革新とデザイン力、ヴィンチェンツォ・カスタルドとポメラートの20年。
Fashion 2023.01.30
1967年にミラノで創業し、革新的でモダンなデザインをジュエリーの世界に取り入れたポメラート。熟練の金細工職人の手により数々の傑作を世に送り出してきたが、とくに今世紀に入ってからは「ヌード」「サッビア」「イコニカ」など、アイコニックなコレクションを新展開し、世界的にもさらに熱い注目を浴びている。2020年からはハイジュエリーの世界にも足を踏み入れ、未来へ向かってその領域を押し広げた。こうした快進撃の仕掛け人とも言えるのが、2002年よりポメラートに加わり、2015年からはクリエイティブディレクターを務めるヴィンチェンツォ・カスタルド。彼なくして斬新な創造性を掲げる今日のポメラートはあり得なかったかもしれない。
ポメラート クリエイティブディレクターのヴィンチェンツォ・カスタルド。イタリア・トスカーナ州出身。ルッカの美術学校に通い、フィレンツェで建築を学び、ミラノのマランゴーニ服飾芸術学院のファッション・デザインコースを卒業後、ロメオ ジリ、ドルチェ&ガッバーナで15年にわたりキャリアを積む。2002年にポメラートのクリエイティブチームに加わり、2015年にクリエイティブディレクターに就任。以来、ミラノの飽くなき美の追求を表現している。
カスタルドのインスピレーション源はミラノそのもの。ファッション、デザイン、建築…ミラノという街を特徴づけているこれらの要素が彼のクリエーションに多大な影響を与えている。「ミラノという街は他の都市とは違います。ポメラートってすごくミラノ的でしょ? 繊細でエレガント。そんなミラノの要素がポメラートのデザインに刺激を与えてくれるのです」と語る。「歴史的な建造物と未来を見据えた建築が共存し、まれに見る美しさと変化への適応力を持つミラノ建築の厳格さに魅了されています」という彼のミラノへの想いは、ポメラートのミラノ讃美に通じ、2022年ミラノ・ファッション・ウィークに発表したキャンペーン「From Milan to the World(ミラノから世界へ)」として実現したのも記憶に新しい。
「カテネ」コレクションのデザイン画。「カテネ」はクラシックジュエリーの定番とも言えるチェーンに対するポメラートの情熱に敬意を表したコレクション。日常使いにぴったりなゴールドのリングからダイヤモンドをあしらったゴージャスなネックレスまで幅広いデザインが揃う。
先に挙げたメゾンのシグネチャーデザインに強さと多様性が増したのも彼がミラノの卓越性を採り入れたから。ミラノとのさまざまな共通点は、たとえば「ヌード」ならユニークな多面カット、鮮やかで豊かな色彩、画期的なシルエットで表現され、特徴的なチェーンモチーフの「イコニカ」は大胆なイノベーション、「サッビア」ではあえてイレギュラーなパヴェセッティングで魅せる新しさ、進化を続ける「カテネ」のハーモニーは未来を見据えたミラノのエネルギーを表している。そしてこうした自由なクリエイティビティをメゾン独自の大胆なスタイルの進化へと見事に昇華できているのは、長年培ってきたクラフツマンシップの伝統があるからこそ。
カラーストーン使いも創業以来ポメラートがずっと得意としてきたこと。色とりどりの石をコンテンポラリーなデザインに用いて。
「1967年の創業以来、ダイヤモンドとカラーストーン、金細工技術や知識と革新を伝統に採り入れてきました。一度も揺らぐことがなかったもの、それは情熱を注いで手作りで生み出すことです」「プレシャスな素材がシンプルでボリュームのある形になる過程は自然に発生します。それは、ひとつひとつのジュエリーが手作業により生み出されていることと、ルールを理解しながらもあえてそれを無視することでできることなのです。このアプローチが既成概念を超え、さらなる高みへと押し上げます」と、卓越した職人による「手作り」という、ポメラートのクリエーションの核のひとつであることを強調している。
「ヌード」リング(写真左)や「サッビア」のパヴェダイヤモンドセッティング(写真右)など、あらゆる工程がいまなおミラノの職人による手作業で行われている。
20年もの間、信念を変えることなく革新的なジュエリーを創造してきたカスタルドが自身の言葉でデザインに対するビジョン、経験、情熱、そしてポメラートとの旅におけるミラノの果たす役割について語るショートムービーを公開中。この動画ではカスタルドがミラノの街を歩き、ジュエリーのスタイリッシュなレイヤードを普段使いにしている姿も垣間見え、ポメラートの魅力を体現。ぜひこちらもチェックして。
---fadeinpager---
---fadeinpager---
カスタルドが抱く職人への敬意は、遠い日本の金継ぎ技術にも及んで。「不完全性から完全なものが生まれる」と、通常はもう使えない割れてしまった素材を再利用しながら日本古来の金継ぎ技術を取り入れ再解釈し、唯一無二のジュエリーを生み出すという斬新な手法が誕生した。ポメラートの「金継ぎ」コレクションは、革新性とラグジュアリー、そしてサステナビリティが見事に融合した逸品だ。リング「金継ぎ」コレクション /ともにポメラート ©Pomellato Kintsugi Collection
---fadeinpager---
人と人をつなぐ絆の美しさと複雑さをミラノらしくシンプルかつ優雅に表現した「ポメラート トゥギャザー」コレクション。「私たちが目指したのは、ミラネーゼデザインからインスピレーションを受けた本質的で包括的であり、かつ洗練されたポメラートらしい方法でともにいることの素晴らしさを讃えることでした」とカスタルド。上:「ポメラートトゥギャザー」ブレスレット(RG×ダイヤモンド)¥1,595,000(2月発売予定)、中:同リング(RG×ダイヤモンド)¥506,000、下:同リング(RG×ブラウンダイヤモンド)¥407,000/以上ポメラート
ポメラート クライアントサービス
0120-926-035(フリーダイヤル)
【関連記事】日本の伝統、金継ぎを取り入れた、ポメラートの新作。
【関連記事】『ミラノから東京へ』ポメラートの展覧会が開催。
text:Natsuko Kadokura