輝きのハイジュエリー。メゾンのレガシーを継承し、未来へと 創業以来、カルティエの創造性を刺激し続ける世界の美しさ。

Jewelry 2022.08.27

自然界、街、建築物、異国の文明……分野に限らず、テーマに限らずこの世界に存在する美しさを見出す力を、創業家の3兄弟から使命として受け継いでいるカルティエ。6月にマドリードで、そして7月にパリで発表された新しいハイジュエリーコレクション「ボーテ デュ モンド」はカルティエの感性とサヴォワールフェールの結晶で、芸術性高く、美しい。

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カルティエの新作ハイジュエリー「ボーテ デュ モンド」。パリ、オテル・リッツでの発表会場にて。石のカットや色の組み合わせにカルティエらしさが満開! photos:Mariko Omura

小さな姿に多くのディテールが凝縮されている昆虫も、メゾンがその美しさを引き出すのに情熱を傾けてやまない対象のひとつだ。このコレクションの「サンバル」ネックレスのクリエイションをインスパイアしたのはセミである。ファセット加工を施した棒状のロッククリスタルとダイヤモンドのパヴェセッティングを交互に組み合わせ、その先端に黒いオニキスをあしらってセミの透明な翅を表現。翅には赤いルビーが左右対称に配されている。女性の肌にしなやかに添うようにと、この彫刻的フォルムに細かい連結構造を用いることで柔軟性がもたらされた。

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1800時間かけて制作された「サンバル」ネックレス。© Cartier

「サンバル」ネックレスの壮麗な美しさに対し、愛らしさで目を奪うのはコレクションに加わったブローチだ。いずれも繊細な自然がインスピレーション源となっている。石化したマグノリア材のボディにローズサファイアとダイヤモンドが輝く象。彫り模様が美しいルベライトの羽を広げるホワイトダイヤモンドとカラーダイヤモンドをボディに持つフラミンゴ。ロッククリスタルを先端につけたオパールの翅のトンボ。そして、パライバトルマリン、サファイア、ツァボライトガーネット、ダイヤモンドの長い尾が華やかなケツァール。カルティエ独特の色彩感覚と極上の技術の魔法で、自然界の限りある生命が永遠の姿へと昇華されている。

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象のブローチ。© Cartier

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中米に生息する鳥ケツァールの美しさをショルダージュエリーに。© Cartier

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トンボの透明な翅が放つ幻惑的魅力をオパールとロッククリスタルで表現したブローチ。© Cartier

その魔法でドラゴンの皮膚の構造さえも、ため息を誘うネックレスに変身……紹介しきれないほど豊かな「ボーテ デュ モンド」。このコレクションはインスピレーション源を問わず、カルティエの視点が生み出す世界の美ですべての人を夢の世界へと誘うのである。パリの発表会場の一角では、石の中をバーチャルリアリティで旅する機会があった。まるで海中を潜水するようだが、石の中に次々と姿を現すのは海藻や魚の群ではなく、インクルージョン(内包物)だ。ピュアな宝石を求める場合は邪魔な存在として扱われるインクルージョンが、とても美しい。長い年月をかけて鉱物の中に取り込まれた液体や気体といった内包物……宝石の誕生への賛歌のよう。まさに美の多様性へのリスペクトと言える映像だった。

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「リュウ」ネックレス。架空の動物、龍の鱗は、八面体にカットされた80個のイエローダイヤモンドで表現されている。連結構造の六角形のモチーフの中の石は、外から見えないシステムで支えられている。© Cartier

editing: Mariko Omura

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