稀有な才能を発揮する、ジョージアの新作アルバム。
Culture 2020.03.08
時代を超越する、未来型エレクトロサウンド。
『シーキング・スリルズ』/ジョージア
ビート ¥2,420
親の七光り。この言葉は、いい意味ではなく皮肉で使われることが多い。でもジョージアに関しては、素直に「いいものを受け継いだなあ」という気持ちで、親の七光りであることを讃えたいと思う。彼女の父親はレフトフィールドのニール・バーンズ。90年代のUKクラブカルチャーを牽引してきた彼は、子守唄代わりにさまざまな音楽を娘に聴かせてきたという。その結果、ジョージアという稀有な才能が育ったのだろう。エレクトロポップのクリエイターとなった彼女は2015年にデビューし、絶賛をもって迎えられるのだ。
この2作目はパンクやニューウェイブといった80年代サウンドを大胆に導入。ポップ性と攻撃的ともいえる鋭利なビートを融合し、独自の世界観を構築した。ガムラン風の音色など先鋭的に感じる瞬間も多く、2020年の幕開けに聴くにふさわしい音楽だ。
*「フィガロジャポン」2020年3月号より抜粋
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réalisation : HITOSHI KURIMOTO