戦場でカメラを回し続けた母が、娘のために残す記録。

Culture 2020.03.17

戦渦に生を受けた赤ん坊を、未来へと守護するために。

『娘は戦場で生まれた』

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「アラブの春」が呼び水となったアレッポ大学の民主化デモが、独裁政権によって制圧される。女子大生ワアドは、機能不全に陥った病院を立て直すべく医者の同級生ハムザらに同行する。記録用の小型ビデオカメラとスマホを携えて。砲撃や空爆によって街が包囲され、窮乏した市民が孤立。命綱の病院もが爆破される廃墟化の刻々を、戦場の恋によって生まれた赤子の瞳が照らし、潤いを呼び起こす。アレッポ陥落から決死の脱出行にいたる緊迫感は心臓が悲鳴を上げるほど。カンヌほか、世界の映画祭のドキュメンタリー賞を総なめ。

『娘は戦場で生まれた』
監督/ワアド・アルカティーブ、エドワード・ワッツ
2019年、イギリス・シリア映画 100分
配給/トランスフォーマー
シアター・イメージフォーラムほか全国にて公開中
www.transformer.co.jp/m/forsama

*「フィガロジャポン」2020年4月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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