「気づき」を増やして心の豊かさに。美しい人であるために堀田真由が考えること。【私のパリシック。vol.4 堀田真由】
Fashion 2024.10.20
自分らしく人生を謳歌するパリジェンヌの生き方には、いまの私たちが力強く生きるためのヒントが詰まっている。そんなパリジェンヌのスタイルに共鳴する現代のアイコンにフォーカス。vol.4は、俳優の堀田真由が登場。
来年でデビュー10周年。実直に、丁寧にキャリアを積み上げてきた堀田真由が、現在主演のドラマ「若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―」で、表現者としてまた新しい一面を魅せている。そんな彼女に、自身の生き方や大切にする価値観を訊いた。
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パリは憧れの場所。
──人生を謳歌し、自分らしく生きるパリジェンヌ。パリやパリジェンヌと聞いて思い浮かべるものを3つ教えてください。
1つ目は、ビュリー。普段から水性香水のオー・トリプルを愛用しています。以前、神戸で撮影をしていた作品があったので、カフェ・オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーにも訪れたことがあります。本店には行ったことがないので、いつか行ってみたいです。2つ目は、赤リップ。赤は、自信を授けてくれる色。パリジェンヌはシンプルでシックなスタイルの中に、差し色を上手に使っているイメージがあるのですが、なかでも赤をポイントにした装いが素敵だなと思っています。リップは、マットな赤よりも少し透け感のある赤が好き。3つ目は、映画『ミッドナイト・イン・パリ』。パリの古き良き部分や劇中の街並みを観ると「やっぱりパリは憧れの場所だな」と思います。タイムスリップした1920年のパリで、ミングウェイやピカソといった芸術家たちがユーモアたっぷりに描かれているところも好きです。
堀田が纏ったのはリボンがフリンジのように揺れるプラダのドレス。映画『ミッドナイト・イン・パリ』で、フランスの俳優、マリオン・コティヤールが演じたピカソの愛人のアドリアナからインスピレーションを得た。
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大切な人たちが頑張る力に。
──デビューから着実に、キャリアを築いている堀田さん。26歳になり、10代や20代前半と比べて、現場での役割も大きくなっているのではないでしょうか。仕事と向き合う中で気持ちの変化はありますか。
10代の頃は、まずは楽しいという思いがいちばんにあったのですが、お仕事を重ねていくたびに「周りの期待に応えたい」という気持ちや「自分への期待を超えていきたい」という思いが増えていきました。もちろん楽しさもありますが、いまは怖さを感じることもあります。
──そんな時は自分にどのような言葉をかけて乗り越えますか。
実はまだ模索中です。「これだ!」という正解は見つかっていないのですが、そんな自分もありかなと思うようにしています。わからないという気持ちも、それは自分の心に素直でいる証だと思うので......。ただ、どんなことも経験や学びに繋がっていると思うので、"無駄なものはない"と毎日を過ごすようにしています。自分自身を奮い立たせることはなかなか大変なことなのですが、ファンの皆さんが待っていてくれる、家族や友人が応援してくれると思うと、自分のギアが上がります。壁にぶつかった時は大切な人たちを思い浮かべると、自然と頑張る力が湧いてきますね。
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自分らしく楽しんでいる姿を伝えたい。
──現在放送中の10月期ドラマ「若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―」では、次女の町田涼役を演じています。堀田さんは、人間関係を築く時にどのような役割でいることを心がけていますか。
役柄は妹がふたりいるお姉さん役ですが、実際は兄がいるので末っ子です。10代からお仕事をして、年上の方と時間をともにすることが多かったので年下でいる自分には慣れているとは思うのですが、現場で先輩方と一緒に作品を作るうえでは年齢は関係ないと思うので、数字で物事を見るのではなく、きちんと心で会話ができるように考えて現場に行くようにしています。年上の友人も多いのですが、上下とか立場とかはあまり関係なく、フラットな関係を築けることに心地良さを感じます。
──今回のドラマの現場では、どのようなことを大切にしていますか。
10代の頃はドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です」や「チア☆ダン」など、同年代の方と共演をすることも多かったのですが、ここ最近は先輩方とご一緒する機会が多かったので、また新鮮な気持ちです。今回は4姉妹なので、学園モノとは関係性もまた少し違います。お互いに緊張している状態だと物作りはうまくいかないと思うので、現場ではできるだけコミュニケーションをとるように心がけています。その一方で、真ん中に立たせていただく、主演という役割をいただいた責任もあるので、現場では楽しむところと集中を高めるところを意識して出すようにしています。「スタート!」ですぐにスイッチをオンにできる人も、逆にその前から時間をとって作っていきたい人も、いろいろなタイプの人が集まってひとつの作品を作るのだから、まわりも自分も心地良い環境を作れたらと思っています。
──その思いはどのような経験から芽生えたものですか。
前作のドラマ「アンチヒーロー」でご一緒した先輩方の姿からです。役柄的に集中する時間が長かったのですが、みなさんが本当に楽しみながらそれぞれの役割をまっとうされる姿を近くで見ていました。オリジナルの作品でもあったのでゼロのものを1にする大変さはありましたが、それぞれが隣にいる人たちを助けて補い合うチームだったんです。"自分たちが楽しんでいれば、思いは見ている人にも届く"ということが証明されたような作品で、そこに携わることができたことは幸せな経験でした。今回は4姉妹の物語。時にまわりに気を使ってしまうこともあるのですが、私自身がまずはこの役を楽しんで、その姿を画面でお見せできればいいのかなと思っています。姉妹って、別に喋っても喋っていなくても、リラックスしている状態で繋がっているものだと思うので、あえて仲良くならないと!とは思っていないのですが、ご一緒する3人とはすでにびっくりするくらい息がぴったりで......(笑)。何かを頑張らなくても心地良くいられる現場で "自分らしく楽しむ"ことで、まわりのみなさんも楽しくできる環境になっていたらいいなと思いながら毎日を過ごしています。
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豊かに生きることは気づくこと。
──これまでの人生の中で一番幸運だったと思うことは?
