着る服の色は、その人の心理状態を表す?

Fashion 2018.12.23

フランス語では言葉で感情を表す際に、「気が塞ぐ(broyer du noir=黒)」、「バラ色の人生(voir la vie en rose=ピンク)」、「嫉妬心にかられる(être vert(e) de jalousie=緑)」など、色にたとえることがしばしばある。色というのは心理状態と密接な関係があるようだ。実際のところどうなのか、精神科医に話を聞いた。

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服は気分に影響するの? photo : iStock

画家であるゴッホが1872年から1890年の間に弟のテオに宛てた膨大な手紙の中のひとつで、次のように記している。「色彩は、それ自体が何かを表現している。表現には色彩が不可欠である」 

精神科医で『La Médecine du bon sens(Lattès刊)』の著者でもあるミシェル・ロワイユール医師はこう断言する。「色は脳や感情に影響します。直感的にはそう感じるものの、科学的に実証しようとすると複雑です。心身の調子を整えるために着る服の色を医師が処方する、ということまでは不可能でしょうね」

着る服の色と気分の関係を科学的に証明するのが難しいという意見がある一方で、ロワイユール医師は、色が与える神経学的な影響についてのふたつの研究結果を例に挙げて、自然界の色の気分への影響を強調した。同医師によると、ドイツの研究では定期的に海に足を運び、海の色を目にする高齢者は、より優れた認知力を持ち、精神的に安定しているという。2番目の例として、緑の中をランニングする好影響について触れている。「自然の緑あふれる場所で走ると緑がまったくない場所で走るのに比べて、より前向きな感情を生み出す」

個人が選ぶ色、そしてそこから見えること

現実には、着る服の色やよく目にするものの色が、特に気分に影響するようだ。「色は、いまの自分の気分や周りの人に訴えたい感情を暗に示す役割をしてくれるのです」とロワイユール医師は述べる。自分をよく見つめることはとても有益だ。その証拠としてこういった話がある。「アレキシサイミア(編集部注:自分の感情を認知することが難しい人)の人は、心血管疾患を発症するリスクが高いのです」と同医師は言う。

さらに、服を選ぶことは、これから起こることを予測してイメージトレーニングすることでもある。たとえば、これから会社に向かうことを想像する。「このように頭の中で考えたことを具現化することは、脳にも感情にも大変前向きな効果を与えます。また、服を身に着けることは単に身体を隠す、また社会規範に則するためだけではなく、選ぶ色によって感情表現をすることなのです」と同医師は続ける。

色が与える影響とは

色は見る人に影響を与える。心理学者でコーチでもあるボリス・シャルパンティエ医師は、「赤い色の影響に関する研究は数多く存在します。赤い服を着用するとスポーツのパフォーマンスや認知能力が向上したり、女性としての魅力をアップさせる効果があります」と述べる。ファッション界でも、いくつかの著名なブランドがこの赤の効果をうまく取り入れている。

「クリスチャン ルブタンがそのよい例です。赤い靴底は一眼見ただけでルブタンだとわかりますし、ほかのブランドとうまく差別化しています」とフランス流行色委員会会員で『Les Crayons de couleur(Flammarion刊)』の著者でもあるジャン=ガブリエル・コース氏は述べる。そして同氏はインタビューの最後にこうコメントした。「自分の心の声を信じて、気分がよくなる色を着ましょう」

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texte : Agathe Hakoun (madame.lefigaro.fr), traduction : Hanae Yamaguchi

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