられたこのドレスは、"オールド・ハリウッド"を思わせるエレガントな魅力をまとっています」と社会学者のジャミル・ダクリアは語る。そしてこう続ける。「メディアに登場する共和党系の女性たちは、自分のイメージに責任を持ち、そのため、見た目のケアに細心の注意を払っています。このドレスは動きにくい一方で、"解放された女性らしさ"ではなく、"節度のある女性らしさ"を演出するもの。いわば、彼女たちにとっての"鎧"なのです。」
イヴァンカ・トランプからティファニー・トランプ、ドナルド・トランプ・ジュニアの現在の恋人ベッティナ・アンダーソン、そしてメラニア・トランプの厳格なドレスコードまで、アメリカ大統領の支持者たちのクローゼットには共通点がある。それは「シースドレス(体にぴったり沿うドレス)」が席巻していること。そして、濃いメイクや完璧なネイル、ふっくらした唇、ブリーチした金髪、ハイヒールといった、典型的なステレオタイプ的女性らしさを強調するスタイルと組み合わせている。
イメージの責任
「働くアメリカ女性のイメージは、きちんと整えられた身だしなみや、ブロンドや漆黒の髪色に象徴されている。アメリカのワーキングガールのわかりやすいステレオタイプなルックは、トランプ支持層でさらに強調されており、プロフェッショナルでありながら超女性的で、あいまいさや冒険は一切ない」と『Politique people(原題)』(2015年)の著者は指摘する。一方、『ニューヨーク・タイムズ』のファッション評論家ヴァネッサ・フリードマンは、この「MAGA女性」のタイトドレスを「FOXニュースのキャスターとミス・ユニバースを融合させた象徴的なスタイル」と断言する。彼女たちはいつもきちんと身だしなみを整え、完璧で、スーツ姿の男性のそばを離れず、横分けの髪型をしている。
シースドレスは、スーツ姿の男性が象徴する非常に性別を強調した政治スタイルに合い、着る人に安心感を与える服である。一方、男性の服装には多少の奇抜さが許される傾向がある。実際、イーロン・マスクの最近の服装の失敗がその例として挙げられる。一方で、女性は些細な服装の失敗でもすぐにスキャンダルになってしまう。例えば、4月には米中貿易戦争の最中に、キャロライン・レヴィットが「中国製」のドレスを着ていたことで、中国大使の张志昇から非難された。しかし、その後すぐに彼女は伝統的なスタイルで挽回した。ベビーブルーのレース素材のタイトドレスに、控えめなバレリーナシューズ、十字架のペンダントネックレスという装いだった。
「服装を通じて愛国心を表現しています。しかしながら、どのような状況でも完璧であることを求められる女性たちには重いプレッシャーがかかっています。トランプ支持派の共和党女性は、男性共和党員よりも容姿で評価されることがずっと多いですが、男性もまたイメージに対する責任を負っています」とジャミル・ダクリアは述べる。シースドレスは単なるドレス以上の存在であり、一種の制服である。力の象徴ではなく、むしろ彼女たちが厳格に従っている多くの基準を反映したものだ。
From madameFIGARO.fr
text: Augustin Bougro (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi







