イタリア全20州の職人技で魅せる、フェンディのアイコンバッグ「バケット」。
Fashion 2025.12.08
メゾンのサヴォワールフェールを支える優れた職人たち。ブランドの歴史や伝統を理解し、見事な工芸品へと昇華する美しいテクニックがここに。
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「「職人というよりアーティスト」。フェンディが紡ぐ、イタリアの伝統。」
フェンディが2020年から進める「Hand in Hand(ハンド・イン・ハンド)」はそんな"手"への讃歌、伝統の技を明日へと運ぶプロジェクト。地域の歴史や文化と結びついた手仕事を守る工房がイタリアには数多く存在するが、そうした各地の伝統工芸を徹底的に調べ、全20州から州を代表する最高の"手"を選び出し、フェンディのバッグを製作。家族経営の工房、現代の名工と呼ばれる職人、村の人々が集う協同組合やワークショップなど形はさまざま。象嵌細工、金銀細工、手織り、レース編み、モザイクなど手法も多岐にわたる。選ばれた20の"手"はその技のすべてをバゲットに注ぎ込んだ。その全貌をご紹介。
イタリア全20州の手仕事がフェンディのバッグに。

イタリアの全20州の工房や職人たちを上の地図で示している。地図の番号は「バゲット」バッグの生産地と照合。
1. Lou Dzeut
ヴァッレ・ダオスタ州

¥1,749,000
アルプス山脈の麓のシャンポルシェ村の家々で引き継がれてきた、天然の麻布に赤い糸で刺繍を施す手工芸。かつてはカーテンやベッドリネンに用いられたというコミュニティの伝統を「ルージュット」女性協同組合がバゲットに表現した。木製の織り機で織り上げた自然の風合いに赤の細かなステッチが映える。
2. Bertoni Valigeria
ロンバルディア州

¥5,390,000
旅行用トランクの専門メーカー「ベルトーニ・ヴァリジェリア」が手がけたバゲットはミニチュアのトランク。1949年にリッカルド・ベルトーニが創業した同社のアトリエで、最高峰のレザー技術を持つ職人たちがすべてハンドメイドで仕上げた。エメラルドグリーンのクロコダイルが優雅に輝く。
3. Federkielstickerei Thaler
トレンティーノ・アルト・アディジェ州

¥3,104,200
「フェダーキエールシュテックレイ・テーラー」はその名のとおり、中世からこのチロル地方に伝わる「フェダーキエールシュテックレイ」という孔雀の羽軸を使った伝統刺繍をいまに伝える工房。もともとレザーのベルトや靴の装飾に用いられたこの技法で、南チロルの草花のモチーフをバゲットに描いた。
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4. Carnica Arte Tessile
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州

¥1,320,000
「カルニカ・アルテ・テッシーレ」は昔ながらのジャカード機でコットンとリネンのブロケード生地を手織りする家族経営のテキスタイル工房。18世紀からカルニア地方に伝わる装飾織りの技法を継承している。バゲットにはオリジナルデザインの布を使用し、この地方特有のマウンテンデイジーの刺繍をアレンジ。
5. Luigi Bevilacqua
ヴェネト州

¥3,104,200
15世紀からヴェネツィアに受け継がれてきた「ソプラリッツォ(立体文様)ベルベット」をいまも18世紀の織り機を使って手織りするテキスタイルの匠、ルイージ・ベヴィラクア。華やかな花のブロケードは1mmずつカットしながら織り上げていくため、1日にわずか数cmしか作ることができないという。
6. Akomena Spazio Masaico
エミリア・ロマーニャ州

¥5,918,000
ラヴェンナの「アコメナ・スパツィオ・モザイコ」はビザンチン様式のモザイクタイル細工を継承する工房。一枚一枚手でカットしたテッセラと呼ばれるガラスや石材で緻密な模様を描く中世からの技法を守り続ける。バゲットで町の世界遺産、ガッラ・プラキディア廟堂にオマージュを捧げて。
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7. Bottega Intreccio
マルケ州

¥1,320,000
「ボッテガ・イントレッチョ」はルネサンス期にまで遡るラタン編みの技法を何世代にもわたって継承してきた工房。この地方に自生するしなやかな柳の木を手作業で金属フレームに編み込んでいく。天然素材だけが持つナチュラルな風合いとモダンなバゲットのフォルムが調和したスペシャルピース。
8. Simona Iannini
アブルッツォ州

¥3,104,200
シモーナ・イアッニーニはラクイラの町で15世紀から継承されてきた独自の技法「トンボロ・アキラーノ」を世代を超えて家族で引き継いできたレース職人。糸をボビンに巻きつけ、ピンを打ったクッションの上で模様を編み、結ぶという緻密な作業を繰り返す。バッグ本体を作るだけで100時間以上かかったという。
9. GC Corredi
モリーゼ州

¥1,144,000
レースの町として知られるイゼルニアの「GC コレッディ」レース店と女性レース職人のコラボレーション。16世紀初頭にベネディクト会の修道女たちが伝えたボビンレースの技法は途絶えることなく町の女性たちによって引き継がれてきた。繊細なレースワークのパネルがレザーのバゲットに重ねられている。
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10. Dodino
プーリア州

