登場人物はふたりだけ。男と女の「身体の言い分」とは。
Culture 2019.10.03
祭りや天災を跳躍台にして、ふたりの禁断の関係が変貌。
『火口のふたり』
婚約者が出張から帰るまでの5日間、結婚式を控えた直子は幼なじみの賢治(柄本佑)を新居に誘う。失われた青春期を揺り起こすように。慣れない都市生活での、しびれるような逸楽の記憶は、プライベートアルバムのモノクローム写真集を介して無風の現在に飛び火する。安定した新生活へと踏み出す前の、感情の嵐を描く刹那のラブストーリー? いや、そんな常道の着地点から大きく外れ、異才・荒井晴彦の映画は驚天動地のファルス(笑劇)のような、生と死、性と愛の祝祭空間へと飛翔する。原作は直木賞作家・白石一文の同名小説。
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*「フィガロジャポン」2019年10月号より抜粋
réalisation : TAKASHI GOTO