「重度の白血病で余命1年」と宣告されている、ジョン・F・ケネディの孫娘、タチアナ・シュロスバーグとは?

Celebrity 2025.11.29

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彼女は「ザ・ニューヨーカー」誌で、重度の白血病を患っていることを公表した。元科学記者であり、環境保護の活動家でもあるタチアナ・シュロスバーグ。著名人が数多いるケネディ家の中でも、これまで目立たず生きてきたこの人物の歩みを振り返る。

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エドウィン・シュロスバーグ、その妻キャロライン・ケネディと子どものジャック、ローズ、タチアナ。(1998年7月4日)photography: Zuma/ABACA

1年半前から、彼女は病と闘い続けてきた。それでもなお、その過程を切々と長文で語る勇気を持っていた。2025年11月22日、タチアナ・シュロスバーグはザ・ニューヨーカーに記事を寄稿し、自身が「急性骨髄性白血病の一種で、3番染色体の稀な遺伝子変異を伴う」病気を患っていることを明かした。化学療法、移植、寛解と再発を繰り返しながら何カ月も闘病を続けた末に、いわゆる「ケネディ家の呪い」から逃れられなかった彼女が宣告された余命は「あと1年」だった。

タチアナ・シュロスバーグはアメリカの名門一族の一員だ。1990年5月5日、ニューヨークで生まれた彼女は、キャロライン・ケネディとエドウィン・シュロスバーグの娘であり、ジャキー・ケネディと元アメリカ大統領ジョン・F・ケネディの孫娘である。タチアナは主にニューヨークで、姉ローズや弟ジャックとともに育ち、夏のほとんどを祖母の別荘があるマーサズ・ヴィニヤードで過ごした。

「自分が恵まれていたのは、祖母のマーサズ・ヴィニヤードの別荘で夏を過ごせたことです。弟は釣りが大好きで、多くの夏を漁船で働きながら過ごしていました」と35歳の頃、彼女は「ピープル」誌に語っている。ニューヨークという大都会で育ちながらも、彼女は幼い頃から自然保護に関心を持っていた。それは祖母の家に滞在した経験や、両親から受け継いだ価値観によるものだった。「私は幼い頃から気候変動を意識していて、将来、魚や海について書きたいと心底思っていました」と彼女はピープル誌に語る。「両親はどちらも自然を大切にしていました。それに加えて、私は歴史を学ぶ中で祖父母とのつながりも意識しました。祖父はケープ・コッド国立海浜公園の設立に関わっており、そこから私は自然を管理することの重要性を学び、自然界の美しさを認識したのでした。」

ブレアリー・スクールからオックスフォード大学へ

タチアナ・シュロスバーグは若い頃、マンハッタンにある女子校ブレアリー・スクールで学んだ。その後トリニティ・スクールに進み、2008年に卒業した。イェール大学に進学した彼女はジャーナリズムという未来の目標のみならず、将来の夫となるジョージ・モランに出会う。2012年に歴史学の学士課程を修了するまでの間、タチアナは大学新聞の「イェール・ヘラルド」で働き、編集長にまでなった。また、入るのが非常に難しい同大学の学生組織「メイス・アンド・チェイン」のメンバーでもあった。こうした活動を通じ、彼女はチャールズ・A・リスカンプ旅行奨学金を得ることに成功した。それは逃亡奴隷とニューイングランド沿岸の先住民族との関係から生まれたコミュニティについての研究プロジェクトであり、とりわけ19世紀のマーサズ・ヴィニヤードを対象としていた。イェール大学卒業後、タチアナはロンドンに移り、オックスフォード大学に進学し、2014年に卒業する。その後アメリカに戻り、「ニューヨーク・タイムズ」紙のサマーインターンシップに参加した。

インターンとして優秀な成績を収めたため、彼女はニューヨーク担当のニュース記者として採用される。当時、彼女はセントラルパークで死んだ状態で発見された子熊についての記事を執筆している。10年後、彼女のいとこであるロバート・F・ケネディ・ジュニアが、実は自分がその熊の死骸を運び、公園に置いた人物だったと明かす。熊は車に轢かれ、彼は解体するために拾ったのだと語った。それを受けてタチアナ・シュロスバーグは記事を書いた当時、「誰がそうしたのかは全く知らなかった」と語っていた。