¥1,749,000
「キアッチエリーノ」と呼ばれるこの地方特有のレース技法はイタリア語でおしゃべりという意味。かつて村の女性たちがおしゃべりをしながら編んでいたことからこう呼ばれるようになった。シャトルと糸だけで編み上げる繊細なレースのバゲットは19世紀からの技法を継承する工房「ドディーノ」の作品。

シャトルと糸のみで編み上げるプーリア州のレース技法「キアッチエリーノ」。ノットとループで模様を作る。
11. Fabbrica Tessile Bossio
カラブリア州

¥1,749,000
コゼンツィァ沿岸一帯に自生するエニシダの繊維で布を織るテキスタイル製作所「ファブリカ・テッシーレ・ボッシオ」。自然由来の材料をすべて手作業で処理するので、汚染物質の排出もゼロ。その素朴な布に植物染めの糸で南イタリア伝統のモチーフを刺繍し、エニシダのフリンジを飾った完全にナチュラルなバゲット。
12. Ma.Ma Creazioni
バジリカータ州

¥1,320,000
この地方でいちばん古く、高い町アンツィで、サレジオ会の尼僧たちによって復興された、カットアウトレースの伝統刺繍。女性協同組合「マ マ クレアツィオーニ」は刺繍職人をサポートしながらその技法を継承している。手仕事の繊細なオープンワークと野の花の刺繍がバゲットを可憐に飾る。
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13. Stinga Tarsia
カンパニア州

¥4,378,000
木目の美しいブライアバールウッドのパネルにメープルの「FF」ロゴや花や葉のモチーフがはめ込まれたバゲットはソレント地方の工房「スティンガ・タルシア」によるもの。6~7世紀からこの地方で発展した「タルシア・ソレンティーナ」と呼ばれる緻密な木工象嵌の技法を、いまも家族で守り続けている。
14. Massimo Maria Melis
ラツィオ州

¥6,380,000
紀元前のエトルリア文明まで遡る、貴金属細工技法「グラヌラトゥーラ」で世界的な評価を受けるジュエリー職人、マッシモ・マリア・メリス。古代のコインや多彩色ガラス、大理石を使いこなす名匠の技とフェンディのレザーのノウハウが融合。ローマの歴史遺産を体現するバゲットが誕生した。
15. Giuditta Brozzetti
ウンブリア州

¥1,320,000
1921年にジウディッタ・ブロゼッティが設立した家族経営の工房では、4代目となる孫娘が曽祖母から受け継いだ19世紀のアンティーク織り機でペルージャ伝統の豪華なジャカードを織り続けている。中世のデザインから着想した神話の馬や孔雀のモチーフをロイヤルブルーでバゲットに再現。フリンジも手結びで。
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16. Peroni
トスカーナ州

¥1,144,000
レザーの彫刻家と言われる「ペローニ」は、フィレンツェに伝わる歴史的手法「クオイオ・アルティスティコ・フィオレンティーノ」を守り続ける家族経営の工房。一片のレザーをカットして木型に当てて形を作り、接着するため、縫い目も裏地もなくシームレスな仕上がり。バックルもレザーで覆われている。
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17. Effe-Erre
リグーリア州

¥5,918,000
1986年設立の銀細工工房「エッフェーエーレ」による繊細な銀のレースワークのバゲット。ここで用いられているのは中世に始まった銀の透かし模様の技法「フィリグリー」。極細の銀線を曲げたり捻ったりして模様を描くように配置し、溶接して固定するという伝統の技が生かされている。
18. Pralormo Design
ピエモンテ州

¥1,749,000
一度は消えかけたピエモンテ地方の伝統的な刺繍技法「バンデラ」を復活させたのが「プラロルモ・デザイン」社の創設者、コンソラータ・プラロルモ。祖先ゆかりのプラロルモ城を拠点にした活動を現在は孫娘が引き継ぐ。「針を使った絵画」と称される緻密な刺繍をバゲットに施した。

ピエモンテ州の「バンデラ」刺繍を再解釈。花のモチーフを立体的に施して。
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19. Platimiro Fiorenza
シチリア島

¥6,380,000
12世紀頃からトラーパニで行われていた珊瑚の装飾芸術。プラティミーロ・フィオレンツァは、珊瑚の断片を組み合わせてシチリアのモチーフを形作るこの技法を現代に引き継ぐ伝説の職人。金細工や象嵌技法などいくつもの匠の技を組み合わせて、アートピースのようなバゲットを完成させた。
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20. Su Marmuri
サルデーニャ島

¥1,320,000(すべて参考価格)/以上フェンディ(フェンディ ジャパン)
女性協同組合「ス マルムーリ」はウラッサイの村に伝わる手織りの技法「ピビオーネス」を守るために1971年から製作を続けている。使うのは地元の羊からとれる毛糸のみ。「ピビオーネス」はブドウを意味するサルデーニャの方言で、立体的なドットの織り地がその名のとおりブドウを連想させる。
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「「職人というよりアーティスト」。フェンディが紡ぐ、イタリアの伝統。」
フェンディ ジャパン
0120-001-829(フリーダイヤル)
*「フィガロジャポン」2025年11月号より抜粋
photography: ©Fendi text: Kaori Tsukamoto