いろいろな瞬間があるのですが、強いてあげるとすれば親友との出会いです。高1のクラスが一緒で、出会いは入学式の日。彼女もイニシャルがHなので席が前後だったんです。「どこから来たんですか?」という会話からもう10年で、ずっと仲が良い友人です。俳優という仕事をしていない時から自分のことを知ってくれている彼女の存在が、いまも私を支えてくれています。
──フィガロジャポンは、アールドゥヴィーヴル(暮らしの美学)の考え方を大切にしています。毎日を豊かに過ごすためにしているルーティンがあれば教えてください。
気づきの多さが豊かさに繋がると思います。例えば、通学や通勤をする同じ道で、昨日は咲いていなかった花が咲いていることに気づく。そのちょっとした変化に気づけた時、私は幸せを感じます。ありふれた毎日の中でも、きっと何か変化していることがあるはず。そこに気づくことができる人でありたいです。お芝居をしていると、知らない言葉が出てくることも当然あるのですが、「どういう意味だろう?」と思ったものは見過ごさずにきちんと調べてみる。単語やセリフにして覚えて言うこともできますが、時間がかかっても調べてみると言葉の美しさや奥深さに気づく。興味を広げ、視野を広げること。いろいろなことに気づけることが、心の豊かさに繋がっていくと思います。
──まだ経験していないことで、これからチャレンジしてみたいことはありますか。
映画『バカ塗りの娘』(23)で青森の伝統工芸・津軽塗に触れる経験をして、物作りの大切さを学びました。それ以来やってみたいのは金継ぎ。壊れたものに手を加えて直すその美学に惹かれています。あとは、ガラス吹きもやってみたい! 以前、占いで「あなたは職人です」と言われたことがあるのですが(笑)、物作りやそのルーツを知ることに興味があります。
──堀田さんにとって年齢を重ねることは、どんな意味を持ちますか。年齢を重ねても変わらずに大切にしたい思いや価値観はありますか。
顔や表情には、年齢を重ねるにつれてその人の生き方が出ると聞くことがあります。20代のいまの良さもあるけれど、30代40代と年齢を重ねた先輩たちを美しいと思うのは、経験や学び、困難を乗り越えてきたからこそにじみ出る表情や気品があるからだなと。内側から出る美しさは手を加えられるものではないので、自然の贈り物として享受したこの顔や身体をたくさんの経験で磨いていきたいです。これからどんな顔になっていくのか私自身わくわくしているので、年齢を重ねていくことも楽しみなことのひとつです。
堀田真由流パリジェンヌを作るもの。
レトロだけどモダン。内側からエレガンスが香る、堀田真由流パリジェンヌを作る5つのアイテムを紹介。
【堀田真由着用】ドレス¥880,000、パンツ¥803,000(参考商品)、ブーツ¥291,500、帽子¥456,500(全て予定価格)/プラダ(プラダ クライアントサービス)
堀田真由
1998年生まれ、滋賀県出身。non-no専属モデル。 2015年にデビューし、以降NHK連続テレビ小説「わろてんか」(17)をはじめ近年ではNHK「大奥」(23)、ABC「たとえあなたを忘れても」(23)、TBS日曜劇場「アンチヒーロー」(24)など、デビューより話題作への出演が続く。映画『バカ塗りの娘』(23)で第45回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。放送中の10月期日本テレビ系ドラマ「若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―」で主演を務める。
プラダ クライアントサービス
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photography: Kazuhiro Otsuki, styling: Michie Suzuki hair & makeup: Tomoe Nakayama(Flare)