「もっと気楽にやろうよ!」と言われたら、イラッとするでしょうか。自分が真剣に、マジメに、思い詰めて取り組んでいればいるほど、「気楽に!」などと軽々しく言われたら、苛立ちを感じるだろうと思います。自分が苦労してやっていることを軽々とやる人がいた時、ムッとしてしまうことだってあります。また、がんばってがんばってやっとできたことを、人から「貴方はそういうのが得意で羨ましい!」と言われ、モヤモヤを抱え込んでしまう人もいます。自信がない分野について、優秀な誰かと自分を比べ、さらに落ち込みを深くする人もいます。こうした、「外の人たちと自分の思いのギャップ」は、生きていくうえでなかなか、避けて通れません。第三者から見れば「なんでそんなことで悩むの?」と不思議でしかたがないようなことで、私たちは深刻に悩み続けてしまうのです。「外」が明るければ明るいほど、「中」が暗く感じられるのです。
もとい、「外が明るいから、中が暗く思える」のではないのかもしれません。むしろ「中が暗くなりすぎていて、外が明るく感じられる」のかもしれません。いずれにせよ、窓を開けて外の光を内側に取り込めばいいだけです。そうすれば、中の暗さはすぐ、外の明るさと馴染んで、気にならなくなります。もちろん、人の心はそう簡単に開かれたりしません。苦悩や自己否定の楔はアイデンティティの深奥に食い入って、「外したくない」とさえ思えるようになるからです。でも、今週はもしかすると、心の中で暗く遮られている部屋に、不思議な方法で光を入れられるようになるかもしれません。外部からの明るい光を取り入れる窓を、心に設置できるかもしれません。冒頭の例のように、最初はちょっとイラッとするかもしれませんが、イライラしつつ少しだけ扉を開いたら、「中」の風景が一変し、イライラもいつのまにか吹き飛んでいるはずです。