2022 SPRING & SUMMER TREND REPORT それでも現地へ渡航しました、汗と涙の21年パリコレ日記。後編
Fashion 2022.03.02
2021年9月下旬から10月上旬に行われたパリコレクション取材のために渡航。ショーレポートとともに出入国の状況やパリの様子をお伝えします。
>>前編はこちら
ランドマーク、凱旋門をシルバーブルーの布でラッピング。16日間限定のアートプロジェクト。
DAY5(10月1日)
サンローランの展示会場は、真紅のバラが飾られたパリ本社。いつもは混雑する会場も人がまばら。パロマ・ピカソに着想を得たコレクションを間近で見る。注目のロエベのショーは配信でチェック。ヒールの先で卵を潰した現代アートのようなミュールに目を奪われた。
陰性証明書の有効期間が3日間(現在は1日)なので、テントで抗原検査を受ける。埃っぽい車道脇でジーンズ姿の男の子による検査に本当にフランス保健省によるものなのか不安になるが、5分後に検査結果がメールで届き費用は2500円。気軽に検査が受けられるありがたいシステム。
Saint Laurent
グラマラスなオールインワンが登場。
Loewe
遊び心のあるヒール。
Leonard
ジョージ・ルックスによる華やかなティアードドレス。
@Passager Cafe バスティーユ駅近くのカフェで果物いっぱいのパンケーキを。
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DAY6(10月2日)
アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッドのショーに行くと隣の席ではイッセイ ミヤケを着た世界的なファッションジャーナリスト、スージー・メンケスがメモを走らせていた。明らかに日本人席ではないので、パリのプレスに確認するがそこに座ってくれ、と言われ最前列のど真ん中に。デザイナーはコロナ禍の中、断捨離を試みたそうで、19世紀のシルクなどアトリエの残反を再利用。愛着のあるぬいぐるみや造花でヘッドピースを作るなど手作り感が楽しいコレクション。
夜はバレンシアガのショーのため、シャトレ劇場へ。小雨が降る中、レッドカーペットを敷き詰めた会場に野次馬をぬって入ると、すごい数のカメラマンにシャッターを切られ、黒スーツのハンサムなセキュリティに傘を差しかけられる。ハリウッド女優のような扱いに驚くが、実はすべてショーの演出。招待客に混じって、新作を着こなしたモデルが登場。このフォトコールそのものがショーという斬新なアイデアに脱帽。
ホテルに帰るとザラから大きなボックスが届いていた。中はシャルロット・ゲンズブールからのパーティのお誘いカードとデニムジャケットが!
Andreas Kronthaler for Vivienne Westwood
リンジーの頭にはぬいぐるみを使ったヘッドピースを。
Balenciaga
左:レッドカーペットに無数のカメラが。右:アンバーはモデルとして登場。
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DAY7(10月3日)
パリオフィスで開かれたポール・スミスのフロアショーへ。1年ぶりのフィジカルショーは、約50人の招待客にポール自らルックについて説明する温かいもてなし。
アン ドゥムルメステールのショーでは会場に入る際に陰性証明書のQRコードにエラーが発生。警備員に舞台裏の小部屋に連れていかれ抗原検査キットが用意されたが、単純に機器の不良だったようで事なきを得る。
夜はシャルロット・ゲンズブールとザラのコラボラインのローンチパーティに。細身の身体でピンストライプスーツを着こなしたシャルロットの美しさ。彼女の私物から着想したデニムジャケットがパリで大活躍した。
Paul Smith
ポジティブな気分を“ひまわり”で表現。
Zara
左:シャルロット・ゲンズブールの手紙と贈り物のジャケット。右:Marta Ortega、Charlotte Gainsbourg
ザラのパーティに現れたピッチョーリ。
@Les Convives パリはエスニックが美味しい。
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DAY8(10月4日)
エマニュエル ウンガロの展示会では、鮮やかな色と華やかな柄にパリの歴史あるエレガンスを実感する。
Emanuel Ungaro
モンテーニュ通りのショールームで。黒い肌に映えるドレス。
柄と色使いが絶妙なふたり組。
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DAY9(10月5日)
最終日は展示会をはしご。タイヤがキーワードのJW アンダーソンや、ディオール、新進ブランドのプルーン ゴールドシュミットなどを駆け足で巡る。
JW Anderson
Dior
ディオールの展示会では美しいテーブルウエアも。
Schiaparelli
スキャパレリのシュールなアクセサリー。
Prune Gold-Schmidt
@Le Valentin 取材の合間に、宿泊先のオテル・ショパンに隣接するサロンドテでシグネチャーのケーキを。
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出発日(10月6日)
出国72時間以内の検査証明書をもらうために、2区の検査機関へ。日本のフォーマットに記入してもらうための費用は7000円。パリに来て通算5回目の検査。到着した羽田空港は体調不良の自己申告だけで入国できた2020年3月と比較にならないほど検疫が厳しい。唾液による抗原検査、自己隔離期間中の居場所を管理するアプリ「My SOS」のインストールなどいくつもの関門が。検疫では航空会社のスタッフも働き、人員を増強し水際対策に当たる日本検疫の迫力を感じる。自己隔離期間中は毎日録画付きのテレビ電話が掛かってきた。そうした緻密さに日本の国民性を感じた。
左:2区の「Laboratoire Richelieu」で検査証明書を。右:日本帰国時にインストールするアプリ「MySOS」。
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REPORTER
Maki Shibata|柴田麻希
ファッションエディター
出版社勤務を経てファッション誌のエディター・ライターに。30代からパリコレの取材を続け、ショーのレビューやインタビューを執筆。
>>【2022 Spring & Summer Trend Quiz】フィガロジャポン、おしゃれ検定開催!
*「フィガロジャポン」2022年3月号より抜粋
photography & text: Maki Shibata