【大人の東京ブランド #03】素材やシルエットで遊ぶ、モードなリアルクローズ。

Fashion 2020.04.12

さまざまな着こなしを経た大人の女性が求めているのは、余計なものを削ぎ落とした服。シンプルで洗練された美しさがありながら、時代の空気と遊び心を感じる服。そんな気分に寄り添うのが、東京発のブランドたちだ。今回は全3回にわたって、注目の6ブランドをピックアップ。ブランドコンセプトやデザイナーのコメントから、その魅力に迫る。

最終回は、大人の女性がより人生を謳歌するための服作りを追求する「リト」と「エブール」をピックアップ。ストレスフリーな着心地×おしゃれの楽しさを備えた、モードなリアルクローズが揃う。

リト / RITO

老舗繊維商社で16年にわたって、主に海外のハイブランドに向けた企画チームで研鑽を積んだテキスタイルデザイナー、嶋川美也子が2016年にローンチ。目指すのは‟内面から出るラグジュアリーにモードをプラス”したウエア。デザイナーのキャリアが生きる、専門性の高い生産背景で作り込んだ素材が特徴。

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▶▶ デザイナーへの、3問3答。

  • イメージする女性像は?
    自分のものさしや価値観をしっかりと持ち、その人らしい人生(日々)を築きあげている女性。また、ファッションを楽しみながら自分のライフスタイルに取り入れている女性。
     
  • 2020年春夏のテーマは?
    Hyper Nature。本質(=自然)への回帰。
     
  • デザインのインスピレーション源は?
    現代アートや近代建築にインスパイアされることが多く、そこから得たものを素材に繋げ、ウエアへと発展させています。特に好きなのは、ロバート・ライマン、ドナルド・ジャッド、カール・アンドレ。ミニマルでありながら個人の存在がしっかりと感じられる点、また、作品の素材が際立っているところに惹かれます。

春夏は‟本質(=自然)への回帰”がキーワード。ブランドとしてこだわり続けている素材に、自然が本来持つ色や質感を投影させてウエアに仕立てました。たとえば、グレーやベージュといった岩石の色をガーゼ調のサマーウールで表現した、しなやかでフェミニンなスーツ。有機物の質感や曲線を思わせるドレープやギャザーをアシメトリーに仕上げてエッジを利かせたドレス。オリジナルの生地作りから始めて、自然界に存在するさまざまな質感や色を融合して大人の女性のモードへと落とし込みました。

敬愛する建築家の「意図的に未完成な建物をつくり、最終的に居住者が自分に合った形に完成させる」という考え方に感銘を受けて以来、自分が作る服もそうありたいと思っています。着こなし方もカスタマイズも纏う人に託す……お客様の個性に溶け込んで、共存するような服を作っていきたいですね

▶▶ Recommend Items

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繊細なコットン楊柳をたっぷりと使った、量感がありながら軽やかな仕上がりのサマードレス。バックの開きとリボンが、夏の開放的な気分を盛り上げる。ドレス¥53,900/リト(ザ・ウォール ショールーム)

200412-tokyobrand03.jpgオリジナルの素材はリトの真骨頂。こちらは、刷毛で描いた模様のようにも、羽根のようにも見えるモチーフを織り込んだキュプラビスコースのジャカードを使用。鮮やかだがニュアンスのある、絶妙な大人のオレンジだ。ドレス¥39,600/リト(ザ・ウォール ショールーム)

 

●問い合わせ先:
ザ・ウォール ショールーム
tel:03-5774-4001

リト公式サイト:https://rito77.com

エブール / EBURE

ブランド「アドーア」などの立ち上げに携わった酒井典子をディレクターに据え、2016年秋冬にコート10型でデビュー。高いクオリティと良心的な価格のバランスが絶賛され、ほどなくフルコレクションを展開。コンセプトは‟さらに人生を楽しむという気持ちを掻き立てる服”、‟女性に生まれてよかったと思える服”。

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▶▶ ディレクターへの、3問3答。

  • イメージする女性像は?
    お仕事や育児など、どんな立場やライフスタイルにあっても自分のスタイルを持ち、芯のある女性。自分らしさを上手にコントロールしながら、トレンドにも柔軟な女性。
     
  • 2020年春夏のテーマは?
    evergreen。常緑のように、いつだってしなやかに瑞々しく、そして凛々しく。
     
  • デザインのインスピレーション源は?
    ファッションに限らず、日常のすべてからヒントを得ています。企画チームで行う、‟いま”何をどう着たいのかというディスカッションも服作りに直結します。メンバーは業界での経験が豊かで感度の高い女性揃い。等身大のおしゃれ好きの声こそが、デザインの源になります。

今季のテーマは‟evergreen”。大地にしっかりと根を張り、どんな時代にあってもしなやかで、年中葉をつける常緑樹のように笑顔を絶やさない……そんな大人の女性を思い描いたコレクションです。また、evergreenには不朽の名作という意味もあります。時を超えて色褪せない魅力を放つもの、長く愛すことができる大切なワードローブ。そういった服を目指しました。

纏うことで初めて実感できる、身体を美しく見せるシルエット。上品で洗練されたデザインと色使い。着心地のよい素材。大人の女性が改めてファッションに楽しみや高揚感を得られるよう、妥協しないものづくりを心がけています。目指すのは、女性を美しく、さらに人生を謳歌させるためのお手伝い。「ここなら見つかる」という安心感だけに留まらず、「こんな服を着てみたい!」という発見や出合いのあるブランドでありたいです

▶▶ Recommend Items

200412-tokyobrand11.jpg夏の定番素材ラミーをカジュアルになりすぎないよう、上品に仕立てたセットアップ。ぱっと気分があがる鮮やかな色を、‟浮かない”落ち着いたトーンに調整している点も見事。ブラウス¥31,900、スカート(ペチコート付き)¥47,300/ともにエブール

200412-tokyobrand12.jpg身体のラインを拾わないストレスフリーなシルエットや素材使いに定評のあるエブール。しっかりしたコットンリネンツイルを使ったこちらも、腰回りやフレア具合などが絶妙に計算されたつくり。スカート¥47,300/エブール

 

●問い合わせ先:
エブール
tel:03-5412-1871

エブール公式サイト:www.ebure.jp

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※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。

photos : ASA SATO, réalisation : NAOKO MONZEN

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