スタイリスト小川夢乃のフレンチシックを作るもの。
Fashion 2024.07.31
独創的で上質を好む女のクローゼットには、フレンチシックなアイテムは欠かせないのかもしれない。そう感じるほどにファッションのプロたちに愛され続けるフレンチスタイル。今回は幅広いファッションを楽しむスタイリスト小川夢乃のスタイルを作る3つのアイテムを紐解く。ECサイトへリンク可能なインタビュー動画もチェックして。
毎日のスカーフ使いで
自信がついて、装いの格が上がる。
――フレンチシックのどんな部分に惹かれていますか?
自分が普段する中でも一番フランスっぽいなと感じているのは、サラッとしたワンピース一枚のようなシンプルなスタイル。実際にパリジェンヌたちもよくしていて、あえておしゃれを頑張ろうとし過ぎていない、力の抜けたムードに惹かれますね。
あのスタイルができるのは自己肯定感の高さの表れなのかな、と思ったりもするんです。何か別のものに自分を無理やり近づけていこうとするんじゃなくて、良いと思うものやそうでない部分も含めて、自分という素材そのものを活かそうとする心意気が好き。
私がパリに行くのが好きなのも、目新しいもの見つけに行くというよりは「ああ、やっぱり素敵だな」って原点回帰できて心に響く場所だから。私が大切にしているフレンチシックなアイテムも、そんな変わらない魅力があるものたちになりました。
――夢乃さんのフレンチシックを体現するアイテムを教えてください。
絶対に欠かせないのは大判のスカーフ。大きめのシルクのスカーフを頭に巻くのが定番になっていて、夏は三角巾巻き、冬はマチコ巻きのような感じで耳や首元も覆って、コートを着て......と、一年通して使っています。
柄は、モダンなものだと巻いた時に複雑な表情が出せるので面白い柄を見るとつい購入してしまうんですが、やっぱりエルメスは別格。アウトラインを職人が手で縫っていたり一つ一つが特別。生地も張りがあって、それがまた頭に巻いた時にドレープがすごく綺麗に出るんですよね。今度、パリに行く時もスカーフを記念に購入しようと考えています。
――どんなスタイルにスカーフを合わせることが多いですか。
ツナギやデニムにアクセサリーとしてつけることが多いですが、最近またヴィンテージのワンピースと合わせることも多くなってきました。年齢を重ねて、人に味が出てきたから似合ってくるものもあって、ワンピースにスカーフを巻いて足元もサボを履いてと70年代スタイルを実践したりしてます。
――身に着けることで気持ちの変化もありますか?
まさにそうで、スカーフを巻くとコーディネートのエッセンスになるだけでなく、自分自身の背筋が伸びて気合が入るんです。それは、自信につながることだと思っていて、例えば、仕事である程度動きやすくカジュアルな格好をする必要がある時でも、スカーフ巻を巻くと「きちんとおしゃれしている」と自分の心の格が上がるんです。
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どんな装いも引き立てる名脇役、
プチバトーのカットソーシリーズ。
――2つ目のアイテムを教えてください。
フレンチシックを語る時のマストアイテムはプチバトーのカットソーシリーズ。タンクトップもTシャツも持っていて、ハイネックにはまっていた時期はハイネックを色違いで買っていたし、カーディガンに夢中になっていたこともあったりと、にかくプチバトーのカットソーが好き。リーズナブルな価格も魅力で、色違いで集めているんです。
――ベーシックアイテムの代表格ですよね。夢乃さんが惹かれているポイントはどこでしょうか。
着心地の良さはもちろん、タンクトップで言うとバインダーがしっかり太くあってニュートラルなところ。女性らしさ、男性らしさといった特定のイメージに縛られない存在で、何と合わせてもそのスタイルを引き立たせてくれる名脇役のようなポジションだと思ってます。
――プチバトーはサイズ展開が幅広くありますが、どのサイズを選んでますか?
タンクトップはピッタリ着られる14歳か16歳サイズを選んでます。実は、自分の指標を定めるアイテムでもあって、このタンクトップが似合う体型をキープしていたいなと思ってるんです。
今年40代になり、だんだん体が丸みを帯びてくることを実感しているところなんですが、それは悪いことでも嫌なことでもなく、そのままの自分で健康的にこのタンクトップを着られる体型でいようと自分の"在り方"の指標にもしてるんです。
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エレガンスを醸し出す
フランスメイドのアイウェア。
――3つ目のアイテムは?
アイウエアも必須アイテムです。メガネフレームでもサングラスでも、アーレム、アン・バレンタイン、レスカ・ルネティエ、ジャックデュランあたりがスタメンなんですが、気がつけばフランスのブランドが多かったという感じで、改めて「ああ、自分はやっぱりフランスのデザインが好きなんだな」と確信しました。
――存在感のあるデザインも多くありますね。
大人になってからいいなと思って購入したのがアン・バレンタインのメガネ。最初は仕事でスタイリングのためにお借りしたことがきっかけでした。自分がかけたらギャグみたいになっちゃうのかなと思いつつかけたら驚くほどスッと馴染んで。
私はそれこそがフレンチデザインの力だと思っていて。ユニークだったり、色使いが斬新でもエレガンスを醸し出してくれるんですよね。フレームのデザインは、もともと建築関係やプロダクトのデザイナーだった方が携わっていることかが多いから、色味や形の面白みにつながっているのかもしれません。
今回集めたメガネフレームも、丸もあれば四角もあったり、フレームが太かったり、メタルフレームだったり。それぞれに確立した個性があるのですが、かけると不思議とシーンに馴染んで引き立つんです。
決して派手なものばかりでもないけれど、重厚感や存在感があって安心できる。それがフレンチシックの良さなんだと思います。
問い合わせ先:
アイシンク渋谷パルコ
080-4946-8842
https://eyethink-hirob.baycrews.co.jp/
エルメスジャポン
03-3569-3300
https://www.hermes.com/
グローブスペックス エージェント
03-5459-8326
http://www.globespecs.co.jp/
プチバトー・カスタマーセンター
0120-190-770(フリーダイアル)
https://www.petit-bateau.co.jp
Profile: 小川夢乃
1983年生まれ。杉野服飾大学を卒業後、ニットメーカーにてデザイナーとして勤務。2010年よりスタイリスト椎名直子氏に師事し、2012年独立。ファッション誌を中心に雑誌、広告等を手がける。 @yumeno_ogawa
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photography: Kazumasa Takeuchi