「吟味する」「咀嚼する」「繰り返し味わう」。
たとえばそんなことが、この時期の大切なテーマです。何かをじっくり選ぼうとする時、たいていは同じ部分を何度も見ます。角度を変えたり、ひっくり返したり、中身を出したりして、目線は何度も同じ場所を通り、その度に印象が濃く、強く、ハッキリとしてきます。一度さっと見ただけですべてを把握する、などということは、人間には多分、不可能なのです。一目惚れした相手に、数カ月で完全に冷めたりするのが人間です。ゆえに「繰り返し見る、試す、感じ取ろうとする」ことが大事なのです。
この時期は特に、回を重ねているうちに、はっとするような大転換が起こる可能性があります。10回見たものの印象が11回目に一変する!といったドラマティックな出来事も起こりそうなのです。手の中にあるからといって「わかっている」わけではありません。近くにあるものほど、今は目を大きく開いて見つめなければならないようです。