花嫁はなぜ「白いウェディングドレス」を着るのか?

Fashion 2022.03.05

花嫁の大半は、純白のウェディングドレスでバージンロードを歩く。しかし、白いドレスは普遍的なものではないし、これまでもそうだった。ウェディングドレスの伝統の原点に戻ってみよう。

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ウィリアム王子との結婚式で、ケイト・ミドルトンはサラ・バートンによるアレキサンダー・マックイーンの白いドレスを着用した。( 2011年4月29日、ロンドン )photo: Getty Images

教会のバージンロードを歩くときも、市役所の結婚式を執り行う広間に行くときも、やはり白いドレスを選ぶ花嫁が圧倒的に多い。しかし、そのような習慣が生まれたのがいつなのかを特定することは難しい。多くの人にとって、白いウェディングドレスの起源は王室の結婚式だろう。ヴィクトリア女王は、1840年2月10日にロンドンで行われたアルバート公との婚礼に際して、ウィリアム・ダイスがデザインした白いドレスを着用した。しかしながら、ヴィクトリア女王は白いウェディングドレスを選んだ最初の人物ではない。1581年のモンテーニュの著作やルネサンス期の絵画に、白いウェディングドレスが描写されており、1558年にはメアリー・スチュアートが白いドレスを着て婚礼を挙げた記録がある。ファッション史の研究者によれば、白いドレスの流行を証明できるのは18世紀以降だという。

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なぜ白が重要視されるようになったのか? 教会が禁忌とサクラメントで人生を構成する西洋では、この色は純潔、洗礼や聖体拝領といった通過儀礼の服装と関連付けられている。1996年にガリエラ美術館で開催されたテーマ展の書籍『マリアージュ』( Assouline出版 )では、キュレーターのアンヌ・ザッツォが次のように説明している。「ウェディングドレスは少女が社会に出る前の最後のドレスであり、処女の慎み深さを示す最後の証として定着し、19世紀に進化は終わりを告げたのです」こうして、白が主流になったのだ。「白いドレスはもはや処女の象徴ではなく、花嫁と伝統を結びつけるドレスなのです」と、オーダーメイドウェディングドレスのデザイナーのロール・ド ・サガゾンは言う。

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豊かさの象徴

「結婚」という制度やその衣装の形態は、このように成文化される以前は、長い間揺れ動く概念だった。唯一不変なのは、この儀式が2つの家の結びつきを表し、富を示すものだということである。そのため、花嫁のドレスは新しく豪華なものでなければならない。「特に14世紀以前は、色よりも生地の豪華さ、織りの質、幅の広さが重要視されました」とアンヌ・ザッツォは言う。これは世界各国の伝統的なドレスに共通する。インドでは花嫁は金で飾られ、マグレブではセレモニーの間に7着もの衣装を身にまとい、メキシコでは巨大で色とりどりのドレスが登場する。アジアでは、繁栄の象徴である赤が主流だが、赤色のみを使用するわけではない。色というよりも、伝統と好みの問題なのだ。

text: Mitia Bernetel (madame.lefigaro.fr), translation: Shiho Tatsugami

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