エルメスが「オート・ビジュトリー」の第4作目を公開。
Fashion 2017.10.27
終わらない創造の時間が、ジュエリーに魔法をかける。
建築家でアーティストのディディエ・フィウザ・ファスティノが手がけた会場構成も見どころ。カプセルのようなモジュールの中に、新作のオート・ビジュトリーやゴールド、シルバージュエリーが飾られる。
2010年の誕生以来、2年ごとに新作が発表されるエルメスの、ジュエリーの本質を凝縮した“オート・ビジュトリー”。その第4作目が、今月末から銀座メゾンエルメスで披露される。今回のテーマは、“コンティナム(時の連なり)”。メゾンのシューズとジュエリー部門のクリエイティブ・ディレクターを務めるピエール・アルディによって、時という抽象的な概念が美しいジュエリーになり、その姿を現した。
「 馬具やシルクスカーフなど、オート・ビジュトリーは過去にもメゾンが大切にしていることをテーマにしてきた。今回の“時”も同じ。エルメスのものづくりは、いまこの時のためにだけではなく、先々になっても持ち主の時に寄り添えるものをつくるという基本概念がある。このメゾンには通常とは違う時間が流れているからこそ、この“時”というのは、エルメスを象徴するモチーフのひとつなんだ。今回、フォルムのない時間というものにフォルムを与え、目に見えるオブジェにする作業はとても楽しかったよ」と語る、ピエール・アルディ。
“オンブル・エ・リュミエール”のネックレスでは、8の字のシェイプで時の連続性を表現。サイズで強弱をつけて並ぶ真珠は、砂時計の流れ落ちてゆく時を表す。©Hermès
永遠に続く時の流れをイメージした“オンブル・エ・リュミエール”に、日の出と日没の美しい色彩を表現した“フ・ドゥ・シエル”、そして日時計が着想源になった“アトラージュ・セレスト”の3つのストーリーで最新作は展開される。
「 “フ・ドゥ・シエル”では、ハイジュエリーらしい貴重な石にこだわりすぎず、自然の光の色を再現するための石を選んだ。そして、“アトラージュ・セレスト”では、これまでにない大ぶりな石を使ってみた。それもこれも4回目を迎えた“オート・ビジュトリー”の歴史がだんだん成熟してきた証だと感じている。とはいえ、ものづくりの姿勢は当初と同じで、とても自由にデザインしているよ」
冒険家が世界1周をしながら撮影した、さまざまな場所の日の出や日の入りの写真がヒントに。5種類の貴石を駆使し、その自然界の美しい色を表現した“フ・ドゥ・シエル”©Hermès
今回、過去3回とは違った新たな展示スタイルも話題に。建築家でアーティストのディディエ・フィウザ・ファスティノが手がける会場構成で、このオート・ビジュトリーのコレクションに加え、ほかのゴールド、シルバージュエリーも一緒に披露される。
「 “時”の連なりが軸の今回は、最新作に限らず、別のコレクションも繋がりの中で見せるのが自然な流れだと思って。この近未来のような、クラシックのような不思議な空間で、メゾンが紡いできた時間、そしてこれから訪れる未来の時間を堪能してほしい」
“アトラージュ・セレスト”では時の傍観者ではなく、時の中心に太陽とともに立つ自分をイメージして。大ぶりな石は、まるで神々しい太陽のよう。©Hermès

ピエール・アルディ
Pierre Hardy
1990年にエルメスのシューズデザイナーに就任し、翌年には自身のブランドを設立。2010年にエルメスのジュエリー クリエイティブ・ディレクターに就任。
HB-Ⅳ CONTINUUM
date : 10/28(土)~11/7(火)
place : 銀座メゾンエルメス 10階
www.maisonhermes.jp/ginza
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texte : ITOI KURIYAMA