原点を受け継ぐ、ロバート・レッドフォードの引退作。

Culture 2019.07.18

去りゆくアウトローに、心尽くしの愛惜を捧げよう。

『さらば愛しきアウトロー』

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スリーピーススーツから拳銃を素早く抜き出し、老境の無法者タッカーは優雅に銀行強盗を働く。現場で彼に応対したアメリカ中西部の女たちは、微笑みが素敵な紳士だったと口を揃える。一滴の血も流さない犯行の、どこかホラ話めいた愉悦感。軸となる活劇も、シシー・スペイセク演じる孤独な牧場主との愛の挿話も奥ゆかしく、俊才ロウリー監督がこだわった「スーパー16」フィルムの暗色の質感とよくなじむ。本作を俳優引退作としたロバート・レッドフォードの原点――1970年代前後のアウトロー映画の血脈を受け継いだ好編だ。

『さらば愛しきアウトロー』
監督・脚本/デヴィッド・ロウリー 
2018年、アメリカ映画 93分
配給/ロングライド
7月12日より、TOHO シネマズ シャンテほか全国にて公開
https://longride.jp/saraba

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*「フィガロジャポン」2019年8月号より抜粋

réalisation : TAKASHI GOTO

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