ジョナサン・アンダーソンによるディオールのファーストコレクション、メンズにも宿るサヴォワールフェール。
Fashion 2025.07.22
ディオールのクリエイティブ ディレクターに就任したジョナサン・アンダーソンが初めて手がけた2026年サマー コレクションが、6月下旬にパリで披露された。サヴォワールフェールが息づくメンズコレクションから注目アイテムをピックアップし、エクスクルーシブでその魅力を公開。
メゾンを象徴する「バー」ジャケットをメンズへと昇華させたスタイルでショーは幕を開けた。ボトムはクリスチャン・ディオールによって生み出された「デルフト」ドレスをパンツに再解釈したもの。
アンヴァリッドを会場に開催されたジョナサン・アンダーソンによるディオールのファーストコレクションは、歴史と豊かさのひねり、すなわちメゾンの言語を解読し、再構築する試みとなった。メンズにおいても着飾ることにおける喜びに立ち返り、再構築されたフォーマルではツイードの「バー」ジャケットにタキシードのコードが加えられ、クリスチャン・ディオールが考案した「デルフト」「カプリス」「ラ シガール」といったクチュールドレスは再解釈が加えられ、現代的なスタイルのパンツやキュロットに。
「デルフト」ドレスを再構築したパンツは、ルック48にも登場。photography: LUNA CONTE
正面から見た時に張り出したように見えるサイドの膨らみは、生地を折りたたみ重ねたパネルにより形作られる。カーゴパンツ風に仕立てて現代的に再構築した。photography: Paul Lehr
1948年秋冬 オートクチュール コレクションで発表された「デルフト」ドレス。©Association Willy Maywald ©ADAGP, Paris, 2025
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アーカイブに着想を得たシリーズだけでなく、ディオールならではのサヴォワールフェールの粋が詰まったアイテムにも注目したい。完成にとてつもない時間を要したウエストコート類はその代表格だ。すべてのウエストコートは18世紀の革命期に着用されていたものと同じように再現されており、伝統的なエンブロイダリーが施されている。ジェンダーの枠を超え、メゾンの象徴や伝統をメンズにも取り入れたジョナサン・アンダーソン。彼が手がけるメンズコレクションは、女性たちをも惹きつける魅力にあふれており、今後も目が離せない。
ルック12で登場したウエストコートは、完成に110時間を要した。
葉の刺繍に使用された糸は、3つの異なる色調のグリーンに染められて陰影がつけられている。ランウェイではハイカラーのボウタイと合わせてより高貴なムードを演出。
花の刺繍は金属糸を使用した伝統的な刺繍技法である「ザルドジ」刺繍で施されており、先端にはそれぞれメタリックパールがあしらわれている。photography: Paul Lehr
text: Natsuko Kadokura