2022 SPRING & SUMMER TREND REPORT それでも現地へ渡航しました、汗と涙の21年パリコレ日記。前編

Fashion 2022.03.02

2021年9月下旬から10月上旬に行われたパリコレクション取材のために渡航。ショーレポートとともに出入国の状況やパリの様子をお伝えします。


1年振りのコレクション取材のために真っ先に連絡をしたのは、外務省の海外安全相談班。フランス入国には「ワクチン接種証明書」が、カフェやレストラン、イベント会場に入るために「衛生パス」が必要と教えてもらう。

ブランドからもショー会場に入るために「衛生パス」が必須と続々と連絡が入り、大急ぎでフランス大使館のホームページからオンラインで申請するが、まったく返事が来ない(現在、衛生パスは現地の薬局で取得可)。パスが準備できなければ、現地で3日に1度のPCRか抗原検査を受けて、陰性証明書で代用できると大使館から教えてもらい、覚悟を決めてパリ直行便に乗る。

エコノミークラスの乗客はわずか10数人。客室乗務員が自己紹介してくれたり、携帯のSIMカードを海外用に替える手伝いをしてくれたり、アットホームな雰囲気。

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到着日(9月26日)

パリのシャルル・ド・ゴール空港に到着。抗原検査を受けるため空港内の薬局へ。店内の一角に検査ブースが用意され、5分程度でQRコード付きの陰性証明書を発行してくれた。3500円は痛い出費だが、これで明日から取材ができるとひと安心。シャンゼリゼ通りに約200メートル置きにPCRや抗原検査のためのテントが立ち並ぶのを見て、パリの風景が一変したことに驚く。

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左:シャルル・ド・ゴール空港内にある薬局。右:ワクチンの接種証明書。

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DAY1(9月27日)

初日はマリーン・セルのプレゼンテーションへ。ホテルに届いた招待状はコットンスカーフ。頭に巻いたり、瓶を包んだりフル活用できるように説明書が付き、サステイナブルなマリーン・セルらしい贈り物。首に巻いて会場に向かうが招待客が殺到し入口でもみくちゃ。“家”をテーマにした新作は麻のティータオルや植物で染めたデニムを使い、自然回帰のメッセージにあふれていた。

Marine Serre

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マレ地区のカルナヴァレ美術館で開催されたマリーン・セルのプレゼンテーション。

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左:招待状のコットンスカーフ。右:マスクと服をお揃い。

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DAY2(9月28日)

2日目のハイライトはディオール。チュイルリー公園に特設テントが設けられ、野次馬や招待客が大勢集まる、この時期のパリの風物詩。会場近くのホテルの前にピンクの服を着たティーンエイジャーが大勢集まっている。聞くとディオールのアンバサダーを務めるブラックピンクのジスを出待ちする熱烈ファン。ショーはまるでルーレットのような舞台で、おとぎ話の世界に迷い込んだよう。

Dior

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ディオールの会場。バックステージ前に感染対策の注意事項が掲示。

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全身ディオールや個性的なアクセサリーで着飾った招待客たち。

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Maria Grazia Chiuri、Kim Jisoo

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ピンクを着こなした「ブラックピンク」のファン。

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DAY3(9月29日)

朝10時からのクレージュの会場はパリ東部に広がるヴァンセンヌの森。森の一角を白くペイントしてランウェイを作ったショーは屋外のパーティのイメージで、ピクニック気分。

夜は音楽ライブとランウェイショーをミックスした「バルマンフェスティバル」へ。世界各国のジャーナリストや一般客を含め、約6000人が集結。駅にはポスターが貼られ、フードトラックや記念品販売の出店も登場しお祭り気分。ナタリアやナオミ・キャンベルが現れると会場を埋め尽くした人々がノーマスクで熱狂する光景を見て、コロナを恐れる日本との空気感の違いを目の当たりにする。

Courrèges

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森にフォトスポットが展示。

Patou

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パトゥの展示会にてデザイナー、ギョーム・アンリ。

Balmain

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バルマンのショー。

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DAY4(9月30日)

プティ・パレで行われたロックのショー。コロナ禍のショーで招待客の調整が難航したのか、前日に「スタンディング(立ち見)だけど来ませんか?」とプレスより急きょメールが入り出席。

昼食はマレ地区のカフェで、陰性証明書を提示するが忙しそうな店員はスルー。真横に座ったノーマスクの若い男女から「ライター、持ってない?」とざっくばらんに話しかけられ、コロナ対策の裏でマイペースに食事やおしゃべりを楽しむパリ市民の様子が垣間見える。

Rokh

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新しいイブニングを披露したロック。

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左:隣の席の女の子のファンシーなネイルと巨大ダイヤの指輪。右:ミュージシャンのヘン・ヤンニ。

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マレ地区で飛び込んだカフェでランチ。ジャガイモたっぷりのラザニアを。

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ジェンダーレスなメンズモデルたち。

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おしゃれなフェイスシールドを発見。

>>後編に続く

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REPORTER
Maki Shibata|柴田麻希
ファッションエディター
出版社勤務を経てファッション誌のエディター・ライターに。30代からパリコレの取材を続け、ショーのレビューやインタビューを執筆。


>>2022 Spring & Summer Trend Quiz】フィガロジャポン、おしゃれ検定開催!

*「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋

photography & text: Maki Shibata

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