虐げられた者たちが、入植者の暴虐に立ち向かう衝撃作。

Culture 2020.04.06

豪州の植民地時代の歴史を、女性の視点から見返す勇気。

『ナイチンゲール』

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ゆえあって北方から南半球へ流れ着く孤児の娘クレアは、仮釈放の身の男と子をもうけ、新生活を待ち望む。だが、英国軍将校の欲望の餌食となり、家族も奪われる。アボリジニのビリーを案内役に、将校らを追ってタスマニアの森に分け入る“復讐の旅”が物語の縦軸だ。19世紀のオーストラリア開拓で各々迫害された身なのに、クレアは先住民ビリーを獣と思う。横軸はその相互不信と友愛の道。歌や鳥や森の精霊を友とした最強バディが、植民者らの暴虐を鋭く射抜く。時代の夜明けを暗示しつつ。ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞を受賞。

『ナイチンゲール』
監督・脚本/ジェニファー・ケント 
2018年、オーストラリア・カナダ・アメリカ映画 136分 
配給/トランスフォーマー
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開中
※上映日程・時間変更などの情報は各劇場公式ウェブサイトをご確認ください。
www.transformer.co.jp/m/Nightingale

*「フィガロジャポン」2020年5月号より抜粋

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réalisation : TAKASHI GOTO

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