環境問題に関心を持っていた彼女は、その後ニューヨーク・タイムズ紙で科学・気候担当の記者となり、2017年まで勤務した。「ニューヨーク・タイムズにいた頃、私は『ニューヨーク・トゥデイ』のコラムを書いていました。ニューヨークでは気候について話す人はほとんどいませんでした。ニュージャージー州で記者としてハリケーン・サンディを取材したが、気候記事を書く新聞記者は4人だけで、全員が40〜50代の白人男性でした」と彼女は「ヴォーグ」誌のインタビューで語っている。「科学者ではなかったことが、かえって良かったのでしょう。最初の反応として、新聞に書いてあることを鵜呑みにしませんでしたから」

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タチアナ、ジャック、ローズ・シュロスバーグ夫妻と、両親のエドウィン・シュロスバーグとキャロライン・ケネディが、家族の追悼式に出席した。(2013年6月22日)photography: Clodagh Kilcoyne / Getty Images

家族から受けた影響

大学新聞での経験に加え、彼女は家族を通じて書くことへの情熱を育んだ。環境保護に強く関わりながらも、彼女は政治の道は選ばず、文章で活動する道を選んだ。母が日本やオーストラリアのアメリカ大使を務め、祖父が政治家であったにもかかわらず。彼女はその思いをヴォーグに次のように語っている。「私は政治家の家系ですが、作家の家系でもあるのです。両親は作家でしたし、祖母はジャーナリストとしてワシントンの新聞で"Inquiring Camera Girl(好奇心旺盛なカメラガール)"というコラムを書いていました。そして祖父も、ジャーナリストになるか、新聞社主になることを検討したことを知っています。祖父は作家としてピューリッツァー賞を受賞しています」。2019年、彼女は初著書『Inconspicuous Consumption: The Environmental Impact You Don't Know You Have(目立たない消費:知らずに与えている環境への影響)』を出版する。ヴォーグ誌の書評によれば「私たちの何気ない生活習慣が、いかに地球や人々に負担をかけているかを大胆に探る著作」である。軽妙なタッチで書かれているのは、著者が「誰にでも手に取れる本」にしたかったからだそうだ。自然保護以外にも、タチアナは歴史、特にケネディ家が残した遺産にも関心を寄せていた。

「祖父母は歴史好きで、歴史本が好きでした。私は祖父母や彼らが生きた時代について学び、さらにその世代が魅力を感じた時代やスキームを学ぶことで祖父母とのつながりを感じることができました。どのような点で意見が食い違うだろうかということも想像してみました。それは一族が残したものと自分がつながる大切な方法だったのです」と彼女は「ヴァニティ・フェア」誌に語っている。彼女は祖父ジョン・F・ケネディの著書を読み、演説を研究して「非常に力強い」と感じた。「ライス大学での月に人を送る野望を語った演説や、アメリカン大学での核実験禁止条約に関する演説に強く感銘を受けました」と同誌に彼女は述べている。

夫の支え

2017年9月9日、タチアナ・シュロスバーグは医師ジョージ・モランと結婚した。式はマーサズ・ヴィニヤードの家族の所有地で行われた。夫は彼女の仕事の大きな支えとなった。「夫は医師で、毎日彼がしていることを聞くことで、物事を違う視点から見ることができるのです」と彼女はヴァニティ・フェアに語っている。さらに、「夫は私のしていることを軽んじる人ではなく、とても支えてくれます。私が苛立って彼に八つ当たりするときでさえ励ましてくれるんです」とピープル誌で語っている。2022年、ふたりの間に長男エドウィンが誕生した。2年後、娘が生まれ、さらにハッピーになるはずが出産直後、母である彼女の病が発覚する。

白血病のため、彼女は生まれたばかりの娘のかたわらにいることすらできなかった。「おむつを替えることも、入浴させることも、授乳することもできませんでした。移植後の感染リスクがあったためです。娘の人生最初の半年近く、私はそばにいてやれなかったのです。娘が私をどう思っているのか、あるいは私がいなくなった後、母親だと思ったり覚えていてくれたりするのか、よくわかりません」と彼女はザ・ニューヨーカー誌に嘆いた。死後、子どもたちが自分を忘れてしまうのではないかという恐れを抱きつつも、タチアナはいま、家族や子どもたちとなるべく一緒に過ごそうと努めている。「ほとんどの時間を私は生きること、そして家族と共にいることを心がけています。ですが実際にいることはなかなか出来ず、思い出が行き来するがままにしています」、と日々すがる思いで生きていることをタチアナは打ち明けた。

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text: Leonie Dutrievoz (madame.lefigaro.fr)

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